映像主義で小説を書く。

 先日、感想をもらいました。正直に「分かりにくい、無駄な描写が多い」とのことでした。分からなくもありません。なぜなら、私の作品は三人称視点で書かれており、今主流の一人称視点とは全く違う傾向であるからです。視点によって物語の見せ方や描写が変わるのは百も承知ですので、痛くても納得がいく素直な感想でした。


 そして、主な原因は私にあります。

 私は〃映像主義〃の作家。つまり、物語の全てを絵と演出で見せたいのです。

 主な理由として、自分の想像こそ最高の映像、と私は思うからです。


 例えば、主人公がヒロインと知り合いであるとします。

 小説では:「二人は以前からの知り合いだった」と明確な情報を書くだけで説明は成立します。しかし私が主張する映像主義でこの情報を説明するとなると、それを証明する描写か演出、またはその状況を描いたシーンを丸々作らなければなりません。


 めんどくさいと思うでしょう。しかし自分はこの方法が、物語の世界観にリアリティとオリジナリティを足してくれる感じがします。そしてなによりも、演出というのが論理的に説明できるからこそ、読者に頭を使わせてくれます。しかし気楽にラノベを読みたいという方はもちろんいるので、映像主義は欠点ともなります。


 その例として、登場人物に感情移入しなくなる、という大きな欠点があります。


 演出と描写だけだと、キャラクターたちが何を考えて、何を思っているかなどの内心に関する情報は隠れたまま。つまり登場人物に自分自身を見つけられない、そしてキャラクターに同情、同感するのが難しくなるというわけです。



 おさらい: 映像主義というのは、物語を絵にして、演出で見せながら語ること。奥深い世界観を作れますが、考察を前提としているので気楽に読めないのが欠点。そして登場人物の内面が判らないため、感情移入が難しくなる。



 ――— 以上です。


 私はこれからも演出を中心にするつもりです。皆様はこの〃映像主義〃に対してどのような考えをお持ちになったでしょうか? それでは、お元気で。

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デンマーク私事紀行 横溝照之 あんどイーニしゅまペ @EnigShuMaPe

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