勇者というと異世界とか、何かのクエストを遂げる人を想像しますが、こちらの「勇者」はちょっとちがいます……否、「遂げる」という意味では、間違っておりません。「勇者」は美女と邂逅を果たし、とある「クエスト」へと挑みます。その「クエスト」は、実は誰もが挑めるものではありますが、その「失敗の恐怖」から、誰もが尻込みするものです。しかし――勇者、見参!見守るわれわれは涙なくしては読むことが出来ません。その涙は、実は笑い涙――おっと、これ以上は言えません^^;ぜひ、ご一読を。
こういう角度で描くグルメがあるのかと勉強になりました。グルメ小説なのは前提なので読者は着丼を待つ客と同一です。軽妙な文章に乗りながら徐々に近付くその瞬間。例えるなら真夏の暑い日にもどかしくもガリガリ君の袋を開けて靄を立てるそれに齧り付く瞬間。意外と固い。この先は本文を読んでください。私はカップうどんにお湯と常備している瓶詰めカレーペーストを入れました。あとガリガリ君は当たりました。
昔懐かしいアキバ系オタク男子の一人称が見事で、あれよあれよと読み進めることができました。カレーうどん、きっとおいしかっただろうな。
学生。サークル。コミカルな口調ですすみます。各話のタイトルの不思議感。美味しくうどんをすすりたい……そんな想いの人はぜひ読んでみてください。
私はどこへきてしまったのかと、思わず辺りを見渡したくなる世界観ですが、語り口のセンスの良さで瞬く間に引き込まれました。オチもおもしろい!
オタクたちのオタオタしい言葉遣いやら日常やらがとても楽しい。濃厚な日常が、とあるきっかけで変化していく様もまた楽しい。タイトルは内容とどう関係してるのだろう……と思っていたら、なるほど……。それは確かに、勇者のためのもの。楽しいお話をありがとうございました!!
なんと言っても濃ゆいキャラが魅力の作品。個人的にアニメの監獄学園を想像させた(知ってる人いるかな?)仲の良いキモオタ達の捻くれながらも和気藹々とした話と、突如あらわれる美女が魅力的です!