推しを愛でるうちに、壁になりたいという願望を抱くことはありませんか? 夢視点では人間として同じ目線に立ちたいかもしれませんが、腐のときは無機物として見守りたくなりませんか? 空気はおこがましいけれど、天井や壁として俯瞰したいと。腐ィルターなんて存在しないと感じているドルオタの皆さんも、親のような慈愛のまなざしを送ることはあるのでは。推しの恋人になりたい訳ではないけれど、一定の距離を保って応援したい方は多いはず。
本作の主人公も、推しアイドルへの深い愛情を持っています。ライブ会場に向かう途中、トラックに轢かれて魂だけの状態に。彼女が第二の人生として選んだものは、推しの部屋の壁でした。女神さまとの熱いトークに「それな」と頷いてしまうかもしれません。真面目な表情、にやけ顔と、読み進める度に感情の起伏が激しくなる作品です。