第14話 苦労人と、宇宙聖女(その12)

 長なり過ぎて、いい加減キリ無くなったからここで切ったわ!

 どうせ誰も読んでへんからエエやろ、フヒヒ!


 以下、ほんへ。




「ヨシ! スケベな恰好の小娘ェ! いよいよ第二ラウンド開始じゃあ!」


「(`・ω・´)ワレワレハヨンカゲツマッタノダ!」


 短め(たったの4か月)のインターバルを経て!

 光と闇の果てしないバトルの、第二ラウンドがおっ始まりよる!


「ブシュシュ……! 先ほどはちょっぴり油断して不覚をとっちまったが……もうそんなラッキーヒットはあり得ん! 何故なら慢心せずに全力で参るからじゃあ! ブシュ!」


 先ほどとはうって代わり、それなりに真剣な表情のブッシュワーカー。

 ミラリィの拳を警戒してか、かなり距離を取って構えよる。

 

 その姿勢は意外な程隙が無く、それだけ見ていれば敵ながら天晴といえるのだが……。


「”いやいや、もうすでに手ひどくやられてますよね。何故最初からそうしなかったんですか?”」


「そうですよ!(便乗)弱いんだから常に全力でやりなさいよ! 弱いんだから!」


「ださーい! しょぼーい!(*'ω'*)キャッキャッ」


「(*´Д`)キッショw」


「クラシモノw(愚か者めw)」


「ユユシククサキw(くっせーヤツw)」


「カタクナナルカナw(だっせーなオイw)」


 直前の醜態が余りにも酷過ぎた。

 故に、キトゥンちゃんらの対応は冷ややかなるものであった。

(そりゃそうだw)


「!? だからぁ! そーいうのもうマジで止めろって言うとるんじゃあ! 何じゃあそのクチの悪さ! うぬらは俺様だけを頃す兵器なんか!?」


「”お気づきになられましたか……フフフ……”」


「(・ω・)コヤツミヌイテオルワw」

 

「そうです!(便乗)弱点を突く♂のと精神攻撃はイクサの基本です!」


「なぁ!? 弱点じゃとお!? この俺様を頭の悪いチキンボーイみたいに言うな!」


「”いやいや、みたい、じゃなくて事実ですよね?(真顔)」


「だってブシュ子が悪いんだよ~? 頭とメンタルが弱いんだもんね~(*'ω'*)」


「ぬがぁ~! おのれおのれ! 寄ってたかって愚弄しおってからに! この俺様のピュアなロンリーハートはズタボロボンボンじゃあ! うぬらはもう絶対に許さんぞ! 全員ブチ頃してくれる! ブシュエェ~!(´;Д;`)」


 こうかはばつぐんだ!

 

 キトゥンちゃんらの苛烈なる精神攻撃(悪口)を受けたブッシュワーカーのメンタルは風前の灯火。

 ライフは既にZEROとなり、ショート寸前であった。


 だが、キトゥンちゃんらの攻勢がこの程度の事で終わる筈もない。

 引くに引けない譲れはしないと言わんばかりに、更なる追撃の手が、より一層苛烈にカガッと迸る!


「”おやおや……。論破されそうになったら力づくですか……(ヤレヤレ)”」


「(*´Д`)ダカラオマエハアホナノダw」


「事実だって自分から言ってる様なものですね!」


「やっぱりそうなんだぁ~。頭悪~い!(*'ω'*)キャッキャッ」


「クラシモノw(愚か者めw)」


「ユユシククサキw(くっせーヤツw)」


「カタクナナルカナw(だっせーなオイw)」

 

「ブ……ブシュエギグギギ……! ブシャアアァア~~~~! くぁwせdrftgyふじこlp……!」


「(''Д'')huh?」


「”言葉までなくしましたか……w”」


「こいつはもう駄目ですね!」


「此処に捨ててこ~w(*'ω'*)キャッキャッ」


「ブ!? ブシャア! ブシャアン! ブシャアアァアアァア~~~~! くぁwせdrftgyふじこlp……!」


「(''Д'')huh?」


「フフフ(ふふふ)……w」


「ククク(くくく)……w」


「ヘヘヘ(へへへ)……w」


 キトゥンちゃんらの情け容赦ない責め苦に即オチしたブッシュ・ワーカー。

 とうとうまともな語彙力すら失い、ペロペロするヤギに成り下がりよった。


 みっともなく泣き叫び、汚い汁を垂れ流しながら喚き散らす!

 

 ……幾ら小賢しくとも、キッズは口先で汚い大人に敵うことなどない。

 そんな矮小なるジャリボーイと同レベルのスペースローグ如きがこうなるのは自明の理。


 ましてや、相対するは時代の荒波を力強く割って澪を引く若者達。

 卑しき賊とは対極に位置するインテリゲンチャである。


 論戦に敗れて屍を晒すのもむべなるかな……。

 

「ブシュッ、あぐ、うえっく……! と、とんでもないヤツらじゃあ! うぬら、俺様よりよっぽどか悪党じゃい! 大宇宙になりかわって成敗してくれるわぁ~!(´;ω;`)」


「(''Д'')huh?」


「”成敗されるのは貴方の方では?”」


「そうよ!(便乗)」


「頭悪杉内だよね~(*'ω'*)キャッキャッ」


「ブシャ!? ええい喧しい! もう絶対、絶対、ぜーったいにゆるさんからな! 原子一粒も残さず消滅させてやるわぁ~!」


 こやつの弁の勃ち具合はキッズ並という残念っぷりではあるが……。

 

 流石は今日までお上の手から逃れ続けてきた凶悪犯。

 攻めあぐねるとみるや素早く身を翻せるあたり、賊としてのワザマエが伊達でないと示すに十分であるといえよう。


 そんな悪の本能とも言うべき脊髄反射に従い、敵わぬ舌戦に見切りをつけ、力でもって訴える方向に切り替えたブッシュワーカー。


 拙い語彙力をフル〇ンに剥きだしたセリフと共に身を翻すや。

 一気にスラスターを噴かせ、キトゥンちゃんらの直上へ陣取ると!


 ガションガション!

 ガタガッション!

 

 全身に仕込んだ火器を、何か油が切れたような安っぽい動きで展開し、自らの足下へと照準を向けよる!


「ブシャシャシャ! 全員まとめてハチの巣にしてくれるわぁ~!」


 勝ったッ!

 おっさんスペースライダー完!


 とでも言わんばかりに勝ち誇るブッシュワーカー。(気が早すぎ)

 突如の形勢逆転に慌てふためくキトゥンちゃんらを想像し、ニヤリニヤリしていたのだが……。


 彼女らの反応は、これまた思てたんとちがっとった。


「“おや? 突然飛び上がってどうなすったんですか? 貴方の脂肪フラグ建立記念の棟上げ式でもなさるおつもりで?”」


「随分と気前のいい、斬新な観念の仕方ですね!」


「お餅と命ちょうだ〜い(*'ω'*)キャッキャッ」


「(*´Д`)ヤクメデショw」


「ブ!? ブシャア!? 何じゃそのいやなお祝いは!? ちがわい!」


「“ああ、そうですね分かりますとも。一刻も早く天獄への階段を駆け上がりたくて思わずフライングしてしまったんですよね?”」


「違う違う! ちーがう! そんな事、㍉程も考えとらーん! 大概クチ悪いな! って言うか、獄に乙るのが何気に確定しとるし! 嫌な儀式なんぞやらーん! ブシュワァーン!」


「“ほう…………? では何故……?”」


「こうやって直上を抑えたら、ほれ! 制空権確保ってヤツがこう……分かるじゃろ?(ドヤァ……)」


「”ええ……?(困惑)この場に居る全員が対空カットイン手段を持ってますよ? 逆に貴方が撃墜されて制空権喪失なのでは?”」


「ブ、ブシュ!? そうなのぉ!? ……いや! やっぱそれは違うぞイケボのにーちゃん!」


「”というと?”」

 

「確かに、阿婆擦れとスケベ小娘は飛び道具をもっちょる!」


「”ええ、そうですね”」

 

「(・ω・)ゲンテイシヨウヤゾw(バババw)」


「まだ言うんですか!? そんなに撃ってほしいんですか!?(ドギュン!)」


「ブシャアァ!?(ウワアブネッ) もう撃っとるじゃろがあ! やめろやめろ! 兎も角、それはいいとして! あとそこのロリ巨乳も百歩譲って遠距離攻撃出来るとしてもじゃあ!」


「へ~、良く分かったねぇ~。ご褒美だよ~。ほりゃ!(*'ω'*)ノシ(ブオン!)」


「ブッシャア!?(ウワアブネッ)実演せんでええわい! 危ないじゃろがぁ! あとそのレンチ、マジ万能じゃな! こんなとこまで届くんか!? ええい、埒空かん! この際小娘共と阿婆擦れはどうでもいいんじゃあ!」


「まだ言いますか!?(プンスコ)」


「(# ゚Д゚)シツコイヤッコダ」


「うるせえうるせえ! そこのボロいボット共、略してボロット共はどうなんじゃあ! どう見たってただの作業用じゃろがぁ!」


「アナ? サカシキクラシモノガ……(はぁ? 調子乗ってんじゃねーぞ)」


「ワレラモズイブントミクビラレシモノカナ……(シャバゾウがなめやがって……)」


「シカワレラノチカラヤユカシキ……(そんなに僕らの力が見たいのか……)」


「ブシャシャシャ! ボロット共が粋がっても、なーんも怖くないわい! 此処までおいで~じゃ!」


「……ヤッツク!(頃す!)」


「イフカイナクハテヨ!(楽にはタヒねんぞ!)」


「アスロック!(喰らえ!)」


 突然のdisにステータスがYONE=KURA・MODEとなったボットら。

 侮蔑と嘲笑のお返しと言わんばかりに両のアームを藪賊に向かって突き出すや。


 マニピュレーターの指先が数度、微かに煌めいた。

 と同時に、光弾めいた何かがブッシュワーカーのケツに襲い掛かる!


「ブシャシャシャ……! ほれほれ……! お尻ペンペン♪ブシャシャ……(スココン♪)シャブァ!? ア゛ッーーーーーー!?」


 調子ぬっこいて突き出したケツ♂が飛来した72(くっ!)かにスココン♪と刺し貫かれた藪賊。

 

 あまりの衝撃に痛覚を誤認。

 汚い喘ぎ声をあげながら何もない空間で器用にもどったんばったん大騒ぎで悶絶しよる。


 その尋常でない様子にキトゥンちゃんらも戦慄わななく。


「ひゃあ!? な、何です!?><」


「(;゚Д゚)ホラレヨッタ!?」


「喘ぎ声汚~い! クサ~イ! (´;ω;`)」


「”うわ!?(ドンビキ)”」


「ブシャアアァア~~~~! 「何です!?」はこっちの台詞じゃあ~! ちょ、何か刺さっちょる! 見て! 何なのか見て~!?」


「( •᷄ὤ•᷅ )キタネーナハゲ」


「そうですよ!(便乗)汚いものをこっちに向けないでください!」


「でもぉ~、何が起こったのかは気になるねぇ~(;´・ω・)」


「ブシャシャア! 汚くない! あと俺様はハゲてない! 何でもいいから見て!? うぬらも気になるじゃろ!? はよ!」


「”うるさいですね……。とはいえそうですね、追認は必要ですね。ではリプレイをズームして……”」


 貴将は各人から送信される視覚情報によるリプレイを取得。

 藪賊が掘られた瞬間にフォーカス、一時停止の後ズームした。


 するとそこには、汚いケツ♂から少しだけ飛び出している特徴的な布目頭が複数本見受けられた。


「”ほう、やはり……これは釘ですね”」


「「「ソノトホリナリ!(exactry!)」」」


「ブシャアァ!? く、釘じゃとお!? そんなチンケなもんが俺様の装甲を貫通♂したじゃと!? そうはならんやろがぁ~!」


「(・ω・)ナットルヤロガイw」


「あ~、分かりましたよ! あれですね、ネイルガン!」


「お~、良い五寸釘だねぇ~(*'ω'*)キャッキャッ」


 意外ッ!

 それは釘ッ!


 作業用ボット達のマニピュレーターは様々な工具へと変形する。

 その内の一つである、釘を高速で打ち付けるネイルガンを攻撃に用いたのだ。


 ケツを掘った釘もまた、宇宙特殊合金である”マチワビーテ・ホーミタイト”という、頑丈な素材でできたリミテッドエディション。

 堅牢な貨物船の装甲を物ともせず貫き通す程のパワーを誇る、艦体補修用の五寸釘なのだ。


 この資材をもってすれば、幾ら軍用品質並とはいえ、たかだか戦闘機風情のペラペラボディを穿つ等造作もない。


 そんなパワーとクォリティを持った凶器が、走れ急げと1000㌔で打ち付けられたらば!

