爆笑?!巨大風船大爆発?!ゲーム
アほリ
爆笑!?巨大風船大爆発!?ゲーム
お笑いやコメディには、小道具としてのゴム風船が不可欠である。
膨らんでいくゴム風船に芸人は激しい恐怖のリアクションが求められ、
破裂するゴム風船に芸人は激しい仰天のリアクションが求められる。
・・・・・・
「爆笑!!巨大風船大爆発ゲーム!!」
ドンドンドンドンドンドン!!
パフ!パフ!パフ!パフ!パフ!
俺は今、大きなアクリル板で覆われた箱の中に閉じ込められている。
目の前に、まだ膨らませてないゴム風船が垂れている。
ゴム風船といっても、ゴムが大きい。
普通のゴム風船より何十何百倍も大きな大きなゴム風船だ。
もうすぐ、この巨大なゴム風船に空気が入れられる。
そして、みるみるうちに大きく大きく膨らみ、アクリル板の箱の中の俺をぺちゃんこにしてやがて耳をつんざくドデカイ破裂音を出してこの超巨大なゴム風船がパンクするんだ。
中身の小麦粉が爆散して、俺を白い粉だらけにしてテレビカメラの向こうのお茶の間に俺の醜態を晒すんだ。
しかも、俺はパンイチ。裸同然だ。
しかしだ。まだ俺にはこの醜態を晒さす心配が無い『安全弁』がある。
あいつだ。
このゲームは、あいつが出された『お題』に沿った絵を目の前のホワイトボードに書いて、その絵の正解を俺がちゃんと答えれば、この巨大風船地獄から抜け出せる。
という事になってるが・・・一応・・・
本当に『一応』だ。
面白可笑しく演出するなら、俺が正解を答えても巨大風船は膨らみ続けてどっちみちアクリル板に膨らむ巨大風船に潰されて大破裂されるんだ。
俺は一応、芸人だ。
その時の受け狙いのリアクションを取らなければ、カメラの向こうのお茶の間にこの身体を張った『芸人魂』は伝わらない。
俺は『芸人』だ。その時はその時で、『芸人魂』を魅せてやろうじゃないか!!
・・・って、怖いよ!!この巨大風船が割れる瞬間が!!
「それでは問題ですっ!!」
じゃじゃーーーーーーん!!
ぷうっ!!
ぶおぉぉぉぉーーーーーーーーー!!!!
やば!!巨大風船に空気が入って膨らみ始めた!!
少しだけ膨らんでても、中の小麦粉が風圧で踊っている!!
怖ぇぇーーーー!!もう俺の肩幅以上に風船膨らんでるよぉーーー!!やべぇぇぇーーーー!!
相方!!早くホワイトボードに答えの絵を書け!!
何ボケーーっと突っ立ってるんだ!!
うわーーーー!!風船がもうこんなに!!
こんな時、どんなリアクションをすれば・・・
そうだ!!
「助けてぇーーーーー!!俺はまだ死にたくねぇーーーー!!」
・・・・・・
「全く・・・テレビ局に動物が侵入したって・・・!!どんなセキュリティしてるんだ?!」
「おーい!!何処に行ったんだ!!」
「奴がスタジオに入り込んだら、番組進行に支障が出るぞ!!早く捕獲しないと!!」
「おーーい!!奴はいたかーーー?!」
「ここにはいませーーん!!」
「全くもう・・・!!」
ここまで来れば一安心かな・・・
『僕』は、街に行ったは行ったで迷ってしまってさ、人と人と車と車と車に翻弄されて頭が混乱したまま駆け込んだ大きな建物。
『僕』は得体の知れない大きな建物の中を駆けずり回って隠れたとこが、透明な箱の中。
しかし、何これ?真上の青いフワフワしたやつ?
今さっきから、ぶぉーー!って轟音がしてるんだけど。
あーーー!!うっせぇーーわ!!
んん?このクダは?ここからか。ぶぉーー!って煩い轟音は?
届くかなあ?
よっこらしょ!!よっこらしょ!!えいっ!!ジャンプ!!
届かないっ!!もう一度ジャンプ!!
きゅっ!!
やっと届いたっ!!よっこらしょ!!
すぽっ!!
えっ?!
ぷしゅ~~~~~~~!!
何なんだ?!フワフワの中から物凄い風が!!フワフワが縮んでく!!
・・・・・・
あれ?巨大風船が萎んでいく?
何だか解らんけど、助かった?
「あっと!!ハプニング?!風船が縮んでいきます!!」
・・・・・・
やばやばやばやば!!元に!!元に戻さなきゃ!!
ぼぉーーーーーーーーー!!
風が!!風が!!反発するっ!!よっこらしょ!!
かちっ!!
ぶぉぉぉぉーーーーーーーーーー!!
・・・・・・
くそっ!!いきなり風船萎ませて安心させて、また膨らますとは!!こんな焦らし戦法、リハーサルの打ち合わせになかったぜ?!
演出の奴に文句言ってやる!!
「何かトラブルがあったじょうか?また風船が再び膨らんでいきます!!
さて、相方が答えの絵をボードに書きました。
さて、答えられますか?」
答えられねーーよ!!
何だ相方!!絵心ねぇーな!!何の物体だ?!この絵は!!
