残酷、しかし華がある。美しい男達、しかし哀しみがある。

異能・陰謀・イイ男……熱い!

約五万字に詰めに詰めてダークでポップ、ライトでヘビーに仕上がった一篇、必読です。
主人公:レイジとその相棒の吸血鬼:エウセスカは閉鎖都市に蔓延るテロリストを狩る掃除屋。その仕事の最中、記憶喪失の少年:ユアを拾う。彼の記憶やテロリストの襲撃と戦い、そして真実とは……という感じのあらすじ。

個人的なオススメポイントはトランスと呼ばれる異能を使い、同じく異能を操る敵と切った張ったの大活劇。いやさ、違う。バトル満杯大活劇には違いないが、切らない。何しろレイジの刃はなまくらで、しかも本人は不殺の信念をもっている。街を守る役目でありながらその甘さともとれる思い、その理由とは……。いい感じがしてきたでしょう!? いい戦いにはいい理由がいるもの。しかも顔もいいんだからたまらない。主人公以下、イケメンで複雑で重い感情を抱えた男達がゴロゴロ出てきますよ!

 そして、またハードな設定と物語も痺れる! 煤煙と結界で世界から隔絶された都市。都市生活の要として街の中心に聳える十字型の“転換炉塔”、異能を使う者:トランスと、そうでない者:ニュートラルの対立……カッコいい……。シビアで残酷な設定はどれもカッコいいキャラの活躍にマッチして映えていて、物語もまた設定を活かして心を揺さぶってきます。しかも重ったるいところはなく、読み易い。作者様の手腕に脱帽です。

皆さまも是非ご一読を!


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