 夢時雨濡らして漢を見せつけるのは当然の結果である!


「ブシュウ~! イケボのにいちゃん! まさかうぬはこの事を知っておったのか!?」


「”フッ……。答える必要はありませんね!”」


 貴将はサポートに徹するべく、キャッツバレーに関するあらゆる情報をリサーチしている。

 それは当然、キャッツボートの保守に従事するボットの性能諸元も含まれる。


 全てを知っているからこそできる結果予想であった。


 ともあれ、上を取って有利になったつもりが、逆に追い詰められた藪賊。

 ドローン共も全て失った今、悔しそうに歯嚙みし、右往左往するのみである。


 そんな藪賊へとどめを刺すべく、キトゥンちゃんらの口撃が尚もカガッと突き刺さる!


「”これでこの場に居る全員が対空カットインを持っている事がQ.E.D、証明完了しました、もう逃れることは……出来ませんよッ!”」

 

「( ゚Д゚)アキラメロン」

 

「そうですよ!(便乗)大人しく縛に憑きなさい!」


「おっ〇いのペラペラソース(八つ裂きにしてやる)だよ~(*'ω'*)キャッキャッ」


「ウ〇コダステロ~(賊がいるぞ)」


「アガメロ!(捕まえろ!)」


「キモーイ、アナタ……(頃してやる……)」

 

「ブシュシュ~……! グギギ……!」


 ここで少々の知恵が回る者であるならば、素直に尻尾を股間に収納して遁走するだろうが……。

 そこは宇宙のお馬鹿さんであるスペースローグである。

 

 よせばいいのに、ムキになってパニック走りを始めよった!

 

「ブシュエェ~! 許可しない! うぬらがクチを開くのは許可しないぃ~ッ! もう問答なんぞしてやらん! ショボい対空出来るからってなんじゃ! ブシャアアァア~~~~!(ジャキンジャキン)」


 そう捨て台詞を吐くと同時に。

 改めて全身に仕込んだ火器を展開する藪賊!

 

「うぬら全員皆頃しじゃあ! ブシェェエ~イ!(ズバババ)」


 針鼠の如く突き出た銃器が火を噴き、キトゥンちゃんらへ無数の凶弾が迫りよる!


「”な!? 無差別攻撃!? 約呼さん危ない!”」


「ひゃあ!?><」


「にゅう~! あんなの防ぎきれないよぅ~(´;ω;`)」


「イタヅラナルアガキヲ……!(無駄な抵抗を……!)」


「マサナキヤカラナリ!(見苦しいやつだ!)」


「コヤツヲココヨリタタキソメヨ!(こいつを此処から叩きだせ!)」


「はなからこうすりゃ良かったんじゃあ! そこの阿婆擦れも三途の渡し船に叩きこんでやるぁ~! なんにでも乗る尻軽じゃからなぁ~! 阿婆擦れだけに! ブシャシャ!」


「ほんとしつっこいですね! まだ言いますか!(プンスコ)」


「上手い事言ったつもりなんだろーけどぉ~、何にもかかってないよ~(´;ω;`)」


 攻勢はまたもや逆転。

 口々に悲鳴を上げるキトゥンちゃんらであったが……。


 時既に時間切れであった。

 今度は彼女らがパニック走りとなって右往左往するのみである。


「ブシャシャシャ! 様ぁないのう! これじゃよこれ! これこそが俺様の求めとった展開よ! そうら、次が分かれの一撃ぞ、せつなく撃ち抜かれてゲームオーバーになりやがれぃ! ブシャア~!」


 藪賊が全身に仕込んだ火器の照準を一点に絞るや。

 それまで相手を嬲るように周囲にばら撒かれていた銃弾が、カカッと華麗なバックステッポもかくやという勢いでキトゥンちゃんらに降り注ぐ!


「”は! 約呼さん逃げて!”」


「きゃああ~!><」


「にゅわ~ん、もう駄目だよぉ~!(´;ω;`)」

 

「ナムサンポウ!(なんてこった!)」


「ナクベキゾ(なけるぜ)」


「クッ、コロサバコロセ!(くっころ!)」

 

 今まさに迫りくる凶弾に撃ち抜かれ、無残にも引き裂かれる己を想像して硬直するキトゥンちゃんとボット達。

 モニターしていた貴将もまた、これから訪れる惨劇に思わず目を覆う。


 各人がタヒを覚悟し、身をすくませるも……。

 だがしかし、そうはならなかった。


「( っ ‘ᾥ’ c)……!」


 この中でただ一人。

 皆を背にかばい、きりりと前を見据えるミラリィが立ちはだかるや。


 その、両の手がゆっくりと大きな円を描く様な構え取る。


 ゆるゆると弧を描く手型はやがて残像となり……。

 

 まるで後光がさしているかのように。

 無数の腕がミラリィの背後を彩って行き……。


 それぞれ異なる印を結んだ、その時!

 

 カガッ!(ここは譲れません)

 

 美しき翡翠の煌めきと共に、千手の戦女神が!

 今ここに、顕現する!

 

「ブシュ!? 眩しッ! 何事じゃあ!?」


 瞠目する藪賊など那由他の彼方へと置き去りにして。

 キトゥンちゃんらを射殺さんと殺到する凶弾が、ミラリィへと吸い寄せられてゆくではないか!


「……? は! こ、これは一体!?」


「にゅうん! 何かわかんないけどぉ~、すごーい!(*'ω'*)キャッキャッ」


「タ、タスカリキ……(助かったぁ)」


「カタジケナシ!(ありがたい!)」


「シリスキズキシ!(Tバックがエロい!)」


「ブシュシュ!? 何でじゃ!? 弾が全部ヤツの身体を突き抜けてしまいよるぞ!(ビクッ♡)」


「(`・ω・´)イカリノオウジダ!(ドヤァ)」


 そう見えるのも無理はない。

 

 まるでブラックホールに吸い込まれるが如く。

 藪賊の放った弾丸が全て勢いを失ってミラリィの周辺へと集積してゆく!


 ミラリィという惑星に吸い寄せられた小惑星よろしく、周囲を取り巻く弾丸はやがて一塊となり。

 土星のリングの様な環となってその身体を覆う!


