普通の専業主婦だけど二刀流で小説書いてる私が初めて異世界ものに挑戦し何がなんでも世界を平和にしたいという「祈り」を込めて王子と座談会する話。だって戦争のない世界を望んでいますと声を大にして言いたいから
和響
誰もがこの世界の創造主
「母上! 母上! 母上ー! し、しっかりしてください! 母上!」
「王子、もう……わ…たしは……―― 」
「母上! こんなところで終わってはなりません! 我が国は今、王の暴走で国民も真実を知らされることなく、たくさん命を落としているのです! 母上が今居なくなれば、この国は、この国の国民の愛のエネルギーも消え去ってしまいます!」
「お、王子。それ……は、あ、あなたに任せる……わ。私の、愛……の…エネルギーで……は……、もう王を止めることなど……ずいぶ……ん……ま、前からできないのです……。だから! だ、だから……あ、あなたが…ぐっ……っ!」
「母上! もうお話になられてはいけません! 身体がもう薄れて消えていってしまいそうです! 母上、母上ー! 」
「はうぅっ…うっ……! さ、さぁ、もう私には時間がないの、も、もうすぐ、消えてしまうわ。…うっ……だ、だからその前に、こ、これを……」
そう言って、俺の愛する母は、今にも消えてしまいそうなか細い腕を俺に伸ばし、手に握りしめていた小さな四角い虹色の箱を手渡した。俺がそれを受け取ると、母の身体は光の粒となりきらきら輝きながら、俺の腕をすり抜けて、消えていく。
「母上、母上! 行かないで! いかないでください! はは……お、お母さーーーんーーー!!!」
俺はありったけの声を振り絞って叫んだ。だが、母はキラキラと光の粒となり輝きながら、俺の周りを優しく包み込んだ。そして、さっきよりもしっかりとした口調で俺に言った。
「あなたならできるわ。それは、『どこでもすぐに繋がれるドア』のようなもの。この国以外の国と繋がれる唯一のもの。本来なら王はそれを継承し、他のイロイロな国の情報を得て、平和な国を治めるはずなのですが、あなたの父は、それを拒否したのです。自分の判断だけが正しいから、そんなものはいらないと言って、代々受け継がれて来たものを葬り去ろうとした。だから、私は自分の身体の奥深くに仕舞い込んで、隠して来たのです。さぁ、王子、愛する我が息子よ。アオイロ王国を飛び出して、それを使い、あなたの父の暴挙を止めるのです」
「は、母上! ですが私は、これを使ってどこにいけばいいのかわかりません!」
「それは、そのものがあなたを導いてくれるでしょう。行き先は、カクヨーム王国という、創造主たちが住う場所です。そこで、このアオイロ王国の、いいえ、それ以外も、イロイロな色のイロイロな国々が平和になれるように、創造主たちに物語を書いてほしいと、お願いしにいくのです。さぁ、もうおゆきなさい。愛する息子。あなたなら、きっとできるわ」
「ははうえー………!!」
俺は母の愛の光に包まれ、気を失った。温かい母の温もりを感じながら……
***
――はっ! ど、どこだここは!?
目が覚めた俺が居た場所は、とても賑わっている街のようだった。空には何やら広告のようなホログラムがたくさん浮かび上がっている。いろいろな絵のホログラムだ。俺の世界ではあまりみたことがないような、水色のスライムに顔がついた絵や、女に囲まれてウハウハしている戦士の絵、ワインを飲みながら旨そうなものを食べている男の絵、猫耳をつけた男や、妖怪のようなものまで、様々な絵がその広告のなかでまるで生きているかのように動いている。
よく見ると、周りにいる人々も、様々な格好をしている。例えば、戦闘服を着たような男、胸の大きい美少女、民族衣装を着たようなものなどだ。
――ん? あ、あれは? ネズミか?! 毛のないネズミがエプロンをつけている……? い、いったいここはどこなんだ!? と、とにかく、誰かに聞かなくては。俺はここに暴君になってしまった父を止めるために来たんだから!
「ちょっと、すいません」
俺は意を決して、すぐ近くを歩いていたおばさんに声をかけた。ヨレヨレのズボンに黒いシャツを着た、わりと普通のおばさんに見えたからだ。
「はい?」
「あ、あの、ここは、カクヨーム王国ですか?」
「あぁ、はい。そうですよ。変なこと聞きますねぇ。あなたもカクヨムさんじゃないの? そんな童話の中のどっかの兵士みたいな格好をして」
「え?! い、いや、俺は今ここに来たところなんです! 俺の国を、世界を救うために、ここにやって来て、それで……、そ、そうだ! 創造主を探しに来たんですよ!」
「え? 創造主?」
俺はこのおばさんに、今までの出来事を掻い摘んで話した。今、俺のアオイロ王国で起きていること、隣国の水色王国と戦争状態にあること。そして、その原因は、俺の父、アオイロ王国の王が暴走して、誰の話も聞かなくなってしまったことなどだ。すると、このおばさんは、不思議な顔をして、
「うんと? それ私のお話に似ているわね」
と言った。それはどういうことですか? と俺が聞くと、このおばさんは、立ち話もなんだから、私の本屋についている『近況カフェ』でちょっとお話ししましょうか、と言い、
「私の近況カフェへレッツラゴー!」
と声に出した。するとどうだろう! あっという間に目の前の景色が変わり、そのおばさんの本屋とやらについた。
――な、なんだこの、普通の家みたいな本屋は!?
