ヘッポコスキー隊

@ramia294

  

 北海道にスキーツアー。

 今日は、僕たちのスキーツアーです。

 年にいちどのお楽しみ。

 三泊四日のスキーツアー。


 僕たちのスキーは、ヘッポコです。

 ボーゲンだけでも北海道。

 転げ回って雪まみれ。

 それでも楽しいスキーツアー。


 スキー場に到着したのは、午後でした。

 とっても良いお天気に、恵まれました。

 少しだけ滑りました。

 美味しい夕食の後、ナイタースキーを少しだけ。

 お日さまの光降り注ぐ、明るいところでも転げるのに、ナイタースキーは、雪まみれ。

 早くもグローブが、雪まみれ。

 もちろん、グローブの予備は、たくさん持って来ました。

 ヘッポコ隊の必需品。


 ナイタースキーの照明に、動物たちの足跡が。

 さすが北海道。

 夜は動物たちのパラダイス。

 あれは、キタキツネ。

 こちらが、エゾシカ。

 まだまだたくさんの足跡。

 北海道は、自然が豊か。

 あれは、エゾリス。あれはポンポコリン。

 そして、あの大きな足跡。

 大きな足跡?

 誰の足跡? 

 

 宿の温泉は、とても気持ちもよく、その日は、ぐっすり眠ります。

 翌日は、少し怪しい空模様。

 僕たちは、宿の近くのリフトから。昇って、滑るを繰り返します。

 頂上付近には、白い雲が、ひと休み。

 雲も長旅ご苦労さん。

 

 ひと休みした白い雲が、重い腰を上げるまで、風待ちです。

 僕たちは、リフトふたつを乗り継いで、そこから滑って楽しみます。

 風が、吹きました。

 雲が、重い腰をあげました。

 僕たちは頂上を目指します。

 リフトをいくつも乗り継いで、ヘッポコスキー隊は、もう少しで頂上です。


 風が、吹きました。

 白い雲を連れてきました。

 目の前は、真っ白です。

 頂上へのリフトの乗り場が、見えません。

 仕方なく、僕たちは滑り始めます。


 宿はどちらにあるのでしょう?

 たぶん、みんなが迷ってます。途中会う人は、みんな苦笑い。

 

「もしもし、すいません。道に迷いました。宿の隣のナイターコースはこちらで良かったでしょうか?」


 大きな方が、尋ねてきます。

 ガスで姿が、はっきりと見えません。

 女性の声で尋ねてきます。

 どうやら子供連れ。

 きっと困っているのでしょう。


「良ければ一緒に降りましょう。僕たちも宿に向かって滑って行くところです」


 親子連れは、ついてきます。

 もちろん、僕たちヘッポコスキー隊。

 降りる方向はヤマ勘です。

 コースの案内看板だって見えません。

 第六感が冴えわたり、真っ直ぐ無事に宿の前。

 風が吹いてきました。

 白い雲の休憩時間は終わりました。


 開けた視界に、親子連れ。

 なんと、クマさんではありませんか。

 ここは、北海道。

 ヒグマさんの親子です。


「今は冬。外は雪。ヒグマさんは冬眠の時間ではありませんか?」


「はい、そうです。トイレに行きたくなり、起きました。外に出ると、この子にとっては、初めての雪。つい、はしゃぎ過ぎ、ガスに巻き込まれてしまいました」


 おかげで、助かりましたとヒグマの親子。

 冬眠の穴に、向かいます。

 途中、いったん立ち止まりました。

 僕たちヘッポコスキー隊。

 ヒグマのごはんになるのかな?


 ヒグマの親子が振り向きました。

 大きな爪が光っています。

 ヒグマのお母さんが言いました。


「今日はどうもありがとう。おかげで冬眠に戻れます。それにしてもあの視界の無さで、よく迷いもせず宿まで来れました。何か秘密があるのですか?」


 僕たちヘッポコスキー隊。

 ヒグマの母さんの質問に答えました。


「僕たちヘッポコスキー隊。野生の勘が冴えました」


 ヒグマのお母さんは、笑いました。


「私も野生の勘が欲しいです」


 動物の皆さん。

 山で道に迷ったら、ヘッポコスキー隊にご相談ください。

 

 僕たちの第六感。

 きっとあなたを目的の場所へ送り届けます。




              終わり













  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ヘッポコスキー隊 @ramia294

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