 その様を見て半狂乱となった藪賊。

 顔面を様々な汁でズルンズルンにしながら、ミラリィを問い詰める!


「ブッシャア!? スケベ小娘ェ! うぬは何をしとる、何をする気じゃあ!?」


「(・ω・)ッセーナハゲチネ」


 クチで答える代わりに。

 静止している様に見えた手型が様々な印を結びつつも逆方向へと動く。


 それに呼応し、弾丸のリングも回転を始め、徐々にスピードを増してゆく。

 

「“これはすごい……! ちょっとした小惑星並のエネルギーを検知! まるで惑星から放たれる磁力圏がミラリィさんを中心に展開されています!”」


「はあ! まるで千手観音像みたい……」


「にゅう~、あんなにゆっくりなのに~、何でいっぱい見えるんだろ~(*'ω'*)?」


「”余りの凄まじきスピード故に止まって見えるんです! ストロボ効果というヤツですね!”」


「(`・ω・´)シツリョウヲモッタザンゾウヤゾ」


「ブ……ブシャシャァ~! 生身のままで俺様ですら出来んような真似をしくさりよって~! このオバケめぇ~! さっさとくたばりやがれぇ~! ブシュエェ~!(´;ω;`)(ズバババ)」


「(*´꒳`*)ムダムダチネハゲw」


 色々な汁を顔面から撒き散らしつつ、赤とんらんになってミラリィへ火器を乱射する藪賊。

 だがそれは、やはり何の成果も得られず……。


 寧ろ、彼女の周りを揺蕩うリングの密度を濃くするのに寄与するのみである。


 やがて、全ての弾丸を撃ち尽くした火器が沈黙。

 撃鉄だけが想いでの糸車よろしく、無常にからから空回りしよる。


「ブシャ!? た、弾切れ!?」

 

 それを見て、一気に青ざめる藪賊。

 

「”あれだけ撃てば、まぁそうなりますね”」


「(`・ω・´)クチホドニモナイヤツ」


「……あ~、その~、ブシャシャ……w 弾切れたんで取ってきますね。ほな……(ソソクサ)」

 

 それまでの勢いは何処へやら。

 シオシオと萎えながら、今更にそそくさと逃亡を企てよる。


 だが、確変は既に終了した。

 我らが翡翠の戦乙女が、この身の程知らずの放逐を許すはずもない。


「( っ ‘ᾥ’ c)ニ゛カ゛サ゛ン゛!」


 裂帛の気合いと共に!

 ミラリィの背後にある無数の手型が一斉に合掌した!


 ……瞬間!


 ズアバッ!

 ズババババ!


 リングを形成していた弾丸がまるで戦乙女に憑き従うエインヘリヤルとなったかのように。

 女神の仇敵討つべしという明確な意思を持ち、藪賊を射抜かんと殺到した!


「ブシャ!? ブジャジャジャジャジャ……!(ガンゴンギンゴンガリゴリベキボコ……)」

 

 こやつがキトゥンちゃんらへと向けた狂気は、そのまま己が身を削る断罪の鞭打となった。

 弾丸の流星群が凄まじき勢いをもって藪賊を蹂躙する。

 

 ……宇宙空間にて残像を残す程のスピードで腕を回転させたらば、ある種の力場を形成する。

 

 ミラリィの強靭な膂力をもってそれを行えば、力場の規模はあらゆる運動エネルギーを吸収する程となる。


 それに加え、彼女のもつエネルギーをコントロールする繊細な技量をもってすれば。

 更にはそのパワーを留置き、相手へそっくりそのままお返しする事すら可能ッ!

 

 おお、これぞまさしく攻防一体、宙の戦乙女が戦陣!


 コズミック・オーロラヘイロゥ・スタンス(天妃千手護光陣)だ!


 無数の弾丸をその身に浴びた藪賊。

 これにはたまらず、車田飛びとなる!


「ブッシャアァア~~~~!(キャンズ!)」


「”おお! お見事ミラリィさん!”」


「はあ! 何て凄まじい技……!」


「スゴイスゴ~イ!(*'ω'*)キャッキャッ」


「オオ!(すげぇ!)」


「ヤリキ!(きもったれ!)」


「コレニカツル!(かつる!)」


 湧き上がるキトゥンちゃんら。


 一方、何もない所で、受け身も取らずドシャッと器用に叩きつけられた藪賊。

 ベコベコベッコンボッコボコになったボディを軋ませながら呻きよる。


「ブジュジュ……何じゃ今のは……俺様の攻撃がそっくりそのままお返しされたぁ~!?」


「(`・ω・´)キリッ」


「”所詮貴方の実力等その程度ですよ!”」


「身の程を弁えたところでもう遅いですけどねッ!」


「此処らでぇ~、一気にぃ、葬ってあげるよぉ~(*'ω'*)キャッキャッ」


「ヨワシ!(ざ~こw)」


「ヲコ!(ば~かw)」


「アクタ!(カ~スw)」


「だ、だまれ! こんな所で絶対にやられる訳にはいかないんじゃあ! ……しかし、ブシュシュ……! スケベ小娘ェ! うぬは一体何じゃ、何者なんじゃあ!?(´;Д;`)」


 様々な汁でズルンズルンな顔を拭おうともせず誰何する藪賊。


 この今更過ぎる疑問を受けたミラリィが居住まいを正すと。

 何処からともなく聞こえてきた処刑用BGM共に、静かに口を開いた。


『「ただの通りすがりの美少女よ。最も、これから倒される貴方には無駄だから、別に覚えておかなくてもいいわよ?」』

(テレー♪テレー♪テレー♪テレー♪……テーレテッテテレテーレッテ♪スペースライドゥ……ミ、ミ、ミ、ミラリィ!)