「おむすび!!」
「ブブーーーーッ!!ハズレーー!!風船の膨らみが更に早くなりまーす!!」
ぶぉぉぉぉーーーーーーー!!
「うわぁぁーーーーー!!富士山!!」
「ブブーーーーッ!!ハズレーーー!!空気のバルブはマックスにしまーーーす!!」
ぶぉぉぉぉぉーーーーーーー!!!!!
「やめろーーーーーーーー!!やめろーーーーーーーー!!うったえてやるーーー!!」
って、芸人としてリアクションの掴みはOKだけど!!
でけぇ!!でけぇーーーーー!!
超巨大風船がでけぇーーーー!!!!
アクリル板が!!アクリル板が!!
巨大風船に板挟みになるーーーー!!
くっ!!苦しいーーーー!!むぎゅううううーーーー!!
「さぁーーーーて!!答えられますかぁーーー!!」
答えられるかボケぇーーーー!!
打ち合わせではこんなに巨大な風船じゃなかった筈だぁーーーーー!!
俺を窒息させる気かぁーーー!!
相方!!今度こそちゃんとした絵を書けぇーーー!!
・・・・・・
むぎゅっ!!むぎゅーーーっ!!
フワフワがーーーっ!!フワフワが僕を潰してくるよーーーーーっ!!
・・・・・・
みしっ!!みしみしっ!!
ふ、風船が大きくなりすぎてアクリル板を押しているだとぉーーー!!
もうだめぼ。息が苦しい!!
もう空気が・・・空気はこの巨大風船の中身だけか・・・
苦しい・・・いや、芸人なら苦しい顔をお茶の間に見せないで、ここで一発『芸人魂』を見せるだけさ!!
俺は、アクリル板に顔を押し付けて変顔を!!びろ~~~~ん!!
「ねぇー!何やってですかぁ?」
おい!!相方!!おめては安全圏でアホ面え下手な絵を書いて、俺を苦しませて面白いのかぁーーー!!
この収録終わったら、俺に何かおごれや!!
・・・っていまさっきから、この巨大風船の奥でモゾモゾと何かが蠢いてるけど。
ヘビ?
風船の次はヘビかいーーー!!
この局は俺を舐めてるのかぁーーー!
「あーーー!!遂に風船はアクリル板の囲いをはみ出したーーー!!これは怖い!!怖い!!」
怖いのはこの実況じゃーー!!
おめえも1度俺みたいに巨大風船に潰されてみろっつーんだ!!
・・・・・・
むぎゅっ!!むぎゅっ!!むぎゅっ!!むぎゅっ!!
はぁ・・・はぁ・・・
フワフワがどんどん迫ってきて『僕』を圧迫していくぅーー!!
脱出しなきゃ!!何とかここを脱出しなきゃ!!
そうだ!!この天井へ!!
ま、眩しい!!ライトが眩しい!!
ダメだ!!上を見たら!!
むぎゅっ!!むぎゅっ!!むぎゅっ!!むぎゅっ!!むぎゅっ!!むぎゅっ!!
ぐぐぐぐっ!!
「アクリル板が歪んでますっ!!それでも巨大風船はどんどん膨らみ続けますっ!!」
おい!!相方!!さっさと答えの絵を書け!!
まだおめえはボケーーっと突っ立ってるのか?!
解散だ!!おめえとはもうコンビ解散だ!!
見殺しにするならすりゃいいんだーーー!!
俺はこのまま風船に押し付けられて死ぬだけ・・・
モゾモゾモゾモゾ・・・
な、何なんだ?!き、気持ち悪いぃ!!
ヘビか?!あの毒ヘビが俺の前に這ってきたのか?!
・・・・・・
あ、人間。『僕』は、ハクビシンの『ギヤマ』宜しくぅ!!
・・・・・・
は、ハクビシン?!
ピンポンピンポンピンポンピンポン!!
「ハクビシン!!正解でーーす!!」
『ハクビシン』が正解??なんじゃそりゃ。
「かちっ!!かちっ!!あれ?ブロアーの停止ボタンが故障したみたいですっ!」
お、お約束?!
リアクション芸人魂が呼び覚ました。
「勘弁してぇーーーー!!!」
みしみしっ!!ばりばりばりっ!!
どかーーーーーーーん!!
ばぁーーーーーーーーーーーん!!!!!!
アクリル板の囲いは崩壊して、超巨大風船はとてつもない轟音をスタジオじゅうに響かせてパンクした。
俺はショックで途方に暮れてその場で倒れた。
「だいじょーび?」
間もなく相方がやって来た。
「だいじょーび!だいじょーび!」
お互いの持ちネタで締めた時には、「はいオッケー!」と収録終了。
どう転んでも、俺達二人はやっぱり『芸人』。
その頃、俺と鉢合わせしたハクビシンは、巨大風船の破片を被って、スタッフに追いかけられていた。
しかも、このハクビシンとスタッフとの大捕物劇をカメラで捉え続けてそのまま放映したら、俺の身体を張った巨大風船大爆発より視聴者に大ウケしたらしい。
俺達『芸人』っていったい・・・
~爆笑!?巨大風船大爆発!?ゲーム~
~fin~
爆笑?!巨大風船大爆発?!ゲーム アほリ @ahori1970
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