請暇
深川夏眠
請暇(せいか)
あたくしが祖母から聞きましたのでね、何でももう随分、相当昔のことで。
祖母の名は
まさにその時分、寝室で
「お父さまがお帰りになりたがっているわ。縁側から部屋に上がりたいって」
輝子は子供らの不審げな顔など目に入らぬ様子で、深夜に雨戸を力任せに引き開けた。その瞬間、ゴォォォゥゥゥッ――と強風が吹き込んだ。室内の調度は震え、掻き乱され、輝子も子供たちも髪と言わず寝間着の裾と言わず滅茶苦茶に煽り立てられてしまった。滲んだ
後日、船医さんの処置の甲斐あって快癒した龍一郎は無事、帰宅しましたけれども、話を突き合わせますと、まさに輝子が取り乱して馳せ回っておりました頃、龍一郎は濡れ縁に面した和室に上がって、いつもの薬を吞みたいと、
請暇【了】
*2022年3月 書き下ろし。
*縦書き版は
Romancer『掌編 -Short Short Stories-』にて無料でお読みいただけます。
https://romancer.voyager.co.jp/?p=116877&post_type=rmcposts
請暇 深川夏眠 @fukagawanatsumi
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