成長の秘訣は……
荒川馳夫
わんぱく少年の勘違い
私が幼稚園に通う息子と食事をしていたときのお話。その日は妻、息子と一緒にラーメンを食べていた。
チュルチュルと音をたてて、おいしそうに食べる息子を見ているとほっこり。
すると息子がこんなことを言い出した。
「めんがどんどんふえていく。なんでだろう?」
麺がのびていくのを増えていくと思ったようだ。それに妻が一言。
「めんはお水を飲むと大きくなるんだよ」
へえ、そうなんだ!
口には出さずとも、顔で驚きを表現してくれた息子の姿に私と妻がさらにほっこり。
後日、息子は水道水をたくさんコップに注いで、ぐびぐびと飲んでいた。
随分と長い間、その場から離れなかったため、もう一度見てみるとまだ水をがぶがぶしている。
「パパ、ぼくね。おおきくなるためにおみずをのんでるの」
「たくさん飲んだのかい。どうして?」
「だって、おみずをのめば、めんのようにおおきくなれるんでしょ?」
なるほど。水をたくさん飲めば、麺と同じように大きくなれると考えたようだ。
「うーん、残念だけどお水を飲んだだけでは大きくなれないんだよ」
「どうして?」
そう聞き返されると私は機転のきいた答えが思い浮かばなかった。
「体をたくさん動かすことも必要なんだよ。お水だけじゃダメなんだ」
「そうなんだ。じゃあ、がんばる!」
なんとか、息子は納得してくれたようだった。
さらに数日が経ち、息子を迎えにいったときのこと。幼稚園の先生からこう伝えられた。
「最近、息子さんがお遊戯の時間にとても激しく踊るようになったんです。それまでは他のお子さんたちと同じように取り組んでいたんですが、ここ数日は元気ハツラツで……。お家で何かあったんですか?」
ハハハ、なんででしょうね。
私はそのように答えるしかなかった。
成長の秘訣は…… 荒川馳夫 @arakawa_haseo111
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
同じコレクションの次の小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます