第41話不落のカカオ&神速の大蛇の戦闘

 大蛇が大太刀を【転移】させる。 その太刀の特徴は、 柄は黒い糸巻きで鍔は金色、鞘は黒漆で塗られており、 金箔で稲の模様が描かれていた。


「この兵力ではいくら何でも奴らとて敵わない……」


 バッファローはそう言うが、 フェモラータは不穏な表情を浮かべた。


「いえ、 今すぐ兵を引きましょう、 このままでは全滅します」


 フェモラータがそう言った瞬間、 大蛇がフェモラータの目の前に現れ納刀。 納刀直後に100の兵士の首がボロっと落ちる。


「神速の大蛇……」


 フェモラータがそう呟いた瞬間、 大蛇がフェモラータを飛び蹴りで蹴り飛ばす。 だが、 フェモラータは手に装着している甲でガードしてダメージを軽減する。


「フェモラータ! 加勢するぞ! 」


 バッファローがそう叫ぶ。


「バッファロー! あなたは他の敵を相手してください! 」


 フェモラータはそう言いながら大蛇と戦う。


「あなた意外と早いわね……」


 大蛇が楽しそうな表情を浮かべた。


「こんばんは~カカオと申しま~す。今すぐあの世行こうや」


 カカオが後ろからバッファローに声をかける。


「不落のカカオか……」


 バッファローがそう言いながら振り向く。 そこには、 カカオが殺した兵士の死体が転がっていた。


(こいつ……たった数秒で我が軍の兵を……)


 バッファローが固唾を飲んだ。 その時、 カカオの後ろから兵士が襲い掛かり剣で突き刺すが、 剣が深く突き刺さらない。


「お前何しとんねん」


 カカオがSIG P220と言う拳銃と華やかな匕首の脇差を【転移】させ、 襲い掛かった兵士の首を掻っ切る。 突き刺さった剣を抜き、 傷口をグチュグチュと音を立てながら再生する。


「鞘抜いてて正解だったわ~」


 カカオが安心した表情を浮かべた瞬間、 バッファローがカカオの顔面を殴る。 しかし、 カカオは余裕の表情で手を払う。 次の刹那、 バッファローの太もも目掛け銃を発砲、 見事弾が命中、 バッファローはその場で跪き苦しい表情を浮かべた。


「女の顔殴るなんていい度胸しとるな~お前」


 カカオの顔には傷一つ無かった。


「おのれ……」


「チャカでいてまうのもええけど可哀想やからドスでやるわ」


 カカオはその場に銃をその場に置き、 ポケットに手を突っ込む。


「このクソアマ!」


 バッファローが右拳で殴ろうとした瞬間、 カカオがポケットから六角棒手裏剣を投げ、 バッファローの右目を潰す。 だが、 バッファローは止まらずカカオに殴りかかる。 カカオは瞬時に、 腕をクロスさせガードする。


「折れろ!」


 バッファローは何度も殴るがカカオには効いていない。 次の瞬間、 バッファローの右拳が斬り落とされる。


「悪いけどけどもう寿命時間や……」


『画竜点睛』


 カカオの短刀が滅紫色に光る。 その短刀で、 バッファローの左拳も斬り落とし、 心臓に突き刺す。 攻撃した際、 滅紫色の稲妻の様なものが発生した。


「くそ……ここまでか……」


 バッファローはその場で大の字に倒れる。 その瞬間、 カカオは銃を拾い、彼の額に銃口を突き付ける。


「最後に言い残すは?」


「生き残っている奴は見逃してくれ……」


「わかった……」


「フェモラータ……先に待っているぞ……ケレヴ今行く……」


 バッファローがそう呟き、 目を瞑るとカカオが発砲。 バッファローはこの世を去る。 そのころ、大蛇とフェモラータは戦闘中だった。


「なかなかやるわねあなた♡」


「ありがとうございます……ですがそんなに余裕で大丈夫ですか? 」


 フェモラータは大蛇の顔を蹴る。 すると、 大蛇は後ろに下がり鼻を押さえる。


「クッソ! イッタ!!」


 大蛇の鼻から血がぽたぽたと流れ出る。 大蛇は隠すように刃に唾をかける。


(刀に唾を……まさか竜人レプテリアン?)


