つよくなりたいボクらのために

Tk

1時間目 全部嫌いそんな弱者は逃げるだけ


—————ボクは昔から大人が嫌いだった。



      


政府の操り人形だらけの社会が嫌いだった。




同じ種族の癖に自分より"弱い者"を探し、見下し、影から"弱い者"を群れになって陥れようとする、そんな" 人 間 "が嫌いで嫌いで嫌いで嫌いで嫌いで嫌いで嫌いで嫌いで嫌いで嫌いで嫌いで嫌いで嫌いで嫌いで嫌いで嫌いで嫌いで嫌いで嫌いで嫌いで嫌いで嫌いで嫌いで嫌いで嫌いで嫌いで嫌いで嫌いで嫌いで嫌いで嫌いで嫌いで嫌いで嫌いで嫌いで嫌いで嫌いで嫌いで嫌いで嫌いで嫌いで嫌いで嫌いだった。




学校では友達はこんなボクでも"最初"は出来た。





だけどその友情はボクの"弱さ"を知るや否や一瞬で崩れ去った。





「なんでこんな簡単な問題も出来ないの?w」


勉強が嫌いだ。


「何アレ?キッモw 隠キャは無理すんなよw」


運動が嫌いだ。




「おいボク君〜w?そんな教室の隅で何を読んでれるのかなぁw?........いせかいてんせぃぃ?......はぁ?!キッショw、おいオマエラみてみろよw隠キャのボク君が教室の隅ですんげぇ気持ち悪い本読んでるぜぇw!」




猿が待ってましたと言わんばかりの馬鹿みたいな声量で叫びボクの本をひったくり教室のゴミ置き場と化している真ん中の席へ走っていく、するとたちまち猿にゴミが集まり大きな歓声と女子の悲鳴が聞こえてきた。




しばらく笑い合った後、満足したのかアイツらの視線がボクに集まる、そして同時にボクへの悪口を"わざと"ギリギリ聞こえる声でほざいてくる




「隠キャ」「ゴミカス」「気持ち悪い」「早く死んで転生してくれれば俺達も助かるんだけどなw」「おいwそれはさすがに言い過ぎだwボク君がかわいs...ォォォダロォwwww」「なんでそんな酷いことが言えるんだよwwww」と。





....ちなみに、ボクの本(ラノベ)が返ってくる事はなかった。



周囲の目が嫌いだ、アイツらの声が不快だ。



そんな日が数ヶ月続きボクは我慢が出来なくなった、こんな毎日が後、数年続くと考えると耐えられるわけが無かった、ボクは心が"弱い"だから"大人"の力を借りることにした。



誰にも見られないようにコソコソと教務室へと歩き担任の先生に今までのことを洗いざらい吐き出した。



ボクのおかあさんに相談しようと考えたこともあったがこんなボクを女手一つで育ててくれた優しいおかあさんに心配を、負担をかけるわけにはいけなかった。



すると先生がハァとため息をつきボクにこう語り始めた。



「あのねぇボク君、君の言い分は分かったよ?でもね、キミに問題があると思うんだよ私は」


..........(ボク)


「授業は真面目に受けない、忘れ物は酷い、運動も出来ない、発言もしない、そんなダラダラと学校生活を送っているキミ比べ、あの子達はどうだ?、成績も優秀、運動も出来て、コミュ力もある、むしろキミに"なんか"に構ってくれているあの子達に感謝するべきなんじゃないかなぁ?なのにぃそんな心構えじゃ"将来"ワタシ達先生のような"立派な大人"になれませんよぉ?」


............................それから数分間ボクへの愚痴を聞かされただけでボクが求めていた救いの言葉が来ることは無かった。



もう    スベテが  どうでもよかった。



「あ、そうそうこの件に関しては誰にも言うんじゃ無いよ?ワタシはキミを信じている、だから先生を、あの子達を、困らせるんじゃ無いよ?分かったk....」



ボクは教務室を後にした。







..................チッ、めんどくせぇな、これだからガキは"嫌い"なんだ。



ハァ、あの時受験に落ちていなければ、クソどもにオレを見る目があったら...こんな糞みたいな職場に居ないで今頃出世街道まっしぐらのウハウハ生活が待っていたのに...。



さてと..........テキトーにクソガキどもの日記にハンコ押したらタバコでも買いにいくかぁ。







「そんな心構えじゃ将来ワタシ達先生のような"立派な大人"になれませんよぉ?」




逃げるように学校から飛び出した時も家(楽園)に帰った時も"立派な大人"から貰ったこの言葉が頭から離れることは無かった、イヤ、忘れることが出来なかった。



将来? 立派な大人? 心構え?


