第42話子供の遊びと怪物の解放
場面が戻り、 玄武と蒼次郎が激しい斬り合いをする。
「なかなかやるな! きさま!」
蒼次郎が笑みを浮かべる。
「オマエモナー」
玄武も楽しそうな表情を浮かべる。
「久しぶりの強者だ! 存分に楽しませてもらおう! 『ファイヤーソード』!」
蒼次郎の剣に火が纏う。 その剣で切りつけるが玄武は右腕の皮膚を亀の甲羅のように変形させ受け止める。
「マジか!」
「『王水』!」
玄武が剣に液体をぶつけると一瞬で溶けた。 次の瞬間、 蒼次郎はバックステップで下がる。
「くそ!」
「おやすみ」
玄武がゆっくり近寄り、 即座に振り上げ叩き斬ろうとした。 だが、 蒼次郎が剣を2本【転移】し投げつける。 その剣はダーツの矢の様に飛んで行った。
(まずいな……コレ……)
玄武の右目と左腕に突き刺さる。 その剣を引き抜き、 グチュグチュと音を立てながら傷を再生する。
「どうした? 玄武……」
蒼次郎がそう言った。 次の瞬間、 玄武がバルディッシュの斧頭側にして逆袈裟懸けに斬る様に攻撃、 見事蒼次郎に命中し、 上空へ飛ばした。
「フェーズワン!」
玄武の足元に黒色の魔法陣が出現。 魔法陣から赤い液体噴出、 玄武の姿を変える。 その姿は、 ワニガメの姿ではなくモササウルスの姿をしている。 皮膚は黒色で全長18m。 玄武は宙を泳ぎ、 蒼次郎を襲う。
「聞いてねぇぞ! こんなの!」
蒼次郎は剣を【転移】し、 玄武目掛けて投げつける。 だが、 玄武は軽やかにかわし蒼次郎に近づく。
「これならどうだ!」
『剣雨』
蒼次郎の背後に橙色の魔法陣が出現。 そこから大量の剣を雨のごとく撃ちだす。その際、 剣は蒼次郎の体をすり抜けていた。 だが、 玄武は余裕でかわし、 蒼次郎の目の前に迫る。
「やだ! 死にたくない! 死にたくない!」
蒼次郎は絶望の表情を浮かべる。 玄武は蒼次郎の頭に噛みつき左右に振り回す。 ほんの少しで、 蒼次郎の首はブチッと音を立て引きちぎる。 頭を飲み込み上半身に齧り付く。 上半身をバキバキと噛み砕き、 左右に振り回す。 その直後、 上半身と下半身が引きちぎれ下半身がローバロ王国の城壁に直撃した。
「2人は大丈夫かな~」
玄武は仕留めた獲物の血液を滴らせながら2人を心配する。 場面が変わり白虎と知奈が戦っていた。 知奈は光の矢で応戦するが、 白虎にいなされる。
「攻撃できねぇのかぁ? どうなんだおるぁ!」
知奈が煽り散らかすが白虎は何喰わない表情を浮かべる。
「ではお構いなく!」
白虎は一瞬で間合いを詰め、 右ストレートで知奈の顎を砕く。 次の瞬間、 バックステップで距離を取り、 「フェーズワン」と呟く。 すると、 足元に白色の魔方陣が出現。
「デ……データファイル!」
知奈が口から唾液をぽたぽたと垂らしながら怯える。 すぐさま、 魔法陣から赤い液体が噴出。 白虎の姿を変える。 その姿はラーテルの手足に金属の様な纏わりついており、 尚且つ尻尾が変わった刃物になっている。 全長約14m。
「逃げなきゃ……」
知奈は背を向け逃げるが、 白虎は尻尾を振り上げる様に斬り裂き、 知奈を縦に真っ二つにした。
「あ~疲れた」
白虎は知奈の左半分をボリボリと喰らう。 まるで、 猫が鼠を食べる様に。 さて、 青龍はどうなっているだろう。
「なぁ疲れたから休憩しようぜ」
青龍は息を荒げながらそう言う。
「断る!」
「だろうな……」
青龍がそう呟くと、 昇は青龍を斬り殺そうとするが、 大鎌で防ぐ。
「なぁ
昇が挑発するが、 青龍には効いて無い様だ。
「何ですかそれ?」
「はぁ? 知らねぇか!? いいか!」
昇が説明しようとしたその刹那、 青龍が昇の首を刎ねようとした。 しかし、 ギリギリのところで回避した。
「あー外したか」
「”外したか”じゃねーよ!! 」
「次で仕留める」
『首狩り一閃』
青龍が大鎌を薙ぎ払い、 滅紫色の斬撃派を放つが見事にかわされてしまった。 だが、 青龍はニヤリと笑みを浮かべる。 手の平からハエトリソウの根っこが出てきて、 大鎌の取っ手に絡みつく。
「30秒以内にお前を仕留める……」
『捕食一閃』
大鎌の刃の部分が青く光る。 そして、 大鎌を横一文字に斬りつけ昇を斬殺した。 切り口から徐々に干からび、 皮膚と髪の毛が白く変色した。 まるで、 ミイラの様に。
「鍋に詰まるから早めに終わらせたわ、わりぃな」
青龍は骸を確認してから【転移】した。 それと同時に、 2人も【転移】する。 その先は食堂だった。
「おかえり~」
麒麟が3人を出迎えた。
「ただいま~って鍋は?」
玄武が麒麟にそう聞くと、 鍋に指を指す。 鍋は汁だけだった。
「遅かったか……」
青龍がガクッと足から崩れ落ちる。
「うどんがあるよ」
エメラルドがうどんが入った笊を持って来た。 それを見た2人はハイタッチをして喜んだ。
「米食いてぇ」
エメラルドがボソッと呟いた。
その頃、 ローバロ王朝のとある牢獄で何かが起ころうとした。
「おいおい! 早く出してくれよ!」
独房の中で1人の女が前手吊りで拘束されていた。 その女の特徴は濃紺髪姫カットで透き通った紺色の目を持ち、 橙色の囚人服を着ている。
「ちょっと待ちな!」
1人の看守が独房のカギを開ける。
「それどころじゃないみたいだな……」
囚人服の女は看守の耳元で囁く。
「そのおかげで思った以上にうまくいったわ」
看守は口角を上げる。
「貴様! 何者だ!」
別の看守が問いかけるが、 一瞬でバラバラにされた。
「ごめんなさいね……私はミレット……関雷雨よ……」
看守が女の拘束を解くと、 本当の姿を現す。 その姿は、 赤毛のツインテールに水色の瞳を持ち、 関雷雨の外套を纏っている。 ミレットは女に関雷雨の外套を渡す。
「あんがとよ……これでシャバの空気が吸えるぜ」
女はかっこよく外套を纏った。 この女は「モミジ」といい関雷雨の中で随一の戦闘狂だ。 この女の脱獄により、 ローバロは悲惨な末路を迎えてしまう。
データファイル 青い蛇の物語 kouki @hebiyuki888
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