輪廻転生

Let it be...には、Lib達が活躍をする為のメインホールとステージがもうけられている。そこにはライトが天井から吊り下げられていて、それらを動かす為の機械が所狭ところせましと設置されている。


「三原色を駆使くしして沢山の色を創り出す事」


簡単に言えるけれど、美しく色を出し、舞台で活躍する人を際立きわだたせるにはとても高度で繊細な技術とセンスが必要になる。


それをやってのけている唯一のLibいつきくん


本人曰く、自己流じこりゅうで学んだ家具の配置や商品がより目に入る展示方法で、Let it be...の店内、ライトアップまで幅広く担当し、主役であるLibやLibによって創作そうさくされた作品を際立きわだたせる重要な役割を担っている。


「ここに居る時間はとても幸せだし、楽しいけど他のみんながすごすぎて私はここに居ていいのか時々不安になる。」


「確かにね〜、みんなそれぞれ武器を持ち合わせてるから本当にすごいよね〜」

「俺のする事は、他のみんなよりも出来ることは少ないし、目立たない。だけど、みんなをより輝かせられる様なステージを作ることに関しては誰にも負けないと思う。だから、すーちゃんも人と比べるんじゃなくて初期能力をどう使うかで考えてみたらどうかな?」


私が他の人と比べるくせがあると相談した時にかけてくれた言葉。

本人は他の人とは違い、物を作るではなく空間を作るに少し劣等感を抱いている様だけど、自分が作った空間でみんなが笑顔になるのがとても幸せらしい。


日々、努力をしてレイアウトの勉強をおこたらず誰にも考えつかないようなレイアウトを考えてくれる。

しかも、有名な国立大学に通っていて、勉強はもちろん、スポーツも出来る。

人柄もよく、ルックスもよくて誰からも愛されるような人。

そんないつきくんが私は羨ましかった。


「私、いつきくんになりたい…」


普通なら聞き逃す様なぼそっと呟いたのをいつきくんは聞き逃さなかった。


「俺になりたい…ねぇ…」

「口に出したことはないと思うけどさ、俺は、すーちゃんみたいになりたいなぁ」


突拍子もない返答がかえってきて、私はたじろいだ。


「誰に対しても尊敬して、誰に対しても気を使う。すーちゃん自身は少し欠点のように感じるかもしれないけど、少なくとも俺からしたらかっこいい。」


その時のいつきくんの目は、少し怖いくらいにとても真剣な目をしていた。





メインホールに入ると私のカラーであるオレンジで飾られた空間が広がっていた。


「私のために作られた空間…」


お世辞にもとても広いとは言えない場所だけど、それでもLibらが力を合わせてつくってくれたステージがあまりにも綺麗で言葉を失った。


グッズLibの同級生のしぃが私に満面の笑みとピースサインをした。


「どう!?うちも色々手伝わせてもらったんよ!オレンジの花を使ってフラワーアレンジメントしてみました〜!」


「本当にありがとう…!!みんながせっかくつくってくれたステージ、潰さないようにしないと…!」


「気合入れて頑張ってな!!」


背中をバンバン叩きながらいつもの関西弁で応援してくれる。


「俺もいつも通り頑張ったぞ〜」


いつきくんは汗で少し脱ぎにくくなったライトを運ぶための軍手と格闘しながら後ろから声をかけてくる。


「本当にありがとう。私も頑張るね」


2人から苦労したところやこだわりのポイントを聞きながら、入念に他に変更点がないかどうかのステージの最終チェックをした。


「それじゃあ、そろそろ自分の方の最終チェックしてくるね」


「おう、楽しみにしてるぞ〜」

「うん、うちらもみてるで〜!」


心強い声援を背に私は僕になる為に部屋に戻った。



用意してもらった衣装とヘアメイク、ボディペイントに身を包み、今回の流れについて確認を行う。


「映像流した後にステージ上手側から登場し、ピン点灯。色は水色で。」

「そのあとは翠咲すざく自身で自由に進行していっても構わないよ。」


「分かりました、ありがとうございます。」


「…よし。それでは気合い入れてがんばって行きましょうか!翠咲すざく、なにか一言よろしく」



「今回のイベント、必ず成功させたいと思います。僕の力だけでは足りないので、Libの皆さんの力をお借りさせてください。よろしくお願いしますっ!!!」


気合いの声が空間を圧迫した


息ができない


でも不思議なことに苦しくはなかった


僕が出来ることを精一杯にやるだけだ



今宵、私は僕に生まれ変わる

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私の心臓を僕に捧げる サヴァレン㌩ @Len_0123

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