わたしが構う王様

バブみ道日丿宮組

お題:わたしの嫌いな王 制限時間:15分

わたしが構う王様

「呼びましたか」

「呼んでいません」

「でも、呼ばれたと聞きました」

「気のせいでは?」

「じゃぁ戻ります」

「戻らなくていい」

「やっぱ、なにかあるんですね?」

「ないよ」

「じゃぁいきます」

「ダメ」

「相変わらず面倒な人ですね」

「これでも王様だぞ」

「はい。そして幼馴染でもあります」

「タメ口は許されない」

「でも、何もしませんよね? 周りだって、いつものことかって顔してますよ」

「そうでもー、だめー」

「最近お風呂入りましたか」

「……5日前」

「毎日入るってこないだ約束しましたよね?」

「……知らない」

「ほら、行きますよ」

「つ、掴むな! いや、いやだ!」

「子どもですか! 子どもでもちゃんとお風呂は一人で入れますよ!」

「だ、だって、水怖い」

「咎人を殺してる人のいうセリフですか!?」

「悪いことしたのは悪いやつ。水は透けてて怖い」

「一緒に入ってあげますからいきますよ」

「ひ、引っ張るなっ!?」

「じゃぁ、お姫様だっこでもしますか? 立ち位置が逆ですが」

「そ、それは……いいかもしれないけど、やっぱだめ!」

「我慢しても勝てませんよ。あなたみたいなおこちゃま体型は踏ん張りがきかない」

「はやくいけー、いけー」

「なら行きましょう。はい、これで立った」

「やだー、助けろ! 誰か助けろ! なんで、皆見てる! 反逆者だぞ!? 反乱だぞ!? 闇討ちじゃぞ!?」

「何もあってません。皆お風呂に入ってくれることを望んでるんです」

「ぎぃぃぃぃぃ」

「はい、捕まえました。あとは持ってくだけですね」

「やめろー」

「はいはい」

「お主わしのこと嫌いであろう」

「はい、大嫌いです。こうやっていちいちグズる妹みたいな王様は嫌いです」

「ならば、放置すればよかろう。お風呂を入ったところで死ぬことはないのだから!」

「謁見しにきたものが、悪臭に困ることは大変なことですよ」

「王なのに……王なのに……」

「王様ならもっとしっかりとしてくださいね。幼馴染のわたしが手をやかないぐらいには成長してください。でないと、おじさまに顔向けできません」

「父上なんか無視しろー」

「いやです。たった一人の尊敬できる人でしたので」

「むきー! わしを尊敬しろ!」

「ほら、つきましたよ。服をはーい脱いで」

「やめろー、脱がすな」

「わたしも脱ぎまして、はい。行きましょう」

「……ずるい」

「何がです?」

「お前ばかりが、成長して! どうしてわしは成長しないんじゃ!」

「きちんということを聞いて、好き嫌いをしなかったからじゃないですかね。そういえば、おばさまは結構なものを持ってましたね」

「見るなー! 比較するように見るんじゃなーい」

「じゃぁ、行きましょう? お風呂は湯気で少し見づらくなりますし。あ、入ったら、大きくなる秘密を教えてあげますよ」

「そ、それなら……入る」

「素直に普段からそう言ってくださると、楽なのですが」


 湯気もうもう。

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わたしが構う王様 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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