さがしもの

荒川馳夫

たったひとつ、それが見つからない

 無限にばらまかれた砂粒の上に私は立っていた。あるものを必死にさがし当てようとしていた。


「どれだ。どれが砂金なんだ」


ここまで砂粒にまぎれている一粒の砂金を見つけようとして、多くの時間を費やした。砂金をさがし当てる方法は学んできた。自信はあった。簡単に見つかると。


だが、それは間違いだった。視界いっぱいに砂粒がばらまかれていたのだ。探す気さえ失せてきていた。はっきり言って、うんざりしていた。


「くそ、砂粒をそこかしこにばらまく人が多すぎる……」


そんなときだ。ピカリと光る粒が映った気がした。その辺りをさがしまわった。


「あ、あった。あったぞ!」


これまでの苦労が報われたと思った。やったぞ!


「しかし……」


私の体と心にはどっと疲れが襲い掛かってきた。


「書物を読みつくしても、インターネットに張り付いてみても、貴重なものはそう簡単に見つからないのがよく分かったよ。ああ、嫌だ……」


こう愚痴りつつ、私はまた別のところに存在する砂粒の山へとむかうのだった。






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さがしもの 荒川馳夫 @arakawa_haseo111

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