小学校教員の一般男性、これまで普通に生きてきたはず。なのに最近身の回りがおかしい。それも普通じゃあり得ないような怪奇現象ばかり起きて、しかも小学校の頃に亡くなった同級生の少女の亡霊まで! これは大変と推しの霊媒アイドルに決死の相談。しかし、その声に応じて現れたのはムキムキマッチョのアメコミヒーローみたいな男で……。
惚れ惚れするような良いツカミじゃありませんか!?
少女の亡霊に加えて、頼みの綱の霊能者も大幅に疑義ありという二重の謎が、物語を読み進めていく上で大きな求心力となります。彼女はなぜ今更化けて出てきたの……? マッチョは信頼できそうだけど、なぜ霊媒アイドルじゃなくてマッチョなの……?
謎を解き明かしていくのは、マッチョの描くスケッチ。霊視ができるという彼が描く絵が、秘められていた過去と、本当のことに迫っていきます。少女と主人公はかつて、確かに親しかった。しかし今では憑りつき憑りつかれの関係。どうしてそうなってしまったのか、絵で掘り下げられていくのはこの二人と二人を取り巻く人々の思い出の物語でもあります。
追憶の苦さと甘やかさこそが、このお話の魅力の一つです。子どもの頃を思い出すときに立ち上ってくる、暖かさや指先を突くような痛み。「この霊/妖怪/怪異にはこんな過去があって……」とは怪奇譚によく見られる構造ですが、このお話ではそれがドラマの中心と噛み合って素晴らしい仕上がりとなっています。そして、またそれを成立させる為に配置されたキャラクター達も、個性的でありながら人間的で立体感があり、間違いなく大きな魅力でしょう。
主人公、亡霊、マッチョ、霊媒アイドルらの辿り着いた真相とは、物語の果てに待つものとは!?
気になる方はぜひご一読を!