第3話 初恋

「また明日も会えますか?」

彼女が心配そうに呟く。

僕は、嬉しくてたまらなくなった。また彼女に会えるのだ。

「もちろんです!」

思わず大きな声が出て、二人で顔を見合わせて笑った。

ひとしきり笑ったあと、手を振って帰路へと進んだ。

彼女が見えなくなって、それでもまだ僕は浮足立だっていた。

春休み中は、高校にいく必要がないから毎日会える。

初恋の青色で染まった僕の春は、幸福に包まれていた。





七時、珍しく早く起きた僕に母さんは驚いていた。

急いで支度をして公園に向かった。

まるで虫取りに行く小学生のように期待であふれていた。

やはり、桜の木の下で、彼女は待っていた。

「おはようございます。」

と笑う彼女は春のように暖かかった。

「今日は、植物園に行ってみませんか?」

僕は、スマホを開いて、昨日調べておいた地図を見せた。

絵を書いている彼女なら気に入るだろう。

「いいんですか!?楽しみです。」

彼女は嬉しそうにうなずいた。どうやら気に入ってくれたようだ。

夜遅くまで調べたかいがあった。

「では、行きましょうか!」

と言って、植物園へ歩き出した。

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時計が狂った彼女と @siturennsyouzyo

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