QRコード推し♡

最時

第1話 QRコードの日

 お昼休みのオフィスで二人の会話。

「マナ。9月3日は何の日か知っている?」

「・・・知らないけど」

「だよね~ マナは知らないよね~」

 マナは少しムッとして、スマホをいじり出す。

「いろいろあるようだけど、これと言った日はなさそう」

「そう! そこなんだよ!! こんな大事な日がまったく認知されていないんだ」

「何の日?」

「QRコードの日」

「・・・ へー。9月3日に発表されたとか?」

「違う。Qと9。rはtheeのR」

「・・・ fouじゃないんだ」

「fourでも別にいいけど」

「・・・」

「マナ、待って」

  無言で席を立つマナを呼び止めた。

「ツバサが決めたQRコードの日なんて知るわけないじゃん。なんなの?」

「みんなQRコードの恩恵を受けているのに、QRコードについて知らない人がほとんどだと思うんだ。そこで私がQRコードのことを推し広めようと」

「へー。なんで?」

「QR コードはもともと、日本の自動車部品会社が部品管理のために開発したものなんだけど、その優れた性能と特許権をオープンにして特許権を行使しないことを宣言して、様々なシーンで使われている凄い技術なんだよ」

「うん。そうだよね。私も電子決済とかで使っているし、あとチケットとか」

「そう。私も一介のエンジニアとして、そんな技術を開発できたらなあって」

「そうなんだ。頑張ってね」

「頑張るよ。ちなみに私のスマホに貼ってあるこのQRコードを読んでみてくれないかな」

「あー。前から何だろって、気にはなっていたんだけど」

 マナは読み取るとURLが表示され、アクセスするとマナの恥ずかしい写真が表示された。

「ちょっと何これ! いつ撮ったの? すぐ消して!!」

「大丈夫だよ。このアドレスを知らなきゃアクセスできないはずだから」

「そういう問題じゃなくて、写真を消して!」

「え~。ほんとはこの写真をスマホに貼りたかったんだけど、この形で我慢しているんだから」

「そんなのダメに決まっているでしょ!」

「私が尊敬するQRコードと大好きなマナの組み合わせは最高だと思うんだ。このQRコードを見ているだけで私は・・・」

「・・・変態」

「ありがとう。変態はその道を極めようとする者に対する敬称だからね」

「・・・」

 マナは無言で眼を細めていた。

 そんなマナを横目にツバサはスマホにQRコードを表示してみせる。

「これは会社で導入を検討している顔認証のQRコード。このQRコードには顔のデータが入っていて、このコードと顔を認証することでサーバーなどを介さずに手軽に顔認証をできるんだ」

「へー」

「そしてこのQRコードはマナの大好きな藤木先輩の顔データー」

「そっ、そうなんだ」

「そう。よく見て。これが藤木先輩の顔データ」

「・・・ ちょ、ちょっとトイレ行ってくる」

 マナは小走りでトイレへ向かった。

「マナ~♡」


参照

wiki QRコード

DENSO WAVE 顔認証SQRC

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