「ブシャアアァア~~~~!? シャ、シャベッタァアァアア!?(ビクッ♡)」


「”あ、ミラリィさん喋れたんですね”」


「さぁ、貴方の罪を数えなさい!」


「やっつけちゃうぞ~。答えは聞いてないけど~(*'ω'*)キャッキャッ」


「ウェイ!」


「サ゛ヨ゛コ゛ォ゛ー!」


「ムッコロス!」


「ブ、ブシャギギギィ……! おのれディケイ……スケベ小娘ェ!」


 ドローンを全て失い、火器も全て撃ち尽くした。

 最早ここらが潮時で、生き残るかどうかの回帰不能点である。


 真っ当な(?)悪党であったらば、何もかもかなぐり捨てンぞと言わんばかりに遁走を企てよるだろうが……。


 やはり所詮こやつは宇宙のお馬鹿さん・スペースローグであった。

 くだらないペラペラソースなプライド(笑)が生存本能を上回りよったようだ。

 

「ブシャア~! 愚弄しよって……! こんな所には一秒だって居れんわ! 俺様は帰るぞ! じゃが、手ブラで去んだれば銀河の神であるこのブッシュワーカー様の面目が立たん!」


「(・ω・)ソンナモノハナイ」


「”ありませんね”」


「無いです!」


「無いよ~?(*'ω'*)キャッキャッ」


「「「ナシ!(ユビサシビシッ)」」」


「!? うるせえうるせえ! あるったらあるの! もううぬらとは口きいてやらん! 問答無用でバーナーオンじゃあ!(ブボボッ)」


「”うわ!?(ドンビキ)屁をこきなすった!?”」


「( •᷄ὤ•᷅ )クッセーナチネハゲ」


「突然なんですか!? 汚いですね!(プンスコ)」


「くさーい! ちねばいいのにねぇ~!(*'ω'*)キャッキャッ」


「!? 臭くないし汚くもない! これはただのスラスターじゃ! 見たら分かるじゃろがぃ!」


「(# ゚Д゚)ウソヲツケ!」


「嘘じゃない! 俺様は絶対に、絶対に嘘なんかいっとらん! ブシェェエ~イ!(´;ω;`)」


 いや嘘ついてんじゃねーよ、汚ぇハゲが……。


 ……ンンッ、おっと失礼……!

 兎にも角にも。


 顔を真っ赤にして屁……ではなくケツ♂のスラスターをぬっこくブッシュワーカー。


 己が一等、天上天下唯我独尊という、ちっぽけな矜持による破綻したレーゾンデートル。

 それに縛られた奴隷は敵わぬ相手を滅すべく、先の見えない不可能という名の闇への特攻という、獣じみた行動を選択しよる。


 ケツ♂のスラスターをブボボッ!(モワッ(´;ω;`))と噴かせたブッシュワーカー。

 

「こうなったら一か八かじゃあ! 三途の道連れにそこの阿婆擦れとロリ巨乳の命を貰ってやるぁ~!(ギュオン!)」

 

「(・ω・)ム!」


「”捨て身の特攻とは!? 約呼さん危ない!”」


「はわわ! げ、迎撃ですぅ!><(ドギュンドギュン)」


「うわ~ん、こっち来たぁ~! クサ~イ!(´;ω;`)ノシ(ブンブン)」


「ブシュ!? だから臭くないっつってんじゃあ! じゃが! ブシャシャ! 残念じゃったな阿婆擦れとロリ巨乳! うぬらの貧弱パワーなんぞで俺様は止められん! 死なば諸共ぉ! ブシェエーイ!」

 

 キトゥンちゃんらの攻撃を受けながらも、その凄まじいまでの反作用でもってミラリィの脇を抜け、後方にいる約呼と蔵智へと一気に迫る!

 

「ブシャシャ! スケベ小娘ェ! 流石のうぬとてこの超スピードには憑いてこれまい! バケモンの相手なんぞ頼まれてもやらんわ! そこで阿婆擦れとロリ巨乳がタヒぬ所を黙ってみておれい! ブシェェエ~イ!(ギュオン!)」

 

「( っ ‘ᾥ’ c)ヤ゛ラ゛セ゛ン゛!」


 先程同様、血に塗れた狂獣の牙から仲間を守るべく。

 凶弾と化した藪族の前に、ミラリィが颯爽と立ちはだかる!


「”おお!? 何という素早さ!”」


「は! ミ、ミラリィちゃん!?」


「にゅ! ダメ、危ないよぉ~!(´;ω;`)」


「アンノンナリ、モノナラズ!(大丈夫だ、問題ない!)」


「ワレラニナカマヒソ!(俺たちに構うな!)」


「ワガシカバネヲコエテユケ!(俺の屍を越えてゆけ!)」


「( っ ‘ᾥ’ c)ミンナヲマモル!」


「ブシェエ!? ス、スケベ小娘!? なんちゅうスピードじゃあ! パワーのみならずスピードをも俺様を上回りよるのか! また殴られんぞコレ、どないしよ……!? せや!(ピコン♪)じゃが……ブシャシャ!(ニチャァ)」


「(; ・`д・´)ナンダコイツキモッ!?」


 目にも留まらぬ早業で回り込んだミラリィ。

 だが、それを見て瞠目するものの、すぐに下卑た笑みに顔をゆがめる藪賊!


 するとどうだろう。


 何とタゲを約呼らからミラリィへと変更!

 その華奢な身体へマニピュレーターを伸ばしよったではないか!


「ブシェェエ~イ!(ズオォ!)ヨシ! 捕ったどぉ~!(ガキィン!) ブシャシャ!」


「(>_<)シマッタ!(ガシィッ!)」


「”な!? なんとぉ~!”」


「はわわ! ミラリィちゃんが!><」


「つかまっちゃったよぅ~! にゅわ~ん!(´;ω;`)」


「「「シマヒキ!(しまった!)」」」


 突如としてミラリィへTOZGEKIした藪賊!

 勢いにのってその小さい身体を甲板から掠め取るや、乱流渦巻く航路外部へと連れ去りよった!


「ブシャシャシャ……ブーッシャッシャッシャ! 馬鹿な奴らめ、まんまと騙されおったな! 俺様の狙いは最初からスケベ小娘じゃあ! ブシャシャ!」


「(; ・`д・´)ゼッタイウソダロフカシテンジャネーゾハゲ」


「”えっ!? いや先程はどないしよとか言ってませんでした?”」


「そうよ!(便乗)確かに言ってましたよ!」


「にゅ~、言ってたね~。嘘つき~(*'ω'*)キャッキャッ」


「ブシャ!?(カァァ)い、言うとらん! そんな事言うとらんわぁ! 全ては俺様の神算鬼謀、深慮遠謀の賜物じゃあ!」


「”いやいや、普通に咄嗟の思いつきですよね……”」

 

「((´∀`))ミエハンナハゲ」


「恰好悪いです!」


「クサ~イ!(*'ω'*)キャッキャッ」


「クラシモノw(愚か者めw)」


「ユユシククサキw(くっせーヤツw)」


「カタクナナルカナw(だっせーなオイw)」


「ええい黙れ黙れ!(´;Д;`) 作戦ったら作戦なの! っていうか捕まっとるのに随分余裕じゃなスケベ小娘ェ! じゃが形成逆転じゃあ! 一万馬力を誇るこの俺様のパワーでもって握りつぶし、100%おなごジュースに絞り取ってやるぁ~! ブシェェエ~イ!(ガキィン! ギュウゥウ……!)」


「(・ω・)ム!(グググ……)」


 涙目になって赤面し、必死に弁解しよる藪賊。

 

 とうとうムキになって、両のマニピュレーターに己が動力を集中。

 ミラリィをハンバーグの種にせんと圧を加えよる!