 フェモラータは神経を極限まで研ぎ澄ます。


「あらごめんなさい♡竜人ドラゴニュートは初めてかしら?」


 大蛇がそう言うもフェモラータは反応しない。


(こういうタイプはこうすればいいのよ♡)


 大蛇は鞘をその場に落とし、 ポケットから閃光手榴弾を取り出しピンを抜き、 フェモラータに投げつける。 すぐさま、 フェモラータは閃光手榴弾を殴るが、 その直前で破裂。 目がくらむような光と耳をつんざく爆発音が襲う。 その直後、 大蛇がフェモラータの太ももを切りつける。


「これはいったい」


 フェモラータがその場で跪く。


「あたしの唾液に含まれているマンバトキシンと言う神経毒よ。 早く解毒しないと死ぬわ♡」


 大蛇はそう説明すると、 ポケットからハンカチを取り出し刃に付着した血液と唾液をふき取り、 じわじわとフェモラータに近寄る。


「蛇竜村の生き残りですか」


 フェモラータがそう言い、 解毒薬を飲む。 その言葉を聞いた大蛇は少し動揺する。


「だから何よ」


「そうですよね……今のあなたには関係ないですものね……」


「まぁいいわ♡日の出までにあなたを殺させてもらうわ」


 大蛇はそう言った瞬間、 大蛇は斬りかかる。 しかし、 フェモラータは鉄製の甲で弾き替えし、 応戦する。


「見せてあげましょう……私の本気を!」


 フェモラータが手足に身に着けた鉄製の甲を巧みに使い大蛇に攻撃を仕掛ける。 そのため、 大蛇の方が少し劣勢になる。 しかし、 大蛇も速度を上げる。 2人は目にも止まらぬ速さで、 攻防を繰り広げた。


「あたしも少し本気を出そうかしら♡」


 大蛇が独特な構えを取る。 フェモラータが何の躊躇もなく突撃してきた。 次の瞬間、 フェモラータが何かに気づく。


(しまった! やらかした!)


 フェモラータが足を止めた。


「かかったわね♡『首狩り一閃』」


 大蛇がフェモラータの首を斬り落とそうとするが、 ぎりぎりの所で回避された。 青龍の首狩り一閃とは違い、滅紫色の斬撃派が生じた。


「あーもう少し殺せるところだったのに」


 大蛇はそう言うと、 鞘を回収し納刀する。


「もう降参ですか?」


 フェモラータが挑発するが、 大蛇はびくともしない。 むしろ、 真剣な表情を浮かべていた。


「なによあなた……あたしはそんな挑発でびくともしないわよ」


 大蛇は片手刀印をして抜刀の構えに入る。


「苦しまないよう一撃で仕留めるわ♡」


 大蛇がそう言った瞬間、 フェモラータは大蛇の顔面目掛けてタイキックをする。だが、 彼は術中にハマってしまった。 次の刹那、 大蛇は頭を下げ攻撃を回避する。


『漆黒一閃』


 大蛇が目にも止まらぬ速さで抜刀、 漆黒の斬撃がフェモラータの体を切り裂いた。


(まさか……ここまで速いとは……)


 フェモラータはその場で倒れた。


「見事なり」


 フェモラータは小声でそう言うと大蛇は近寄る。


「他に最後に言い残す事は無いかしら?」


「最後にあなたと戦えてよかったです……厚かましいですが頼みがあります……まだ生き残っている兵士は生かしてください……」


「いいわよ」


「それと……バッファローと同じところに埋めてください……ケレヴの遺品もそこに……」


 フェモラータはそう言い残すと、 目を開けたまま息を引き取った。


「仕方ないわね……」


 大蛇はそう言うとフェモラータの瞼を優しく閉じた。


「おろちん~最悪な事が起きた」


 後ろから、 ウールとロジウムを連れたカカオがやって来た。


「どうしたのよ?」


「こいつら兵士を皆殺しにした」


「あっ……それはちょっと不味いわね」

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