The End

 * * *


 高校を卒業し、大学での生活はあっという間に過ぎていった。

 毎日のたくさんの授業、たくさんの人との付き合い、レポートや課題の提出。環境がガラッと変わり、毎日が大変で、それでも充実した生活を送ることができていると思う。

 過去の私がいつ、どうしてスクールカウンセラーを志望したのかはよく覚えていないが、暗い感情から子供たちを救うことができたら素敵だと思う。頑張るぞ、というやる気だけはいつでも心の底から湧き上がってくる。

 そうして1年が過ぎてしまった。

 私はその日もいつもの授業に出るため講堂に向かい、適当な席についた。


 ぱらぱらと教科書の今日の授業の該当ページを読んでいると、あ、と少し遠くで呟く声が聞こえた。どうしたんだろうと思い少し顔を上げるが、まあ大丈夫であろうとすぐに教科書に目を落とす。それからすぐに、肩をとんとんと叩かれる。驚いてそちらを向くと、紅い瞳と視線が交差した。

「……やっと、見つけた」

「見つけたって?」

 なぜだか分からないが、その瞳には見覚えがある気がした。私は、面倒事に巻き込まれそうになっているのだろうか。


 ───Fin

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まもりたいもの 水神鈴衣菜 @riina

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