第六感を恐れる少女は素敵な夢に抱かれたい
チャーハン@カクヨムコン参加モード
素敵な夢を見たことがないんです
私は、今日も無意識に見る夢の中で殺される。
今日も明日も
ずっと変わらず、私は殺されていく――
*
聞きなれた甲高い笑い声と鳴り響く警笛音が鼓膜を振動させる中、
もし他人がこの光景を見たら、何を謳うだろう。
そんな行為はやめろという自己に溺れたような正義感か。
ずっと生きてくれという他者の気持ちを無視した自己満足なのか。
命を簡単に捨てるなんてという嘲笑なのか、哀れみなのか。
そんな者は、人間の本心を見抜ける
ただ、これは知ってほしい。死ぬのは怖い。
――そろそろ、お別れの時間らしい。
聞きなれた摩擦音と地響きが
直立不動して、立ちすくむことしか出来ない。
唯一出来ることは――
あなたの最期を見届けるだけ――
けたたましい絶叫を辺りに響かせながら鉄蛇は進み続ける。
道中、鉄蛇は何かに衝突し深紅の液体と引き裂かれた肉塊を吐き続けたが、特に気にする素振りすら見せず闇夜に姿を消した。
三日月照らす午前一時。鉄蛇が通り過ぎた線路の上にこびりついた深紅の液体と肉塊を見つめながら、私は線路の外に立っている。既に冷え切った生物だった物は痙攣する素振りすら見せず骸となっていた。
夢が見せる世界は、残酷だ。
目を背けたい光景から目を背けられないから。
夢が見せる世界は、残酷だ。
他の人が見るような幸せな夢を見せてくれないから。
夢が見せる世界は、残酷だ。
私に傍観者という罪を背負わせるのだから。
私は夢の世界が大嫌いだ。
第六感を恐れる少女は素敵な夢に抱かれたい チャーハン@カクヨムコン参加モード @tya-hantabero
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
同じコレクションの次の小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます