共感できる普遍性と、物語としてのエッセンス

主人公は少し尖った女の子。

とりわけ、家族へ向ける「恥」の感覚が、たとえ同じ状況を経験していなくても、自分の思春期の頃を思い起こせばうっすら想像がついてしまう。

それだけに、「そんなにトゲトゲしなくても」と簡単には言えない。「そういう時期もある」と気持ちを寄り添わせつつ、ハラハラと見守ってしまう。

この作品のとても良いところは、そのヒリついた感覚を書くだけ書いて投げっぱなしに終わっていないところ。
作品を通して、この子はこの子で家族を大切に思っているのだ、という安心感が読後に余韻としてしっかりあり、
主人公がこの先、この家族とともに、地に足をつけて成長していくだろうと伝わってくる部分だと思いました。