「”な! 一万馬力とは!? 軍用MDFの2.2倍はありますよ!?”」


「ええ!? ……とぉ……? ン? 何だか微妙な感じですねぇ……いまいち違いが分からないっていうか……?」


「にゅ~ん! 地味だねぇ~。如何せん~(*'ω'*)キャッキャッ」


「!? ブシャア! 地味じゃない! 微妙って言うな! 寧ろ俺様サイズの機体の出力じゃったら十分スゴイじゃろがぁ!」


「”まぁ、それは確かに……いうて地味な数値ですけど……”」


「しつこいぞイケボのにーちゃん! と、兎に角じゃ! この圧倒的なパワーでもって! 小賢しいスケベ小娘を絞りカスにして、うぬらの減らず口を縫い合わせてやるぁ~!(ギュグググ……!)」


「(>_<)……ッ!(ギリギリ)」


 思てたんと違うツッコミに尚も赤面しつつ、更にパワーかける藪賊。

 翡翠の戦乙女の御身を守る、聖なる煌めきに満ちた戦装束が悲鳴を上げる!


「”クッ、地味ながら何てパワーだ!”」


「微妙だけど、ミラリィちゃん危な~い!?><」


「にゅう~、雑な感じのパワーにやられちゃうよぉ~(´;ω;`)」


「ブシャシャ! もう知るか! 何とでも言え!(´;ω;`) どっちにしろスケベ小娘が押し寿司になるのは最早確定的に明らかなんじゃ! うぬらはそこで震えながら見とれぇ~い!」


「(;´Д`)ウウゥ(グギギギ)」


「アヤフシ(危ない!)」


「ヤメヨヤメヨ!(クッソ止めろハゲ!)」


「ヤムゴトナキスキズキシオナゴガ!(貴重なエロカワイイおなごが!)」


 キトゥンちゃんらの辛辣な口撃に匙を投げた藪賊。

 いよいよ開き直り、一気にフィニッシュをかける!


「ブーッシャッシャッシャ! 如何にうぬがバケモンでもこれはどうしようもあるまい! さぁこれでフィニッシュじゃ! タヒねスケベ小娘ェ! ブシェェエ~イ!(ギュオォン!)」


「(; ・`д・´)!?」


「”ああ!? ミラリィさんが!”」


「うう……! このぉ~……やめなさいよ!」


「にゅわ~ん! 潰されちゃうよぉ~(´;ω;`)」


「「「ナムサンポウ!(南無三!)」」」


 最早成すすべがないキトゥンちゃんら。

 力無く抗議するも、時既に時間切れ。


 可憐なる戦乙女が翼を捥がれて陵辱される様を想像し、思わず目を覆った!


 ……だが、そうはならなかった!


「ブシャシャ! ぶっ潰れろぉ~……って、あ、アレ?(グッグッ)」


「( っ ‘ᾥ’ c)ムー……!(ググググ……)」


 拘束されながらもグググと踏ん張るミラリィ。

 

 肉塊となる筈だったその身体は、潰れるどころか微動だにせぬ。

 それどころか、今度は藪賊自慢のマニピュレーターの方が軋みをあげよる。

 

 これに瞠目し、たまらず悲鳴じみた叫びをあげる藪賊。


「ブッシャアァア~~~~!? な、何でじゃあ!? パワーのみならずトルクですら俺様を上回るじゃとお!?」

 

 何とかその抵抗を抑えんと藻掻くアクチュエーターであったが。

 想いでの糸車よろしく、からから空回りするばかり。

 仕舞には過負荷に耐え切れずプラズマを放電し始める始末。


「”おお!?”」


「はぁ! なんてこと……こらえなすってますよ!」


「スゴイスゴ~イ!(*'ω'*)キャッキャッ」


 涙目になりがなら何とか未知なる暴虐に抗う藪賊であったが……。

 健闘虚しく(?)小さき魔神の膂力を前に、自慢のアクチュエーターがとうとう屈してしまいよる。


「⊂(*´ω`*)⊃ヘーイタイショウw(ガラッ)」


「ブシャアアァア~~~~! ”やってるかい?w”みたいなノリで開くんじゃねぇ~! 一万馬力っつったら人間四万人分のパワーじゃぞお!? スケベ小娘ェ! うぬはホントに一体、何者なんじゃああああ!(´;ω;`)」

 

 両の手で拘束を振り解いたミラリィ。

 空いた隙間より、そのしなやかなる美脚が解き放たれた。


 藪賊の悲痛な問いに答えるかの如く、痛烈な蹴りが藪賊のマニピュレーター目掛け放たれる!

 

「(・ω・)ッセーナハゲチネ(ポキッ♪)」


 美しき翡光の瞬きが、マニピュレーターの小指を根本から”ポキッ♪”と叩き折った!

 突然の出来事に一瞬呆けた藪賊が断末魔の叫びをあげよる!


「ブシャ? ……ブシャアアァア~~~~!? お、俺様の指ぃがぁ~~~~!?(ポッキリブラブラ♪)」

 

 追い詰めた筈が、逆に不可避の暴虐を咥え挿れてしまった藪賊。

 何を言ってるのか分からねーと思うが俺様も訳が分からん状態となり、より一層泣き叫ぶ!


 ……何故ミラリィの膂力が一万馬力ものパワーを上回ったのか。

 察しの良い諸兄は疑問に思うだろう。

 

 先程も述べたが、ミラリィの膂力は”常人の100倍”である。


 なら当然の如く、そのパワーも100倍となって、およそ1~2㌧位の過重を持ち上げるのが可能となる。

 だがその程度では一万馬力もの力を押し返す事等到底出来ぬ。

 

 しかし現に彼女は凄まじき圧力に抗ってみせた。

 ”なっとるやろがい!”と言われる状況である。


 何故か?

 それは、ヒットの身体能力は単純に等倍で表せないからである。


 ヒットが普通に片手で持てる重量は大体2㌔前後と言われている……。


 だが少し待って欲しい。

 

 頑張ればその10倍の20㌔位いけるのではないか?

 その事を諸兄はご存じの筈である。


 これ即ち、筋肉はンッと力めば伸びしろを生み出せる事を示す。

 

 このブレ幅が曲者で、非常に大きく不安定。

 計算する場合は指数関数的な乗算で試算すべしと言われている。


 通常で桁が一つ増える位の大きなブレなのだから、100倍ともなるとその幅は言わずもがな。

 最早関数電卓がエラーを吐いて諦める程である。

 

 それは当然の如く一万馬力とかいう欠伸がでる数値で収まるはずもなく……。

 旧世代の原子力空母をもかくやというまで高まる!

(凡そ30万馬力)


 ヒットの身体には未知の力が秘められている。

 鍛えれば鍛える程、無限の力を発揮するのだ!

(キンノオーラニイノチガモエル……ヒトハフシギナチカラヒメテル♪)


 ……ンンッ!

 兎にも角にも。


 自身が持つ力の凡そ30倍ものパワーを持った相手を掴み取ればこうなるのは自明の理である。

 

「(*´Д`)ソラソラ……(ポキッ♪ポキッ♪)」


「ブッシャアァア~~~~!? やめろやめろ! ひと様の指ぃをポッキリーみたく折るな!」

 

 嗜虐的な笑みを浮かべながら蹴りを放つミラリィ。

 あり得ぬ状況に藪賊は赤とんらんするのみ。


「”なるほど、ああやって脱出出来た訳ですね”」


「ついでに! ひえぇ……他の指もへし折ってますよ!」


「にゅ~ん! スゴイスゴイ! (*'ω'*)キャッキャッ」


 ワザマエ!

 

 このまま指を折り取っていけば、悠々と戒めから抜け出せるであろう。

 それどころか、破れかぶれの拘束をも封じる事すら可能ッ!


 一方藪賊は、さっさと手を離せばいいものを、動揺のあまり成すすべがない様子。

 キトゥンちゃんらは皆勝利を確信し、無様な藪賊をm9(^Д^)プギャーしよる。

 

 このままいけば、いよいよこのお馬鹿さんも年貢の納め時である……。

 だが、そうはならなかった!


「(;´д`)アッツカレテキタ(シナシナ)」


「ブシャアアァア~~~~!? やばいやばいやばいやばい! 指無くなる~! ……ンンッ!?(ググググ)何か軽なったぞ!?」


 運命の女神というのはかくも気まぐれである。

 滅多と出さぬ全力に、とうとうミラリィが耐え切れなくなったのだ。


 ……先程、ヒットの力にはブレ幅があると説明したが……。

 その類稀なパワーは常に発揮できる訳ではない。


 ヒットの瞬発力はおよそ数秒でエネルギー切れとなる。

 それは例え身体能力が100倍になったとしてもそうそう延長されるものではない。


 ミラリィとてまた、原子力空母並みのパワーを出せるのはせいぜい30秒が限界。

 ピークを過ぎれば、シナシナと力尽きてしまうのみ。

 

「(;´д`)アウゥ……」


「”ムッ!? ミラリィさんの量子反応が減少!? これはまずいです!”」


「はわわ! ミラリィちゃん疲れちゃったんですか!?><」


「にゅわ~ん! 後一息だよぉ~、ガンバッテ(´;ω;`)」

 

「な、何か知らんが好機じゃあ! さっさとこの危ないおなごをペッってせな……(アセアセ) ど、どないしよ……! ……ッ! せや!(ピコン♪)」


 再び傾いた趨勢を藪賊は見逃さなかった!

 残った指で何とかミラリィを掴み取ると同時に。


「ブシャシャ! やはり宇宙そらはこのブッシュワーカー様を望んでおるんじゃ! スケベ小娘の存在など認めん! ここから居なくなりやがれ~い! ブッシャア!(ブオン!)」


「====Σ(; ・`д・´)シマッタ!?(ギュオン!)」


「”ああ!?”」


「ミラリィちゃんが!><」


「吹っ飛ばされちゃったよぅ~!(´;ω;`)」


 あーっと!?

 ミラリィ君吹っ飛ばされた~!?


 何を思ったのか、藪賊がミラリィを航路外部へと放り投げよった!

 形勢逆転、強烈な一撃を受け船外へと吹き飛ばされるミラリィ!


 ……咄嗟の事とは言え、やはりこやつもスペースローグの端くれ。

 一瞬の閃きで最適解を手繰り寄せたワザマエは侮りがたいものがある。


 この場は大宇宙のど真ん中。

 地表とは違って周囲は真空、遮るものなど何もなく。


 ミラリィにかかった勢いはとどまる事を知らず……。

 その身をとうとうG・ロジスティックラインの境界をぶち破るに至った!

 

「(@△@)ヒェー(グルグル)」


 逆巻くイオン乱流が容赦なく襲い掛かり、翡光煌めく戦乙女を、まるで川面を走る木の葉の様に弄ぶ。


「ブッシャシャシャシャ! イオン乱流のお湯加減はどうじゃスケベ小娘ェ! バケモンにはバケモンぶつけるんじゃい! これこそが俺様の真の狙い! 思い知ったか、ブシャシャ!」


「”ええっ!? 先程同様にどないしよとか仰ってましたよね?”」


「そうですよ!(便乗)確かに聞きましたよ!?」


「ほら貝みたいに~、ふかしすぎだよね~(*'ω'*)キャッキャッ」


「なっ!?(カァァ)言うとらん、そんな事言うとらん! あれはうぬらを油断さす演技じゃあ!」


「イツハリクサシ~(うそくせー)」


「ミエヲナハリソハゲ!(見栄はってんじゃねーよハゲ!)」


「コノヨニオルガアシキ!(存在が下手なやっこだ!)」


「!? ええい黙れ黙れぃ! っていうか存在が下手ってなんじゃああああ!? うぬらも大概クチ悪いなボロット共ォ! と、兎に角じゃ、そんなあり得ん事で俺様をいじっとる場合なんかぁ? ブショオ~ン?」


 ミラリィを何とかした事で再び余裕を取り戻した藪賊。

 姿を現した時と同様の、下卑た笑いを浮かべながら甲板へと舞い戻る!


