後悔先に立たず
迎えが来るまでカフェで待とうと歩き出した。すると目の前に1台の軽自動車が勢い良く突っ込んで来て止まり、窓から声を掛けられた。
「おーい、雪彦久しぶり」
「久しぶりだね、雪也」
聞くと雪也は夏休み中は近くの本屋でバイトしてて、今日は雪彦の送り迎えしろとの命令で、急遽呼び出されたらしい。
1歳上の雪也は少し長めの短髪。白い髪の間に、ちらほらブルーが混じるイマドキの髪型だ。
「大学入ってから全然、帰って来ないでどうしたんだよ。爺さん婆さんが雪彦、雪彦って、煩くて困るんだよな」
「ごめんね雪也。同居人達が連れて行けって煩くて。会わせたら、どんな災難にあうか恐ろしくてさ」
想像するだけで背筋がゾワゾワする。2人で何だかんだ話してる内に、真白一族が住まう山に着いた。
「こんちはー」
雪也が玄関先で声を掛けると、吹雪お祖母様が出て来て言った。
「雪彦久しぶりだねぇ。ちょっと見ない間にまた背が伸びたんじゃないかい?」
「お祖母様、ご無沙汰してすみません」
東京土産を渡すと、大事な話があると切り出す。黙って聞いていた、お祖母様は頷きながら話を聞き終わると、大きく頷いた。
「分かった雪彦、多少の騒がしさは我慢しよう。その代わりと言ってはなんだが、屋敷に住み着いたとか云う連中を連れて来るんだ」
嫌な予感は当たった。僕は一狼さんをホテルに行かせなければと凄く後悔したのだった。
月夜に乾杯 水月美都(Mizuki_mito) @kannna328
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