第40話ローバロVS孤児院組、関雷雨
―20時00分 寒い風が吹いている。―
青龍と玄武が会議室の近くにあるソファーに退屈そうに座っている。
「亀吉~鍋食おうぜ」
「奢ってくれるならいいよ」
「ヤダ」
二人はとてもつまらない会話をしていた。 そこに麒麟がやって来た。
「お前ら暇か? 」
「バリバリ暇だよ…」
玄武が麒麟にそう返答する。
「三人で飯食いに行こう」
「どこ行くの? 」
玄武が麒麟にそう質問する。
「寒いから鍋でも…」
麒麟が返答しようとした時、 トゥエルブからピピっという音が鳴った。
「おーマジか、 ちょっと行ってくる」
麒麟がその場で転移した。 麒麟が転移後、 二人は首を傾げた。 麒麟が転移した場所は智和の真後ろで、 10人の男に絡まれていた。
「智和~カツアゲにあってるの? 」
「なわけあるか」
「お前たちを殺せば大金が入るんだよ」
一人の男がそう言うと麒麟は腕を巨大なハエトリソウに変えた。 それを見た智和は麒麟の後ろに下がる。
「『デスハント』」
麒麟のハエトリソウが一瞬で10人の男を吸い込む。 近くにいた智和ですら視認できないほどの速さだった。
「いったい何が…」
「智和、 お前も飯行くか? 奢ってやるよ」
「せっかくだし行くか! 」
二人はその場から転移した。 そのころ、 ローバロ王国ではパルチザンの殲滅が行われていた。現場にはバッファローが佇んでおり、 その周りには壊れた建築物と多くのパルチザンの死体が転がっていた。
「本当にこれで良かったのか…」
バッファローが俯き、 何かを考える。
「いいわけないですよ…私だって、 こんな事はしたくないです…」
バッファローの背後からフェモラータが18歳の男女を連れて現れた。
「何いい人ぶっているのですかぁ?」
フェモラータが連れて来た、 濃い茶髪のマッシュで灰色のカットソーと小豆色のズボンを着服した男がそう言った。 その男の名前は箱屋
「そいつら誰だ? 」
バッファローがフェモラータにそう聞く。
「陛下からのご命令でマリーナとシャムナフトラに言って来たのですよ…その際、 シャムナフトラから…」
「よろしくお願いします! 」
フェモラータが連れて来た修道服を着た金髪ショートの女が元気よく挨拶をした。 その、 女の名前は横山
「シャムナフトラのクディッカでも来るのかと思いきや…まさか異世界人が…」
バッファローが腕を組みそう言うと、 知奈が「なんかダメですか?」と質問する。 その質問に対し、 バッファローは「別に」と面倒くさそうに返答した。
「この化け物が! 」
バッファローの後ろからダガーナイフを持ったパルチザンの少年がバッファローを刺そうとした瞬間、 フェモラータが目にも止まらぬ速さで少年を取り押さえる。
「あなたはまだ若い、 今すぐ故郷に帰りなさい」
フェモラータが小声でそう言いながら少年から武器をコッソリ奪い取り、 少年を逃がそうとした。 だが、 昇が剣を転移させ、 少年の頭部を突き刺す。
「おいおいフェモラータさん! そいつ殺さないとお仲間死んじゃうよ~」
昇が煽り散らかすが、 フェモラータは何も反応せず、 死体から離れた。
「別に俺はそいつに殺されてもなんとも思わねぇよ…」
バッファローは呆れた態度をとる。
「ねぇねぇそろそろ本題に入ろうよ!」
知奈がそう言うと、 フェモラータは二人に地図を渡し王宮へ向かわせた。
「彼だけでも逃がしたかったのですが…」
フェモラータがバッファローに打ち明けた。
「だろうな…」
「念のため武器を回収していたのですが…」
「何でもいい…こいつらだけでも弔ってやろう」
「そうですね…せめて葬儀と慰霊碑だけでも…」
フェモラータとバッファローが自国の兵士を集め、 パルチザンの死体を一ヶ所に集め始めた。 集め終わると兵士たちが死体に油をかけ、 火を付けた。 そのころ、 フェモラータとバッファローは祈る様にぶつぶつと念仏の様な事を口にしていた。
「フェモラータ大司教! 骨壺を持ってまいりました」
一人の兵士が、 白くて大きな壺を持って来た。
「遺骨を入れてあげなさい」
フェモラータがそう言うと、 兵士たちは遺骨を丁寧に集め始めた。
「そろそろ私たちも戻りますか…」
「だな…仕事でもやりたくない事はあるものだな…」
「まったくですよ…」
二人は王宮へ戻って行った。 その頃、 淵の本部では大蛇がカカオとココアに頬をつねられていた。
「お前ら一体何しとんねん」
水蠆がそう言いながら三人に近づく。
「誰がチキン冷ましの神だ、 ゴラァ!! 」
ココアがそう言いながら、 大蛇の耳をつねりながら捻る。
「誰が元ヤンだ、 ゴラァ!! 」
カカオが強く大蛇の頬をつねる。
「もう言わないから離しなさい! 」
大蛇がそう言うと二人は離す。
「お前らそろそろ時間だ、 持ち場に着け」
水蠆がそう言うと二人は転移した。
「さて、 竜馬たちに伝えにいくか…」
水蠆は転移し、 麒麟の元へ向かった。 そのころ、 麒麟たちは食堂で鍋を食べていた。
「つくね多く入れすぎたな~エメちゃん誘っとけば良かったな~」
青龍がのほほんとした態度でそう言う。
「その前に俺を誘ってくれよ…」
水蠆が麒麟の後ろからそう呟くと、 四人は水蠆の方に視線を向ける。
「わー! 不審者だ! 」
青龍が水蠆に指を指しながらそう言うと、 椅子ごと後ろに倒れる。
「誰が不審者だ、 ゴラァ! 」
「で? 何しに来たの? 」
麒麟が水蠆にそう聞く。
「面倒な事が起こりそうだから3人借りに来た」
「じゃあこのつくね処理手伝って、そしたら3人貸すよ」
麒麟がつくねを食べながらそう言う。 水蠆が呆れた表情を浮かべながらその場を去ろうとした瞬間、 エメラルドが奇声をあげながら食堂に入ってきて、 青龍の膝の上に座る。
「あらあらエメちゃん、 どうしたんですか?」
青龍がエメラルドの頭を撫でる。
「今はお兄ちゃんと一緒にいたいの~」
エメラルドが青龍に甘える。
「はいはい、よしよし」
青龍が再び撫でるとエメラルドは、 猫の様な動きをする。
「エメちゃん~せっかくだしお鍋食べる?」
玄武がエメラルドにそう聞くとエメラルドは頷く。
「時間までもう少しあるしな…せっかくだから俺も食べるわ」
水蠆が取り皿と箸を探しに行った。
「叔父貴! 仕事内容は!? 」
麒麟が水蠆にそう聞く。
「敵国の異世界人狩り」
水蠆が取り皿と箸を手に取り、 麒麟に近寄る。
「青龍と玄武、 白虎を派遣するわ」
麒麟がそう言うと、 青龍と玄武がむせる。
「エメちゃん~助けてあげて~」
智和がそう言うと、 エメラルドが青龍の膝から下り、二人の背中を叩く。
「やべ…死ぬかと思った…」
青龍が苦しそうに息を荒げている。
「そろそろ時間だ。 竜馬! 」
水蠆がそう言うと、 麒麟は『神の一手』を発動させる。 すると、 青龍と玄武が転移した。 転移先は森の中に敷かれた道で、 月明かりが凄く、 夜でもある程度見える。 その道の左側に巨大な丸岩があり、 そこに白虎が座っていた。
「お! 猫都! 」
青龍が白虎を呼ぶと白虎が振り向く。
「あら、 蛇之どうしたの? 」
「竜馬からの仕事でここに転移させられた」
「まさか飯食ってる途中でここに飛ばされるなんて」
玄武が面倒くさそうにそう言う。
「そうなんだ~ところで二人とも香水使ってる?」
白虎がそう聞くと、 二人は首を横に振る。
「なんかさ~男の香水の匂いがするのよね~」
「そうか! 道理でさっきから俺たち以外の足音がするわけだ! 」
玄武がハルバードを転移する。それと同時に、 青龍は大鎌を白虎がメリケンナイフを転移した。
「お前武器変えたのか? 」
青龍が白虎にそう聞く。
「竜馬に頼んだら変えてもらったのよ…」
白虎がそう言った瞬間、 三人は戦闘態勢に入る。
「狩りごたえありそうな奴らだな…」
青龍が小声でそう言うと、 シャムナフトラの昇と知奈、 知らない男が出て来た。 その男の名前は田中 蒼次郎といい、 特徴は、 黒髪短髪で茶色いジャケットとデニム、 白いシューズを履いる。
「初めまして! シャムナフトラの人間です! あなた方と国交を結びに来ました! 」
昇がそう言うと、 三人は戦闘態勢を解除する。
「そうですか! では武器はこちらでお預かりします! 」
青龍がそう言うと、 シャムナフトラの三人は嫌そうな表情を浮かべた。
「村では武器の所有はごく一部の人間にしか許されていないので、 どうかご了承ください」
白虎がそう言うも彼らは聞く気が無い様だ。
「断る…たかが農村ごときが…頭が高い! 」
蒼次郎がそう言うと、 シャムナフトラの三人は戦闘態勢に入る。
「まぁ…だろうな…」
玄武がそう言うと、 三人は戦闘態勢に入る。
「穏便に済ませたかったのにな~」
青龍が不気味な笑顔を浮かべる。
「嘘つくな」
白虎がツッコミを入れると、 青龍は鼻で笑う。
「とりま、 シャムナフトラの害獣さんよ! 腸置いてけ! 」
青龍が大声でそう叫ぶと昇の頭を鷲掴み、 別の場所に連れ去った。白虎は知奈の腹を蹴り別の場所に飛ばし、 追いかける。 玄武と蒼次郎はその場で戦闘を開始した。 場面が変わりフェモラータとバッファローがブリガンダインを装着した1000人の兵士を連れ、 別の道で青龍の村に向かっていた。
「たく…陛下も人使いが荒いですね…」
フェモラータが愚痴をこぼしていると、 前方にカカオと大蛇、 ウールとツバキが待ち構えていた。
「関雷雨か…」
バッファローが口を尖らす。
「あなた達…やっておしまい…」
フェモラータがそう言うと、 兵士たちが前に出て戦闘態勢に入る。 その最中に、 フェモラータは手と足に鉄製の甲を着けていた。
「あらいいわね♡」
大蛇はとても楽しそうな表情を浮かべた。
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