第39話おろちんやらかす

 ―18時00分 日が暮れてかなり寒くなった。―


 アビスの本部に酒井とカスミ、 スダチが帰って来た。


「あれぇ? 何でみんな気絶してるの? 」


 カスミが見た物は、 ガラナ、 ルフナ、 レモン、 リネンが気絶していた。 その近くの机にはたこ焼きと思わしきものが四つ、 皿の上にのっていた。 カスミがそのたこ焼きと思わしき物を口にする。


「カスミ! それたこ焼きちゃう、ゲジ焼きやっ!!」


 奥から出てきたクルミがそう言うと、 カスミはその場で吐いて、 倒れる。 クルミはスダチを抱えて、 別の部屋へと向かった。


「あら酒井君、帰って来たのね」


 奥の部屋から大蛇がココアを小脇に抱えたまま酒井の方に向かって行った。


「おい離せ! 」


 ココアが激しく暴れる。


「嫌ペコ」


「おい酒井、 助けろ」


 ココアが酒井にそう言うと、 酒井は「無理」と言う。


「酒井君、 あのたこ焼きを食べなさい」


「ヤダ! 」


「ヤダじゃないのよ、 さぁ食べなさい」


「絶対ヤダ」


「ちょっと、 ココちゃんあなたからも何か言ってあげなさい」


 大蛇がココアを離す。


「酒井君、 あんたそれでも男か!? 」


「嫌なものは嫌なの! 」


 酒井が駄々をこねる。


「おい酒井、 早く食え」


「なんで俺だけなの? 」


「何言ってるのあなた、 ココーアにも食べさせるに決まっているでしょう」


「サイテー」


 ココアがゴミを見るような目で大蛇を見つめる。


「おーいちょっとおろちん借りるよ~」


 階段から下りてきたカカオが大蛇の髪を掴み、 連れていく。


「ちょっとあなた離しなさい! 」


「オノレ、たこ焼きの中身、ゲジにしたやろう」


 カカオが笑顔で滅紫色の殺気を放つ。


「なんでわかったのよ!? 」


「クルミから聞ぃてん、 オノレ次やったら背中にさそり座つくってやるから覚悟せぇ」


 カカオが大蛇の事を激しく睨みつけ、 急ぎ足で何処かに連れて行った。


「俺、 疲れたから寝るね」


 酒井が近くにあった長椅子に寝転び、 眠りにつく。


「勿体ないけど、 こんなおぞましいものは捨てましょう、 あっ待っていい事思いついた」


 ココアは寝ている酒井の口の中にゲジ焼きを全て入れる。 すると、 酒井がとび起きる。 酒井は口の中に入っているゲジ焼きを咀嚼し、 飲み込む。


「何これ? 変な味がするぅ! 」


「おろちんが作ったゲジ焼き」


 ココアがそう言うと、酒井は全力疾走でキッチンに向かい、 蛇口を捻って水を飲む。


「酒井君、 大袈裟! 」


 ココアが煽り散らかす。


「ココちゃん酷い! 」


「やかましいペコ」


「ちょっと酒井君、 何してるの? 」


 レモンが目覚め、 酒井に話しかける。


「ココちゃんにゲジ焼き食べさせられた」


 酒井がレモンの方に振り向く。


「ちょっとココア、 彼氏の真似しないの♡」


 レモンがニヤニヤしながらココアに近寄る。


「彼氏じゃねーペコ! 」


 ココアが顔を赤らめる。


「ただいま♡」


 後ろから急に大蛇が現れ、 ココアの頭を撫でる。


「会議抜けて来たわ♡」


 大蛇がそう言うと、 三人は「えー」と小声でそう言う。


「お前、 怒られるから早く戻れ! 」


 ココアがそう言うが、 大蛇は話を聞こうとしない。


「大丈夫でしょ、 だっておろちん速いんだもん」


 酒井が呑気にそう言う。


「そういう問題じゃないでしょ! 」


 レモンがしれっと酒井にそう言う。


「そうよ、 あたしは毒蛇界最速のブラックマンバよ! 」


 大蛇が急に変な事を言い始める。


「因みにココアはブラックマン〇」


 大蛇がそう言った瞬間、 ココアが大蛇の金〇を思いっきり蹴り、 大蛇は悶えながら、 膝から崩れ落ちる。 その後もココアは、何度も大蛇の金〇を蹴り続ける。


