おわらいスラッシュコメディ

三国洋田

意味不明な話

 むかし、むかし、あるところに『コメディさん』という変人のおっさんがいました。


 そのコメディさんは『おわらいスラッシュ』という必殺技を使うことができました。


 ある日、コメディさんは無性におわらいスラッシュを使いたくなりました。


 コメディさんは中二病だからです。


 コメディさんは、その辺に落ちていた木の枝を拾って、おわらいスラッシュを放ちました。


 もちろん、必殺技名を声高に叫びながら放ちました。


 お約束ですから、当然ですね。



 おわらいスラッシュは、見た目は手に持っているものを、右上から左下に振り下ろしただけの技です。


 ですが、効果は違います。


 なんと、この世にあるすべての『おわらい』が真っ二つになってしまうのです。


 『おわ/らい』ちょうどこんな感じです。


 というわけで、この世界にあるすべての『おわらい』は真っ二つになってしまいました。


 さらに『おわ』と『らい』に分かれた、おわらいは別の何かに変化していきました。


 『おわ』は『尾輪おわ』に変化しました。


 尾輪とは、輪の形をした尾です。


 『らい』は『裸医らい』に変化しました。


 裸医とは、全裸の医者です。


 世界に尾輪と裸医が、たくさん出現しました。


 尾輪は牛の尻尾のようなもので、とても美味しく、みんな喜んで食べました。


 裸医は全裸で迷惑でしたが、病気の人をたくさん治して、みんなに感謝されました。


 尾輪と裸医のおかげで、この世界はとても平和になりました。


 めでたし、めでたし。


 おしまい。





 ……なんて言うほど、世の中は甘くはありませんでした。


 コメディさんは、またおわらいスラッシュを使いたくなりました。


 コメディさんは中二病ですから、仕方ないですね。


 コメディさんは、その辺に落ちていたバールのようなものを拾って、おわらいスラッシュを放ちました。


 また、この世にあるすべての『おわらい』が真っ二つになってしまいました。


 『お/わ/ら/い』ちょうどこんな感じです。


 『お』と『わ』と『ら』と『い』に分かれた、おわらいは別の何かに変化していきました。


 『お』は『』に変化し、世界中が、ヘドロみたいなもので汚くなりました。


 『わ』は『』に変化し、世界中に『我』が一人称の偉そうなおっさんが出現しました。


 『ら』は『』に変化し、世界中に、巻貝が出現しました。


 『い』は『』に変化し、世界中に、猪が出現しました。


 世界中の人々は、汚い世界に迷惑しました。


 世界中の人々は、コメディさんに損害賠償を請求しました。


 しかし、コメディさんは逃げてしまいました。


 仕方ないので、世界中の人々は、汚と我をのりでくっ付けて、尾輪に戻してから食べました。


 螺と猪は、そのまま捕まえて、調理して食べました。


 世界はキレイで平和になりました。


 めでたし、めでたし。


 おしまい。



 ちなみに『おわらい』は、次の日にどこからともなく生えてきました。

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おわらいスラッシュコメディ 三国洋田 @mikuni_youta

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