貧乏ラーメン記

ねもも

貧乏ラーメン記

さすがに腹減ったな…

貧乏大学生の僕こと台丸 麺一は9時頃目が覚めたにも関わらず、朝食を食べる金を渋り11時半まで布団の中で空腹を耐えていた。何か食べないと体調悪くするかもなと先日近所のスーパーで割引になっていた乾麺を茹でることにした。料理が苦手な僕にも簡単に作ることが出来るので乾麺を大量に買い込んでいるが、この生活を続ければ十中八九栄養失調になるだろう。だが今はそうは言ってられないほどの空腹だ。

僕は麺の入っている袋を破き鍋に450mlの水を入れ火にかけた。お湯が沸くまでの間、作りもしない料理番組を観ながら一生口にしないような華やかな料理を想像し空腹を耐え忍んだ。お湯が沸いたのでテレビを消し乾麺を鍋に入れる。麺を捻り鍋のそこに押し当てながら全ての麺を鍋に入れた。ここで重要なのは時々掻き回すこと、何もしなければ対流し麺の柔らかい場所、固い場所が出てしまう。料理は苦手だが、乾麺を茹でることに関してはそこらの大学生より上手いのではないかと自負している。得意気になりながら粉末スープと調味油を入れこれで完成だ。

ぐるるるる

もう待てないと言わんばかりに腹が鳴く。

「待て待てこれからだよ」

貧乏大学生はわざわざ容器に移さない。鍋のまま食べるのが僕の流儀だ。

箸を入れ程よく冷まし思い切り麺を吸い込む…

「っくぁああ〜!これだよこれ!」

動き出した箸は止まらない。

無我夢中でラーメンを口にぶち込んでいく。 半分ほど食べた所で一旦箸を置き、

「ここらで味変と行きますか」

ねぎ油とラー油を回しかける。そしてまた口内に放り込む。

「ぐあああ!美味い!」

味変により、より味わい深くピリッと変化した麺は食道を通り抜け限界近く耐えた胃まで一直線に駆け抜けていく。汁まで飲み干し僕は室内で叫んだ。


「やっぱマルタイラーメンは最高だな!!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

貧乏ラーメン記 ねもも @nemomo8193

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