「うぬらを護るスケベ小娘は居らんくなったぞ! 見てみぃ、あの様をのォ! 宇宙の渦(第四十七話)に巻き込まれてアップアップしよるわぁ! ブシャシャシャ!(ゲラゲラ)」


「(>Д<)アップアップ」


「”ミラリィさんの量子反応、尚も減少中! このままだと危険です!”」


「なんてこと……! これじゃコンベクションレイヤーが切れちゃいます!><」


「にゅわ~ん! 早く助けないとぉ~(´;ω;`)」


「「「ナムサンポウ!(南無三!)」」」

 

 二転三転する戦況は藪賊側へと傾いた!

 尚も厭らしい笑いを浮かべながら、ゆっくりと追い詰める様に、キトゥンちゃんらへとにじり寄るブッシュワーカー。


「大分ヤラれちまったが、阿婆擦れとロリ巨乳を始末する位の力は残っとるぞぉ~! ブシャシャシャ……!(ニチャァ)」


「”くっ!? 約呼さん逃げて!”」


「うう……キモい! 離れなさいよ、このぉっ……><(ドギュンドギュン!)」


「にゅう~、くさーい! あっちいちゃえ~(´;ω;`)ノシ(ブンブン)」


「サカシキクラシモノガ……(調子に乗るなよ……)」


「ワレラモズイブントミクビラレシモノカナ……(シャバゾウがなめやがって……)」


「シカワレラノチカラヤユカシキ……(そんなに僕らの力が見たいのか……)」


「ブシャシャ……無駄無駄w(カンカン)何とでも言うがええわ! もう勝負ついてるから^^」


 約呼らによる決死の反撃も虚しく。

 全て藪賊の全身を覆う装甲に阻まれ、何の成果も得られなかった。

 

 それを見て更に、流石にローグは格が違ったとでも言わんばかりに勝ち誇る藪賊。

 いまだアップアップするミラリィを指差しながら、尚もキトゥンちゃんらを卑しめよる!


「最早負け惜しみにすら聞こえんしのぉw うぬらの貧弱な攻撃同様に全く堪えんわw あの宇宙の渦(第四十七話)はなぁ、この俺様ですら”ンッ!”って力まにゃ持っていかれる位強烈無比! いかなスケベ小娘とてどうにもならん!」


「(>Д<)ウワーン!(アップアップ)」


「”くうぅっ……このままでは約呼さんが……(ウオォー! オノレユルサン! イマイクゾクラチィー!)は!? ちょ、億代くん!? 落ち着いて!(ドッタンバッタン)”」


「うぅ……! ここまでなんですか……!><」


「にゅわ~ん!(´;ω;`)」

 

「ナムサンポウ!(なんてこった!)」


「ナクベキゾ(なけるぜ)」


「クッ、コロサバコロセ!(くっころ!)」

 

「ブシャシャ! ようやっと己が分際を思い知った所で最早時既に時間切れじゃあ! ここらで一気に葬ってやるわい! さぁ、覚悟はええかぁ~? ブシャシャシャw」


 そういってマニピュレーターを高々と掲げる藪賊。

 邪悪なる黒鉄の掌型が聖なる天獄の煌めきを飲み込み、鈍色の光をぎらりと禍々しく放つ。


「うぬらはようやったが、相手が悪かったのう! ともあれこれで、阿婆擦れ御一行様は全滅の再起不能リタイアじゃあ! っつう訳でぇ~……この俺様に対する悪口を、やめなさい!(ズオォ!)」


「きゃ、きゃああ~!><」


「にゅわわ~ん!(´;ω;`)」


「「「ナムサンポウ!(南無三!)」」」


「や、約呼さーん!(クラチィー!)”」


 勢いよく振り下ろされる巨塊!

 

 ああ、このままキトゥンちゃんらはトマトの様に”やめなさい!”と潰されてしまうのであろうか!

 艦橋にて組み合ってほたえ散らかす貴将と億代は、そんな光景を想像し、思わず目を覆った!

 

 ……だが、そうはならなかった!




 

 ……♪……




「な、なんじゃ!?(ビクッ♡)」


「は!? まだ生きてる……?」


「”こ、これは一体……何か聞こえてくるような……”」


「にゅ~……歌? 歌が聞こえるよぉ~( ^ω^)?キョトン」


 その時、不思議な事が起こった!

 真空中であるにも関わらず、各人の耳に歌声が飛び込んできたのだ。



 ……~♪……~♪……



「ブ、ブシュシュ……だ、誰がこんな……、!? ブシャ!? ブッシャアァア~~~~!?(メキメキ)」


「な、なんですか!?(ビクッ♡)」


「突然苦しみだしたねぇ~( ^ω^)?」


「”どうした事でしょう……? 計器には何の異常も検知されてません!”」


「サテモウルワシ……(何と美しい……)」


「メデタキウタゴエナリ!(素晴らしい歌だ!)」


「ヤムゴトナシ!(サイコー!)」


 真空中にも関わらず、辺りに響き渡る歌声。

 その美しき旋律に聞き惚れるキトゥンちゃんら。

 

 ボット達もまたノリノリであったが……。

 何故か藪賊のみが、殺虫剤を喰らったGの如く苦しみに藻掻き、のたうち回っていた。


「ブジャア~! いてぇ、いてぇよぉ~! この聲を、止めてちょうだいぃ~(´;ω;`)(ドッタンバッタン)」


「”うーん……何故この人はどったんばったん大騒ぎなすってるんでしょう?”」


「綺麗な声なのにね~( ^ω^)?」

 

 藪賊のどえらい悶絶っぷりにドン引きしつつも、歌声の主を求めて周囲を見回す約呼。

 

「そ、それよりも一体誰が……? は! あ、あれは!?」


 ンンッ……!

 to be continued....なんじゃ!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

おっさんスペースライダー・星永哲人の宇宙紀行 ~行方不明の親父を探して25年のおっさん苦労人、いつの間にかブラック職種のスペースライダーにうっかりなって助けた宇宙聖女と宇宙に潜む巨悪に挑む羽目になる~ 波乗りとびー @hiraganaemon

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