物語としての佇まいが端正で完璧。

エレベーターの比喩の、斬新でなおかつ的を射た巧みさに引き込まれました。「ならば偉人として名を残す」と決意した語り手の、並々ならぬはずの努力は語られない、秘されているところもこの物語の魅力だと感じます。「悲しい」「しんみり」「切ない」のひとこと以上にじんわりと滲む光があるように感じられました。