無双しない王道ファンタジー+α
- ★★ Very Good!!
特に良かった点は、戦闘描写がとても上手いこと。
脳内でアニメ再生出来るくらいには丁寧に描かれている上で、描写がくどくなりすぎていない加減が絶妙だと感じました。戦闘中に短い言葉で敵と交わされる挑発や罵りもリアルで感情が乗っていて良かった。
無双こそしませんが、順当に強くなっていき、それに応じた地位名声を得ていく立身出世的な楽しみ方も出来ます。
限られた手札で工夫してジャイアントキリングを成し遂げることもありますし、頭を使って戦う描写が好きな人にも刺さりそう。
あとはステータスものには珍しく物理的な限界に言及されているのも新鮮で面白かった。
例えば、いくらステータスを上げて人間離れした筋力がついたとしても、踏みしめた地面が砕けてしまえばうまく踏み込めず素早く動けないし、音よりも早く動こうとすればソニックブームが発生してその影響が……といった具合に、ステータス的に限界はなくとも「人間としての実質的な限界」について考察して語られているのが新鮮でした。
惜しかった点は、誤字が非常に多いこと。これについてはちょっと覚悟がいるレベルかもしれません。
あとは、個人的にパワーレベリング出来てしまう設定は余計だったと感じています。
本作は、魔物が「人間にとって価値あるもの」を核として誕生するという独自の珍しい世界設定なのですが、魔物に価値あるものを与えれば魔物が強化されてランクが上がり、それをキルゾーンにて発生させて楽々討伐してレベルを上げることができ、それを主人公はパワーレベリングとして認識、度々実行しています。
作中で主人公が自分の力量の無さを嘆くシーンが何度かありますが、その割にはレベリングしてひとまず3次4次職の強さを求めようとしないあたりに、舐めプしているような印象を受けてしまいました。
その結果仲間を救えなかったりしているわけで、個人的に舐めプ(と読み取れる展開)はあまり好きじゃないです。まぁ、当然物語の展開の都合上そうしているわけですが、だったらPLはそもそもなかったほうがよかったかなぁと思います。
ただまぁ、不満といってもそれくらいで、(誤字はともかくとして)文章は洗練されていて読んでいて違和感を感じることはありませんし、そういった「都合」を無視して楽しめる方であれば、王道+αの設定のファンタジーとして、ファンタジー好きにはおすすめできる作品だと思います。