第16話 1話の文字数と全体の話数構成
1話の文字数と全体の話数構成
長編小説の練習でいくつか書いてみて、最も頭を悩ませたのが「1話の文字数」でした。
最初は自分の書きやすい分量を1話に設定していました。
しかし10万字の長編小説の場合、1話3300余字にしてしまうと全30話構成という、ひじょうに単調になりがちな展開しかできません。
やはり小説を読むからには、あれもあってこれも起きてという波乱万丈な物語を読みたいですよね。
30話、仮に32話だとすると、起承転結の四部構成にすると1部8話になってしまいます。
ちょっと見方を変えると、起承転結を8つしか作れないという意味にもなります。
出来事が8つしかないわけですから、どうしても単調になるのです。
私は近作で1話2000余字の全48話構成を採用しました。
これなら起承転結の四部構成にすると1部12話です。
見方を変えると起承転結を12個作れるわけですから、3000字のときに比べて5割増しの場面が描けます。
ただ、駆け足になってしまう傾向があったため、次の作品では間をとって1話2500余字にすることにしています。
その代わり全体の文字数を12万字までボリュームアップさせます。
こうすると、48話構成にできるので、物語の多彩さを保ちながら駆け足にならずに描写できる利点があります。
そもそも10万字は小説賞の長編部門で多く採用されている最少文字数ですので、小説を書き慣れていない方が長編を書くなら、ジャスト10万字を目指していただいています。
しかし、描写と説明のバランスをとりたくなったら、10万字ではちょっと足りない。
11万字も誤差の範囲です。
やはり12万字を目指すことで、表現力は磨かれます。
12万字を目指して、13万字になっても誤差の範囲です。
そのくらいひとつのシーンで文字数を使える、というのが文章を洗練させ、表現力を向上させる意識付けになります。
最初から1話5000字で書いていた人は、1話2500字にすると半分しか書けなくなるので表現力が落ちるように感じられるものです。
しかし、1話5000字は連載小説としてはボリュームがありすぎます。
毎日読むには正直骨が折れる。
多くの連載を読んでいる読み専の方でも、毎日1話5000字だと正直つらいはず。
他を切ってあなたの連載だけを追ってくれるなら話は別です。
しかし他の作品のほうが数は多いでしょうし、あなたの作品の前から読んでいるでしょうから、切るとしたらあなたの作品のほうです。
いろいろ試した結果、1話は2000字だとかなりサクサク読めます。ただ表現力を入れるゆとりがない。
1話3300字だと物語の展開を凝れない。
すると2500字や2800字くらいがよさそうだ、という結論に達しました。
とくに12万字を目指すなら2500字がベストではないでしょうか。
全48話構成は、2×2×2×2×3ですので、4でも6でも割れて展開をコントロールしやすいのです。
全48話構成はどうもという方は全45話構成でもよいでしょう。こちらは3×3×5ですので、3でも5でも割れて序破急などの三部構成を採用する方がとっつきやすい構成です。
このように、作品によって理想的な文字数と何話構成がよいのかは変わってきます。
これを書く前から判断できるくらい小説を書きこなせば、どんな依頼が来てもこなせるようになるのです。
お題のある小説賞では、とくに構成を考えて執筆できるとかなりの強みとなります。
次の新作では上記したように1話2500余字×全48話構成にするつもりです。
いろいろなものを足していき、表現を向上させるのが狙いです。
皆様も、最高の長編小説を目指して自分にとって理想的な文字数と話数を模索してみませんか?
十万字書ける求道の「小説の書き方」コラム カイ艦長 @sstmix
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