一難去ってまた一難
列車が止まると、賑やかな御一行はゾロゾロと駅前に整列した。一狼さんは周りを見回して 1台の送迎バスに近付いて行く。
僕は車体の名前を見てギョッとした。
「うわ〜寄りにもよってウチのホテルとは。一狼さん勘弁して欲しい……」
僕は誰にも見つからない様に、後退りしてフェードアウトしようとしたが、目敏く一狼さんに見付かりバスに押し込まれた。
「雪彦、何で逃げようとしたんだ?」
「一狼さんこそ、なぜ僕の父方の実家のホテルに予約なんかしたんです?真白の一族に顔を出す前に西園寺に行ったりしたら大変な事になりますよ」
一狼さんの顔色がサッと変わった。どうやら気が付いたらしい。運転手に向かい1人具合が悪いので降りると声を掛けると、今度はサークルの部長に念の為に病院へ行くと言い、バスを降りようとした。
「西園寺、大丈夫か?」
部長が心配そうに声を掛ける。運転手がパッと此方を見て、嬉しそうに叫ぶ。
「雪彦坊ちゃん! お久しぶりです」
一狼さんと僕は、顔を見合わせ諦め顔で頷き、運転手に遅れてホテルに行くので、着くまでは雪彦が居ることは内密にと頼んだ。
「雪彦悪かったな。さぁ行こうか」
「いえ、一狼さんは少し時間を潰してからホテルに行って下さい。真白の家に行くには、ここから車で40分掛かるので」
真白からの迎えの車を待つ間、不吉な予感がしてならなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます