あめの意味
奏真なみ
あめの意味
2月13日 バレンタイン前日
街のテンションが異様に上がり男子はそわそわ女子はわくわくして、たぶん2月の中で1番盛り上がる日、それはもちろんバレンタインです。なんとそのバレンタインはもう明日に迫っているのです。
ということで今日はバレンタイン前日です。そう前日にやることといえば、チョコ作りです。私もしっかりその雰囲気を味わいたくて今はチョコクッキーを作ってます!明日クラスのみんなと交換するんだー。なんだかんだで意外と簡単でもう焼けば完成!私って天才かも〜?なんてね。
「おい、真依。こんな時間に何やってんの?」
うわ、びっくりした。なんだ真矢か。急に背後に立たないでよね。びっくりするじゃんね。
「何やってるって、見ればわかるでしょ?」
バレンタイン前日にやることなんてひとつしかないじゃん。
「あ、化学の実験か?」
そんなひらめいたって顔されてもね。全然違うし。
「実験を家でやったら危ないでしょ!ってそうじゃなくてクッキー作ってるんだよ。」
「あー、明日バレンタインか。」
やっと気づいたか、鈍いな。
ん?あれ?まって忘れてた!私まだ自己紹介してない!申し遅れました、私、
「真依、さっきから1人でぶつぶつ何言ってんの?だいじょうぶ?」
あら、声に出てたの、恥ずかしい。
「ひ、独り言だよ。あははははー。」
とりあえず笑って誤魔化しとけばいいよね。うん、よきよき。
ちーーーーーーん
真矢と戯れているうちにクッキーが焼き上がったみたいです。
オーブンを開けたら焼きたてのクッキーとほんのりチョコの香りがした。
いい匂い、お腹すいたな。
「お、綺麗に焼けてんじゃん。ひとつもーらい。」
真矢が出来上がったばかりのクッキーをひとつつまみぐいしようとしてクッキーに手を伸ばした。けど、このクッキー焼きたてだからちょっと覚まさないと、、
「あ、まっt、」
「あっつい。ちょ、まって。」
もー、だから待ってって言ったのに、できたてだからあついに決まってんじゃん。
「もう、火傷してない?大丈夫?」
真矢、猫舌なのに。
「平気!このクッキーうまい!」
勝手に食べといて何言ってんのよ。一個くらいならいいけどさ。
「美味しいなら、よかった。頼んでないのに毒見ありがとう。」
「え?毒入ってんのこれ?」
「あれ、言ってなかったっけ?このクッキー青酸カリ入ってるよ?」
ちなみに、青酸カリって毒です。よくミステリーのアニメとか漫画にでてくる、割と有名な毒なんだけど、あれって現実だと入手困難らしいよ。まー、もちろん入ってないですけどね。
「あほか、入ってたら俺今頃死んでるわ。」
「生きててよかったわ。」
私は笑顔を真矢に向けて言った。
「これ、明日俺ももらえんの?」
「え、あげないよ。これは友達にあげる用!あ、あとお父さん。」
真矢にはクッキーは絶対あげないよ。だって、バレンタインにクッキーをあげる意味って友達でいようって意味なんだもん。真矢はそんなこと知らないんだろうけどさ。
「え、じゃあ俺今年もらえないの?」
「真矢には、これあげるよ。」
と言って私は飴をあげた。飴はあなたのことが好きって意味なんだけど、この想いに真矢は気づいてないんだよね。鈍いやつだからさ。
「え、俺これだけ?うそでしょ??」
驚きを隠せてないね。ほんとにびっくりしてる顔をしてる。あはは、可愛い。
そんなに心配しなくても、あなたには明日本命のチョコ渡しますよ。そして、今年こそは真矢に告白したい!と思ってます。
だから、今はその私の思いがこもってる飴で我慢してね。
「もー、文句言わないの。っていうかもう夜遅いから家帰りなよ。」
真矢が帰らないとチョコ作れないじゃん。
「真依、これで作るの終わり?」
「あとラッピングすればね。」
「ふーん。じゃあもう帰ろー。じゃあ、おやすみ真依。」
「うん、おやすみ。」
自由だな。結局何しにきたの?ひまだったのかな?多分そうだよね。
とりあえず、真矢にあげるチョコ作ろ。待っててね、真矢。
in真矢家
隣から戻った真矢は自分の部屋で考える、真依からもらった飴を見ながら。
バレンタインに飴をあげるのは相手のことが好きって意味らしいけど、真依はそんなこと気にしてないよな。真依だもんなー。あと、俺今年真依からバレンタインもらえないのか、俺以外の誰か本命あげるのかな。でも、さっき真依が作ってたのは普通のチョコクッキーだったしな。さっき見に行った時、誰に本命あげるのか聞いとけばよかった。もう、頭の中では真依のことが気になって仕方ない。真依は俺のことどう思ってるんだろうな。真依は俺がこんなに真依のことが好きって気づいてないんだろうな。あーあ、寝れないな、今日。
実は両思いな真依と真矢でした。
めでたしめでたし。
ハッピーバレンタイン!
あめの意味 奏真なみ @kawausouso
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