1ヶ月間、新作ショートショートを毎日書いてみた

結騎 了

#365日ショートショート 031

「一年間、毎日ショートショートを書くのを日課にしようと思って」

「365作品を書くってこと?」

「そういうことになるね」

「どうしたんだい急に。もしや、作家にでもなりたいのか」

「いや、そういうことではなくって。なんというか、自分のトレーニングがてら」

「へぇ。じゃあ今日は1月31日だから、31作品をすでに書いたってことか」

「そうだね」

「どうだい。実際に書いてみて」

「正直な感想として、楽しい、というのが一番に来るかな」

「それはいいことじゃないか」

「思ったより苦労しなくて済んでるよ。あくまで、今のところだけどね。長く続いていくと苦しくなるかもしれない」

「お話のアイデアはどういったときに思いつくんだい?」

「どんなときも。仕事中にだって、あれ、これはもしかして書けるかな、と思い立つことはあるよ。その都度、スマホのメモアプリに残してる。タイトル案だけの短いものだけど」

「ネタのストックはどれくらい?」

「20個はあるけれど、そのうち半分は使えなさそう」

「そんなのが書く前に分かるのかよ」

「やってると、だんだん分かってくるよ。お話に仕上げられるかというより、そのテーマで自分の食指が動くかどうかってことだね」

「なるほどね。ちなみに、書くのはどれくらいかかるんだい。所要時間は」

「早くて10分、長くて60分かな」

「早いときは早いんだね」

「一発ネタみたいな、やり逃げの時もあるから。ショートショートは、短い物語というひとつの要件があって、あとはテーマも内容も自由だと解釈してる。だから、本文がとっても短い作品もいくつか作ったよ」

「やってみて、難しいと感じたことは?」

「勢いで仕上げないと駄目になること。物語を創作するのって、リアルタイムで黒歴史を作るようなものだと痛感してる。時間を置いてから読み返すと、なんだか全てが恥ずかしく思えてきちゃう」

「それに至る前に、えいっ、と勢いで書き上げた方がいいってことかい」

「そうそう。稚拙な作りだったとしても、内心あまり満足いってなくても、まずはとにかく完成させないといけない。温めたネタは、だいたい腐る。途端に恥ずかしくなって出せなくなる」

「そんな感覚や経験を積むためのトレーニングなんだね」

「せっかくだからいいものを書きたいと思って、ショートショートの作り方の本も買ってみたよ。今まさに読み進めてる」

「参考になるといいね」

「なにより最初のネタ作りが重要だから、それをしっかり思いついて組み立てられる筋肉をつけたいね」

「じゃあ早速、今日はどうするんだい」

「それが、すっかり考えこんじゃって」

「じゃあ、こういうのはどうだい。ショートショートを書いている実体験を、そのまま掌編にするんだよ」

「なるほど。読みやすく、対話形式にすればまとめやすそうだね」

「どんなふうに?」

「こんなふうに」

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