「ココちゃん…おろちんのチ〇〇ン冷めちゃったね…」


 レモンがしれっとそう言うと、 酒井が爆笑する。 それを見たココアが二人を睨みつける。


「てめぇらふざけんな! 」


「ちょっとあなた達、 あたしを助けなさい! 」


 大蛇が酒井とレモンにそう言うと、 二人は「ヤダ」と答える


「助けてえええ!! 」


 髪に火がついたツバキが慌てながら本部に入る。


「どうしてそうなった! 」


 レモンがツッコミを入れる。 酒井が近くにあったバケツに水を汲み、 ツバキに水をかけ消火する。 ツバキの左のお団子が燃え尽きてしまった


「なんで燃えてたの? 」


 酒井がツバキにそう聞くと、 ツバキは床に落ちていたガスバーナーに指を指す。


「あいつにやられた! 」


 ツバキが子供の様に泣き喚いたため、 酒井とレモンは呆れた表情を浮かべる。 ツバキの泣き声を聞いたカカオとパストが下りてきた。 それを見たココアが大蛇の首を掴み、 二人に見せつける。


「お前、 何勝手に会議抜けてるの? 死にたいの? 」


 パストがニコニコしながら大蛇の顔に顔を近づける


「先輩~可哀想でしょ~ 」


 カカオがそう言った瞬間、 顔をニコニコさせながら大蛇に顔に顔を近づけた。


「お好みともんじゃ、 どっちが美味いか答えろ」


 カカオがニコニコしながら大蛇に圧力をかける。


「広島焼き」


「「はぁ?」」


 二人は大蛇の金〇を蹴り、 気絶させた。 パストがそのまま大蛇の首を掴み、 会議室へ連れ帰る。


「先輩~助けてぇ~」


 ツバキが泣きながらカカオに近づく。


「お前かわいそうやな、 左右のバランス悪くて」


 カカオが懐からドスを取り出し、 ツバキのもう片方の団子を斬り落とした。


「ココア、 ハサミ貸して」


 ココアがポケットから鋏を取り出しカカオに渡すと、 その場でツバキの髪をカットし始めた。 切られた髪は全て灰の様な物となり消えた。


「ありがとうございます! これでガスバーナーのボケを壊そうと思います! 」


 ツバキはそう言うと、 ガスバーナーを蹴り壊そうとしたがレモンと酒井に止められる。


「会議室に戻るから後よろしく~」


 カカオがココアにそう言い、 会議室に戻って行った。


「ココーア助けて~!!」


 会議室から大蛇の声が聞こえた。


「絶対嫌ペコ」


 ココアが呆れた表情を浮かべた。


「あぁ!もうふざけんな!」


 大蛇の声が聞こえた後、 鈍い音が聞こえた。


「”ふざけんな”はこっちのセリフだよ! 」


 ココアが気絶しているメンバーを叩き起こす。


「はぁ…あのバカ…」


 ココアはため息をつき、 リネンの頭を叩いて起こす。


「あれ…ここどこ…」


 リネンがそう言いながら目覚め、 辺りを見渡す。 ココアが呆れた表情を浮かべ、 ため息をつく。


「あんた達も起きなさい」


 ココアが三人の頭を叩いて起こす。 三人は眠たそうな表情で目覚める。


「あたしがペスト蒔けばすぐ終わるわよ」


 大蛇とカカオとウールが会議室から出てきた。


「被害が拡大するからダメです」


 ウールがそう呟く。


「おいクソおかまぁ…」


 リネンがそう言いながら関節を鳴らす。


「あぁもうふざけんな…」


 大蛇がそう呟くとガラナが大蛇を掴み、 背負い投げを食らわせる。 ゲジ焼きを食べた4名が大蛇を踏みまくる。


「ココちゃん…彼氏、 助けてあげなよ…」


 酒井がココアにそう言う。


「嫌ペコ」


 ココア真顔がでそう言った。


「こう見えておろちん強いから大丈夫! 」


 ココアは自慢げにそう言う。 近いうち大蛇の実力が明らかになる。

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