学びがある

1章は報連相のない自己中心・個人主義者の主人公が軽挙妄動し、恥に耐えかねて恥を上塗りしながら、周囲に迷惑をかけ続け、活躍と醜態をさらす物語です。たまにまともなことをして、不良が子犬を拾う的なイメージ回復をみせるのが、なおのこと、こう、なんと言いますか。
2章からは次第に公益性のあることをやりながら、自業自得と因果応報を積み上げていきます。まっすぐな人間性がねじ曲がった性根に生えている。そして鋭い閃きが異世界を焼け野原に……。

素直に主人公を反面教師にすればひとこと紹介のとおりなのですが、この扱いの難しいキャラクターを動かして物語として成立させていること自体に学びが含まれているように思います。閾値を超えれば即時読者が離れる、そんな社会性の地雷原をジョギングする風景を見せられたような読後感です。

こんなことを書いていておかしいのですが、作品自体に対してはネガティブな印象はありません。主人公へのネガティブな感情はあるのですが、その分まわりのキャラクターが魅力的に輝きます。そのバランスもまた魅力なのかなとも思います。

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