おばさんの本屋はどこか懐かしく感じるような、普通の家だった。だが、俺の国にあるような家じゃない。
「さぁ、どうぞどうぞ」
おばさんに勧められて、俺はその『近況カフェ』とやらに足を踏み入れた。小さな酒場のようなところだ。所々に小さな花瓶で花が生けてあり、どこか母の懐かしい空気を感じる。
どうせなら縁側で話しましょうか。お天気もいいし。と、おばさんに靴を脱ぐように言われた俺は、靴を脱いで部屋に入る習慣がないため、俺の足の匂いを気にしたが、そんなの気にしなくていいからというおばさんに言われるがまま、靴を脱ぎ、床が草で編んである部屋の窓辺に腰を下ろした。
――心が落ち着く。久しくこんな気分は味わってなかった。父が、アオイロ王国の王が戦争を仕掛けたせいで、たくさんの戦士と共に生きていたから。
「で? さっきの話なんだけど、私の書いたお話に似てるわねって言ってたでしょ?」
と、おばさんは切り出して、それがこれなんだけど、ちょっと妄想アトラクションで体感して来てみて。と言って、
「いでよ!【祈り https://kakuyomu.jp/works/16816927860583337962】」
と声に出した。すると、便利。妄想世界。青空に向かって、たくさんの白い鳩がお手紙を持って飛び立ち、その真ん中で青色の服を着た男の子が手を振っている、なんとも平和な『祈り』の表紙が現れて、俺はその中に溶け込むように入っていった。
――まさに、今の我が国のようだ。だがしかし、少し違うのは、この物語のアオイロ王国の王は、闇の勢力に耳を傾け、戦争を始めようと思ったということだ。私の父は自らの欲で戦争を始めてしまった。そして、もっと違うのは、戦争になる前に、小さな男の子の手紙が世界中に届いて、我が国、アオイロ王国の国民が、戦争に行くのを放棄したということだ。そんなことは、まず、あり得ない。だって、我がアオイロ王国は、母の話によると、他国の情報を聞くことができる、俺が今持っているこの、『どこでもすぐに繋がれるドア』が父により葬り去られ、小さな男の子の手紙は、誰の耳にも届かない……うっ!む、胸が苦しい。どうしたんだ。俺は一体……。泣いているのか?俺は……
締め付けられるような胸の痛みと、温かく流れ落ちる涙が頬をつたい、俺は、さっきのおばさんの店へと戻って来た。
「どうだった? 似てるでしょ?」
「似ている……。だがしかし、俺の国とは違う。俺の父は、光の勢力に耳を貸して、戦争をやめたりしていない。そして、俺の国には、白い鳩も、ワタリドリも、やって来てはくれない……」
俺は締め付けられるような胸の痛みに耐えながら、絞り出すようにそう言った。するとおばさんは、俺の母のような優しい声で、
「だから、ここに来たんでしょ?」
と言った。そして、
「ここは、みんなが二刀流の国、カクヨーム王国よ! ここに住んでいるカクヨムさんたちは、みんながみんな、自分の胸の中にある物語を紡いでいる、いわば創造主の集まりなのよ。だから、私も、あなたの国が平和になりますようにってお話を書くし、他のカクヨムさんたちもきっとそんな想いを胸に書いている人がいっぱいいるはずよ。そして、私たちの国、カクヨーム王国は、あなたの持っているその虹色の箱が、国民一人一人に与えられている。その虹色の箱を使って、世界中に平和を届けることができるの。私たち一人一人が、白い鳩であり、ワタリドリになれるのよ!」
と微笑んだ。そして、
「いでよ! 【KAC2022 ~カクヨム・アニバーサリー・チャンピオンシップ 2022~】」
と言って、何やら広告のようなものを浮かび上がらせた。
「今はこのイベントをやってるみたい! 少しづつだけど、ここで、あなたの国にワタリドリさんたちが飛んでいって、あなたのお父さんの耳元で光の使者が囁いてくれるように、私、優しい光で「愛の言葉」を綴り、光の一部となって、この全部に挑戦するわ! そして、「祈り」をイロイロな国の言葉で、世界中に届けれるように頑張る。私以外にも、たくさん平和を願って物語を書いている人がいる。だから、諦めないで。みんなに呼びかけましょう。アオイロ王国まで届いて欲しいと!」
と言って、店の掲示板に、
『KAC2022二刀流作品!普通の専業主婦だけど二刀流で小説書いてる私が初めて異世界ものに挑戦し何がなんでも世界を平和にしたいという「祈り」込めて王子と座談会する話。だって戦争のない世界を望んでいますと声を大にして言いたいから。』
と書いた。おばさんが言うには、文字数の関係でもうこの話は未来に託しましょうとのことだった。
誰でも創造主。この未来を作り出すのは、誰でもない私達一人一人であると、最後に書き加えて。
始まり
普通の専業主婦だけど二刀流で小説書いてる私が初めて異世界ものに挑戦し何がなんでも世界を平和にしたいという「祈り」を込めて王子と座談会する話。だって戦争のない世界を望んでいますと声を大にして言いたいから 和響 @kazuchiai
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