あとがき

あとがき

 今作を書くことになったきっかけは、題名にあるように、筆者が『NTR』『ざまぁ』『もう遅い』という三要素を含む小説を読んだことに起因します。


 ご存じない方もいらっしゃるかもしれないので簡単に説明しますが、ようは「主人公が恋人を第三者に強引な手法で奪われる」ことを『NTR(寝取られ)』と呼称し。続いて「主人公がいわれない不遇ふぐうを受け、その首謀者に直接的ないしは間接的に復讐する」物語の展開を『ざまぁ(みろ)』と呼称し。そして上記のような展開の後、不貞を働いた恋人や不遇を強いた首謀者などがすがってくることに対して「今更そんなことを言われても『もう遅い』と足蹴あしげにする」ことを『もう遅い』と呼称するようです。


 明確な定義があるわけではないので私の所感しょかんですが、おおむねこのようなところだと思います。どれも昨今のweb小説におけるジャンルの一つとして存在しており、特に三要素が揃っているラブコメが一部界隈いちぶかいわいで流行っているようでした。

 それなんて『金色夜叉こんじきやしゃ』?

 というのが私の第一印象だったのですが、考えてみればキチンと読んだことがない。それなので先入観を捨てて読んでみることにしました。


 いやぁ面白かったです。


 何でしょうかね、こう。

 人間の取りつくろわない悪意を煮詰めたような、ドロドロとした感情がどの作品にも垣間見えてゾクゾクしました。『愛・夢・希望』なんて欠片かけらもない。生のままの人間のみにくさを見せてくれる。こういう感情を知ることもまた、物語を楽しむことといえると思います。


 ただ、読んでいると心がささくれてきます。


 基本的に主人公が登場人物の誰かしらを徹底的に否定することで進んでいくストーリーですから、ずっと誰かの悪口を聞いているような感じになり、精神はゴリゴリと削られていくのは仕方ないところです。


 そしてそんな尖ってしまった精神を慰撫いぶするために書き始めたのが今作になります。よって上記の三要素に対してのアンチテーゼを詰め込んだような作品となっており「望んでいた物語とは違った」という感想を抱いた読者の方もいらっしゃったことと思います。そこについてはご期待に沿えず、申し訳ありません。ご容赦くださいましたら幸いです。


 さてそんな筆者の自己都合を叩きつけたような作品でありましたが、ようやく完結いたしました。現在において、筆者の作品のどれよりも評価される作品となりまして、この上ない喜びを感じております。


 今作を覗き見てくださっただけでもありがたいと思うところなのですが、応援コメントをしてくださった読者の方には、特別の感謝を申し上げたいと思います。


 今作はあらすじにあるようにノンプロットで書きました。序章の物語だけを思いつき、後の展開は真っ白でしたので、コメントの反応を確かめつつに書き連ねました。ですので読者と一緒に作り上げた作品と言えなくもないです。

 どのキャラが気に入った・気に食わないといった意見は話に大きく関与したと思います。


 特にヒロインである高橋、かたき役を担ってもらった鈴木、今作のテーマを表現するのに多大な役割を果たしてくれた山本あたりのキャラクターはコメントを参考にしながら処遇しょぐうを決めました、

 高橋は予定よりも見せが増えましたし、残り二人は残念ながら減りました。山本なんかはずっと人気がないと思っておりましたが、終盤になって好意的なコメントが届いたりして、焦りました。残念ながらヒロイン扱いをしないことを決定した後でありました。

 そんなこんなもあって非常に勉強になった作品であったと思います。



 また今作のテーマのもう一つとして『旅』というものがあります。

 理由は私自身が旅好きだからです。いつか何かしらの形で旅という題材で物語を書いてみたいと思っておりましたので、今回はいい機会だと混ぜ込んでみました。

 

 なんだかんだで難しかったです。

 

 旅と恋という要素をもっといい具合に混ぜ込めればよかったのですが、上手く乳化にゅうかしてくれなかった感じです。もっといい書き表し方があったのではないかと反省しております。今後の課題です。


 そしてもう一つ、反省しているというか勉強しておけばよかったと思っていることが『方言』です。今作品は地方出身のキャラクターを多用したものですから、当然、言葉遣いはそれぞれ違うようになるはずです。ですがみんな標準語をしゃべっています。方言を使ったのは一部、決め台詞などの場合だけです。

 いやしかし。そもそも私自身、標準語が怪しいのです。


 自分の小説を見返すたびに思います。

 絶対に標準語だと思って方言使ってるだろうなぁ、と。

 東京弁を誰か私に教えてください。


 あと私事わたくしごとではありますが、伊勢神宮へと旅行することになりました。

 三重県の隠れた名産などがあれば、誰か私に教えてください。



 ひとまずのところ、今作は終わります。

 ですが、ちょっと見返してみても全体的に書き直したい。なにせ執筆時間が主に深夜帯だったこともあり、自分でも何を言っているのか分からない文章が多々あります。それなのであまりにも気色悪い文章は添削てんさくしようと思います。それに伴ってエピソードが追加されたり削除されたりがあるかもしれませんが、ご了承ください。

 

 その後は書きかけでほったらかしていた前作の執筆に戻りたいと思います。とはいえ今作とはけた違いのpv数でありますし、ゆっくりと丁寧ていねいに書いているのでモチベーションの維持いじは大変そうです。

 せっかくpv数を稼げた作品を書けましたので、紹介だけさせてください。


『社会の窓から始まる恋』

https://kakuyomu.jp/works/1177354054889678802


 今作と違いルビはふってませんし、行間はつめてますので読みにくいかもしれません。ですが一応、今作の数年後が舞台となる作品になりますので(直接的なつながりはありません)ご興味ある方はどうぞよろしくお願いします。

 内容としてはループもののラブコメです。


 長編はちょっと、という方はこちらを。


『七つのショートショート』

https://kakuyomu.jp/works/1177354054884156674


 個人的に自信作であるショートショート集です。一話につき二千文字前後ですのですぐ読めるかと思います。



 今作を執筆しはじめましてからはや八ヶ月。

 これほどに読者というものを実感できた作品は他にありませんでしたので、貴重な体験をさせてもらった期間になりました。小説を書く身としましては、まだまだ精進しょうじんしていくつもりでありますので、またどこかの機会でお会いできましたら、大変嬉しく思います。


 ご愛読、まことにありがとうございました。

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「NTR」とか「ざまぁ」とか「もう遅い」を読んでみて、モヤモヤとした気持ちを払拭するためだけに書いた小説 久保良文 @k-yoshihumi

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