第2話 〜坂上サヨ編②〜
ブチッブチッ
無意識のうちに、頭の上に手を乗っけて、またブチっとする。
机の上には、山のように髪の毛が積み重なりその髪の毛をぐちゃぐちゃと丸めて筆箱に押し込む。
世の中を騒がせてる感染症が流行り始めて、半年ほど経った。
サピランは休校になって、その間家庭教師が家に来て一対一でみっちり算数や国語の勉強をするようになった。
そして、最近塾が再開した。
今日の授業は、石神先生の授業だ。
クラスが下位になってから、ずっと、理科は石神先生の授業だ。
理科は1番苦手だから、いつもクラス最下位。
石神先生は、点数ごとに手を上げさせるから、最後にいつも残る私はいつも目をつけられる。
悪い先生じゃないのに、この時間が辛くて、苦しくて、どうしても好きになれない。
毎日塾に通うのは、辛くて辛くてしょうがない。でも、高い学費を払ってもらっているのに、行かないわけにはいかない。
コンビニで買った、チキンを頬張りながら、それだけを楽しみに、私は塾に通う。
「坂上、この問題わかるかー?」
「あ、えっと、わかりません」
悔しくて、悲しくて服の裾を握りしめて下を向いた。
「は?じゃあ、三浦」
「水酸化ナトリウムです」
「正解。坂上、この黒板の表覚えとけよー」
くすくすと、笑い声がする。
なんのために、なんで、私は受験を始めたんだっけ。
私は、何になりたいんだっけ。
もう、何もわからないよ。
「ただいまー」
もう、何もする気にならない。
ベッドに寝転びながらパソコンで永遠にネットサーフィン。
ただ、無気力に時間を過ごす。
「サヨ…勉強しなさい!お姉ちゃんたちにはこんなこと言ったことなかったのに」
なんなのだろう。
お姉ちゃん、お姉ちゃん。私は私なのに。
しかも、塾から帰ってきたばかり、さっきまで辛いけど苦しいけど、ちゃんと勉強してたのに、ママは、何もわかってくれない。
「なんなの!?勉強しろって…、さっきまで勉強してたのに」
ドンドンとわざわざ音を立てながら階段を駆け上がると、ドアを勢いよくしめて声を殺して泣いた。
NAKIWARAI 暁 @soyosoyo
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。NAKIWARAIの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます