KAC2022・第二回目・お題『推し活』

curuss

『推し活』とは

 『推し活』というテーマを考え続けたら、存外にも自分を見つめ直すことになった。

 そもそも自分は『推し』ができにくく、気に入っても『作品』そのものだったりと――いわば情の薄いタイプと考えていた。

 しかし、数少ないと思っていた『推しキャラ』も、挙げていけば主人公や人気どころばかり。なんの衒いや外連もなかった。

 若い頃には認められなかったが、やはり私は凡人なのだ。万人が好むような登場人物へ当たり前に惹かれてしまう。


 また『推し活』は『尊い』と密接な関係に思えた。

 そもそも『尊い』という表現は大袈裟に思えるも、しかし、そう的外れなでもない。

 けっして言葉を知らない若者達の誤用ではなく、素直な情動の発露と見るべきだろう。

 事実として『尊い』と感じるのだから。


 個人的な例を挙げると漫画『憂鬱くんとサキュバスさん』の第62話でヒロインの『さくまさん』は、アレな人間ばかりの公園で――

「ウチから見たら、みんな普通や。普通に生きとる」

 と褒め称える。

 私が単純な人間だからかもしれないけれど、これを読んだ瞬間に作品は永遠となったし、素直に尊いとも感じた。

 ……「『尊い』を『本当に尊いシーン』で語るのか?」と誹られるかもしれないが。

 けれど本来は絵空事であるはずの創作に、魂を揺さぶられた一例ではあるだろう。


 誰もが其々に様々な作品で心を震わせる。

 当然、その反応も多種多彩だ。

 より深く感動を求めたり、とにかく誰かへ伝えたくなったり、べつに創作意欲を触発されたり。

 おそらく『推し活』という言葉は、これら全てを内包するので、すぐには理解し難い。

 表面的には『作品鑑賞』や『布教活動』、『創作者の後援』、『ジャンルの擁護』と思い着く何もかもで範囲が広すぎる。

 そして根底に『尊い』という感動――余人の目には映らないものが必要だ。


 踏まえると『推し活』とは「ある作品を感動した結果に起こす行動」であり、それ以外に定義しようのない極めて個人的な事柄といえる。



『憂鬱くんとサキュバスさん』

 さかめがね氏による日本の漫画作品。うつ病啓蒙ラブコメ?

 『となりのヤングジャンプ』と『ニコニコ静画 (マンガ)』で全話公開中。

 ただし、現在は休載されています。


 ……休載中作品の紹介は、正直、悩んでしまいます。

 続きを催促するつもりはないのですが、そんな感じになっちゃうし……書けない時は書けないもんだと私にも分りますし。

 それはそれとして、お薦めはしちゃいますけど!

 ……嗚呼!? 今回は本文そのものも『推し活』だった!?

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