第2話 彼女

「勝手に見てしまいすみません。とても綺麗な絵ですね。」

彼女は照れたように

「毎年書いてるんです。」

と教えてくれた。

その絵を毎年隣で見られたらどれだけ幸せだろうか。

もっと春が好きになるに違いない、そう思った。

「良ければ、お友達になりませんか?」

僕は勇気を振り絞って聞いた。

心臓の音がうるさくて、周りの音が耳に入らなくなった。

何故こんなに緊張するのかわからない。

恐る恐る彼女の顔を見ると、微笑んでいるのがわかった。

「もちろんです。私は、間宮凜です。貴方は?」

「僕は山本修です。」

間宮さんは、嬉しそうに自己紹介を始めた。

彼女のかく絵のこと、友達がいないこと、好きな食べ物まで。

僕は彼女となら永遠に話していられる気さえした。

「山本さんは春が好きなんですか?」

間宮さんは僕に聞いた。

「はい。大好きですよ。間宮さんは?」

間宮さんは、少し考えてから、

「あまり好きではないです。・・・でも」

僕の顔を見て言った

「好きになれそうです。」

・・・・ああ。わかった。

僕は、彼女に・・・・。

なんて早い初恋だろうか。出会ってすぐじゃないか。

顔に集まる熱が、それを確信へと変えていった。

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