第二十六話 : 幽霊とデート④

写真を撮った後も私たちは思いっきりチームラボを楽しんだ。

行ってみるまではチームラボというところは大人向けなのかと思っていたが意外にも体を動かす施設も多く子供連れでも満喫できると感じた。

その後、チームラボを後にして向かったのはショッピングモールのようなところ。

その中のお店でお昼ご飯を食べることにした。



「お一人でお待ちのクマイ様」



店員さんに呼ばれて待機していた椅子から立ち上がり店員さんの方へ向かう。こちらですと言われて案内された席は一人掛けの席だった。

今日は■■さんとデートなのに一人掛けの席に座って彼は立ちというのはどうなのだろうか。



「すいません。待ちますのであそこみたいな二人掛けの席にしていただけたりしますか?」



私は案内された席の近くにあった二人掛けの席を指さしながら店員さんに尋ねた。

店員さんは一瞬嫌そうな顔をしたが聞いてみますと店の奥に消えていった。

幽霊の彼もそんなことしなくていいのにという表情で私を見つめていたが私にとって彼と今日一日楽しく過ごしたというのは大事なことなのだ。

彼の気持ちも考えずこんなことをするのは自分勝手だと私も思う。しかし彼と私はこの先一緒に歩いて行くことはできない。だからこそ私をもう一度歩かせてくれた彼との思い出が欲しい。

いや、違うな。ただ単純に私は好きな人との思い出が欲しいだけなのだ。本当に純粋に明日から私が歩いていけるような思い出が欲しい。



「あの、お待ちいただけるなら他の席へのご案内も可能です」



店員さんが後ろから声をかけてくる。

私は店員さんに感謝と待つ旨を伝えて元の待機椅子にもどった。



「お待ちのクマイ様」



再度名前が呼ばれ席に案内される小さいテーブルに椅子が二脚で向かい合う感じで座る席だった。

彼も私の前に座り嬉しそうな顔をする。やっぱり勇気を出して言ってみてよかったと実感する。

私の前に店員さんがコップとメニューを置いた時に私は言った。



「もう一つお水を頂けますか?」



店員さんは不思議そうな顔をしたがもう一つ水を持ってきてくれた。それを私は前の席に置いて彼に言った。



「■■さんのやつですよ」



びっくりした後に周りを見回す彼はとても可愛らしかった。


ご飯を食べ終わりお会計を済ませた後に外に出て彼に向って言う。



「次の目的地はこっちです!」



そう言って私は指を指す。気分はさながら船の船長のようだった。

私たちは雑談をしながら風が強く吹く橋を通り二十分程歩いて目的地に着いた。



「ここです!」



私は偉そうな顔をしながら彼に向って言った。

倉庫のような外見の建物でここは私が昔から行ってみたかった所だった。

世界最大級のミニチュアミュージアムでオープンのニュースを聞いてからいつか行けるのを心待ちにしていたのだ!



「さあ!■■さん!行きますよ!」



彼が私の方へ向かってきたのを確認してから私は向きを変えて入場口に向かった。

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夢の幽霊 鬱金香 @iruy-no

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