訳が分からない、アレが....立派な大人?


ボクの........将来?



.............ボクは考えるのをやめた、空想(ゲーム、漫画、アニメ)に逃げた、逃げることしか出来なかった、ボクが何か考えた所で何かが変わる訳でも無いし何か思いついた所で行動に移す勇気もやる気もボクには無かった。


それに........今更、学校生活態度を見直そうだなんて夢にも思わなかった。


もう、全てが遅すぎた。



———————今日は理科室で実験をする為教室から理科室へ移動しなければいけなかった。


..........ハァ..............イヤだなぁ.....。


などと一人で廊下を歩きながら思っていた矢先後ろからボクの大っ嫌いな女子の小さな笑い声が聞こえてきた。



「ボク君一人でかわいそぉw〇〇チャン一緒に居てアゲなよぉw」


キャハハハハwwwwwwww


「えぇ、絶対無理ムリムリw気持ち悪いしw」




キャハハハハははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははひははははははははははひはははははははははははははははひははははははひはははははひははひはははははハハハハハハハヒハハハハハハハハハハハヒハハハハハハハハハヒハハヒはwwwww






ボクは逃げ出した。


耳を傾ければ嫌なことばかり聞こえてくる。


階段をのぼる途中で下級生とすれ違っ「コンニチワァw!!!!」




......?、誰だコイツ?




ボクの思考は一瞬停止したが、すぐにウケ狙いで"弱そう"な"ボク"にダル絡みしてきたゴミだと分かった、そして走り去ろうとした時、不意に腕を引っ張られ無様に階段から転げ落ちてしまった。


「無視しないで下さいよ先輩」



    周囲の目がボクに集まる。



すると先程ボクを馬鹿にしてた女子がボクに追いつきゴミを見るような冷たい目でボクを睨みつけるとそのまま階段を登り始めた。




ボクはなぜか涙が止まらなかった。




ボクは学校を飛び出した。




家に帰るとおかあさんが驚いた様子でボクを見ていたがすぐにいつもの優しい目に戻った、ボクは二階への自分のベットに崩れるように倒れすすり泣いた。




ボクが悪いの?






ボクが何をしたの?






どうすれば馬鹿にしないでくれるの?





ボクは虚無に問いかけた。




返ってきたのはどこからか聞こえてくる、車のエンジン音と地域の人の笑い声だった。




今日の晩御飯はボクの好きなオムライスだった。




ボクはおかあさんが好きだ。




ボクがどれほど惨めでも何かに"逃げ"出してもいつも笑顔で居てくれる。





そして、アイツらとは違うやさしい目がボクは好きだ。





おとうさんはボクが小さい頃病気で亡くなったらしい、そこから生活が苦しくなったのにおかあさんは一人でボクを育ててくれた。



ボクなんかのためにいつも夜遅くまで働いて学費も食費も払ってくれる







そんなおかあさんが"大好き"だった。










だけど、そんな"好き"だった家での日々も、おかあさんとの思い出もメキメキと音を立てて壊れていく音にボクは気づかなかった。










————ある日いつも通り授業で睡眠学習をしていると突然の先生に叩き起こされた、また公開説教が始まると思い、しぶしぶ目を開けるとそこには保健室の先生が慌ただしくボクを呼んでいた。





今思えば説教だったらどれほどよかったのだろうか?ボクの耳に入ってくる言葉はそんな優しい者ではなかった。






「ボク君!おかあさんが...ボク君のお母さんが



   背筋が凍る、心臓が激しく揺れる


















.....職場で倒れて緊急搬送されたって!」













     ボクはもう"逃げ"られない。





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