1.5話

今日は2月14日、そう、バレンタインデー。世の中の女子は毎年この日に友達とチョコを交換し合ったり、好きな人にチョコレートを送る日だ。


私もそのうちの1人である。しかし、私は手作りではなく、市販の買ったものなので、友達には少しガッカリさせてしまうかもしれないという不安が募る。


「おはよっ!春菜!」

「さくらおはよ、相変わらず今日も早いね」

私が教室に入ると、私の親友、さくらがとびきりの笑顔で挨拶をしてきた。私もその笑顔で今日も頑張ろうという活力をもらった。


バレンタインではあるが、授業は普段通りだった。


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さくらや同じクラスの女子とチョコを交換したが、チョコレートがあまってしまった。なぜ、一つだけ余ってるんだろうか。人数分作ったはずなのに1つ多かったみたい。どうしようか。


…あ、あの人は…

無理だ…


じゃあ、話したことない同じクラスの男子にあげよう!


放課後、私は廊下で見かけた同じクラスの目立つ方ではない男子に余ったチョコをあげた。


「あの、これ、もらってください!」

「ありがとう。」


後ろからいきなり声をかけるのは勇気がなかったので、肩をトントンと叩いて振り向いてもらった。余ったキットカットのチョコを渡した。

渡すの緊張したけど、なんとか渡せてよかった。


緊張のせいで渡しただけでその場から離れてしまったけど大丈夫だっただろうか、変な奴って思われても仕方ない。

しかも話したことも無い人にチョコをあげるなんて誤解されるかもしれない。


まぁ、クラスメイトひとりにどう思われようが、どうでもいいんですけどね。私にとって。


「さくら〜!おまたせ!」

「春菜!何してたの?まさか好きな男子に本命チョコあげてたとか?」


今日はさくらと帰る約束をしていた。久しぶりに一緒に寄り道をしたいと思ったからだ。最近、授業が終わって、すぐにひとりで下校していたが、そろそろ飽きてきた。


「まさか!好きな人なんていないよー」

「そっか、じゃあ行こ」


昇降口に向かって歩き始めた。

そういえば、さっき余りのチョコをあげた男子の名前、知らないな。今度顔を合わせた時に聞いてみるとしよう。


「さくらこそ、好きな人いたりするの?」

興味本位で聞いてみた。さくらの恋愛事情聞いたことないから気になってはいる。


「んー、今はいないかな」

「そっか、恋愛ってよくわかんないよねー」

「そうそう」


たわいもない話をし、私たちは途中まで一緒に帰った。そしてその後私はひとりで寄り道をすることにした。



…まさか、今日の出来事がきっかけになるとはこの時の私はまだ知らなかった。



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僕たちの青春。 Sさん @uxpxrm

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