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 明かりを消したままの暗い部屋。ベッドに立てかけられたギターに手をかける。

 必死で覚えたギターだったのに。そう思いながらギターを軽く鳴らしてみた。

「どうしたの」

 彼女の心配そうな声が部屋の中に響く。

「やっと戻ってきたんだね」

 遠い過去を見つめるように彼女はギターを見ている。

「ギター買ったんだ」

 ミキがうれしそうな顔で言った。

「中古の安物にだからね。あまり音はよくないんだ」

「そんなことないよ」

 ミキが隣に来て部屋の壁に寄りかかる。ジーンズのホットパンツから伸びた足がまぶしかった。

 友だちから借りてきた歌本を畳に置いてギターと格闘していると、ミキがその歌本を拾い上げた。

「ダメだよ。わからなくなっちゃう」

「覚えてないの」

「ちゃんと覚えないと、あたしが歌えないじゃない」

 そうしているうちにミキの体が絡みついてくる。

 慌てて部屋の襖を閉めた。

「このギターのキズ、そのままなんだね」

 そうか、あの時彼女はちょうど部屋の前にいたんだ。制服のスカートと白いソックスが見えたような気がする。

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