第08話 煮え切らない終わり方

MissテリとYou

Missテリ

 「僕は常々、思うんです。お気に入りの連続ドラマが終わる喪失感。無事着陸したのならまだしも、ミステリと言う勿れの最終回が煮え切らなくて、すっきりしないんです」

You

 「ああ、あれね。占い師であり十斗である辻󠄀浩増と我路の妹の愛珠に指輪を渡したとされる先生の正体が明かされないまま終わったやつね」

Missテリ

 「放送時間終了が近づくのに着地点が見えない。時間ばかりが過ぎていく。最後の最後に突きつけられたミステリ」

You

 「あれじゃない。完結編は映画でってやつ」

Missテリ

 「だとするなら、公開予定を教えて欲しいです。予定があるのに列車が急に止まりいつ動くかの連絡もなく待っているような不安な気持ちになります」

You

 「じゃ、シーズン2じゃない」

Missテリ

 「確かに。先生と呼ばれる人は、他にも多くの人を事件に巻き込んでいる可能性はあります。その事件を暴いて最後に先生を追い詰める結末で終わるような」

You

 「その際、整君と我路が協力し合って立ち向かうのがいいかもね」

Missテリ

 「僕もそう思います。できれば、一話完結で」

You

 「そうだな」

Missテリ

 「珍しく意見が一致しましたね」

You

 「いつもでしょう」

Missテリ

 「僕は思ったことはありません」

You

 「寂しい事を言う奴だなぁ。テリに付き合えるのは俺しかいないよ、近場では」

Missテリ

 「あ、ありがとう」

You

 「おい、何してるんだ?うん、絵を描いているのか?こんな時に…それって」


 黙々と描くMissテリ


You

 「え~と、鉛筆、キリン、なす、人参、烏賊、ライター、か…、い・き・な・に・い・ら、か…、駅等にない…、嫌いな絵に…、あっ、にえきらない、か」

Missテリ

 「本当だ絵文字は読む人によって変わるんですね」

You

 「素直に言うおうよ、素直に」

Missテリ

 「この気持ちどうすればいいんですかね」

You

 「お前のせいでこっちまで煮え切らなくなったわ」

Missテリ

 「ご愁傷様です」

You

 「お前がそうさせたんだぜ」

Missテリ

 「むふ」

You

 「漫画以外で初めて聞いたわ」

Missテリ

 「いいえ、以前にも言っていますよ」

You

 「ああ、そうだった、か?でも、どうでもいいわ」

Missテリ

 「もう、やってられへんわ~」

You

 「それ、こっちのセリフだから」

Missテリ

 「えへっ」

You

 「もう、やってられないわ、ほな、帰るわ」

Missテリ

 「何処へ」


では、さようなら。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

MissテリとYou、流れ 龍玄 @amuro117ryugen

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