パパと息子

温故知新

パパと息子

「くらえ! シャイニングジャスティスアターック!」



白と黒の二つの刀が交互に敵役である僕に攻撃してきた。



「うわ〜、やられた〜」



やられた振りをして、地面にうつ伏せで倒れた。



「ふふん、正義の光で悪を成敗!」



我が家の庭で、正義のヒーローが最後にする決めポーズを2つの刀のおもちゃをカッコ良く持って、見事に決めたもうすぐ5歳の息子を、うつ伏せの状態で横目で見た。


うん、今日も絶好調みたいだな。



ヒーローの決めポーズに満足した息子が、興奮冷めやらぬまま芝生で寝ている僕の傍に走って来た。


おっ、満足気な笑顔を見せているってことは、いつものパターンだな。



「パパ〜! 僕のシャイニングジャスティスどうだった?」



ほら、やっぱりいつものやつがきたな。



「うん、とてもカッコよかったぞ。特に最後の決めポーズは、昨日よりカッコよかったんじゃないか?」

「そうだよね! そうだよね! 昨日、パパとシャイニングジャスティスごっこした後に、ママに頼んでシャイニングジャスティスを観たから、今日の方がカッコイイって僕も思ってたんだ!」



太陽のような笑顔でぴょんぴょんと跳ねて喜んでいる息子に、小さく笑みを浮かべた。


今日はここで、終わりかな……?



「ねぇ、パパ!」

「うん、何だい?」

「今度は、シャイニングジャスティスハリケーンをしたいから、パパは怪人ジャマンダーをやって!」



ほらね、やっぱり1回では満足しなかったか。

でもまぁ、今日は休日だから、今日のところは息子に付き合ってやるか。



「パパ〜! 海斗〜! そろそろお昼よ〜!」



声のする方を見ると、妻が庭へと繋がるガラス張りの大きな引き戸から、こちらに微笑みかけていた。



「え〜! 僕、まだパパと遊びたい〜!」



まだ遊び足りない息子が、またいつものようにごね始めた。



「ほら、海斗。そんなワガママを言う海斗を、シャイニングジャスティスはどう思うかな?」

「ダメって絶対言う! ワガママで人に迷惑をかけちゃいけませんって、昨日言ってたもん!」

「だろ? だったら、ママの言うことを聞かないとな?」

「うん! ママ、ワガママ言ってごめんない!」

「は〜い、よく出来ました♪」



すっかり機嫌を良くした息子が、元気に家の中へと入っていくのを見届けると、息子が使った二つの刀のおもちゃを拾い集めた。

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