たった4000字で心を掴まれてしまう

作者の使う表現や人間描写が素晴らしい、って言う言葉が陳腐なモノになってしまう様な作品。これは映像でも漫画でも音楽でも伝記でも対話でも踊りでもどんな表現方法を使っても表すことが出来ない、小説だからこそ作り出せる空間を、たったの4000文字で作り上げられてしまっている。特別な言葉や表現方法などには頼らずに人物との距離感やその場に漂う空気感を作者自身のフィルターを通すことによって浄化させ、読む人の想像力に直接叩きつけてきて、読み手も気が付いていなかった様な懐かしくて大切だった感情を呼び起こしてくる。もう二度と取り返せないような思い出したくもないような、でも、根幹となって漂っている心の奥底の感情を掴んで揺さぶってくる。
そんな作品