第2話 彼女
「勝手に見てしまいすみません。とても綺麗な絵ですね。」
彼女は照れたように
「毎年書いてるんです。」
と教えてくれた。
その絵を毎年隣で見られたらどれだけ幸せだろうか。
もっと春が好きになるに違いない、そう思った。
「良ければ、お友達になりませんか?」
僕は勇気を振り絞って聞いた。
心臓の音がうるさくて、周りの音が耳に入らなくなった。
何故こんなに緊張するのかわからない。
恐る恐る彼女の顔を見ると、微笑んでいるのがわかった。
「もちろんです。私は、間宮凜です。貴方は?」
「僕は山本修です。」
間宮さんは、嬉しそうに自己紹介を始めた。
彼女のかく絵のこと、友達がいないこと、好きな食べ物まで。
僕は彼女となら永遠に話していられる気さえした。
「山本さんは春が好きなんですか?」
間宮さんは僕に聞いた。
「はい。大好きですよ。間宮さんは?」
間宮さんは、少し考えてから、
「あまり好きではないです。・・・でも」
僕の顔を見て言った
「好きになれそうです。」
・・・・ああ。わかった。
僕は、彼女に・・・・。
なんて早い初恋だろうか。出会ってすぐじゃないか。
顔に集まる熱が、それを確信へと変えていった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます