第2話 躊躇などない

まおねこ。視点


ルアと別れた後俺は町内を散策していた。


俺はこの国の総督でありながら城下町で基本的な生活をしている。

私生活はあの家で、戦争前のみ城へ戻り戦略を練る。そんな感じだ。

国の人は俺が総督だということは知らない。

国民から見た俺は

幹部に軽々しく話しかけるチンピラ

と言ったところだろうか。


まぁそんな説明をしつつ俺はとある場所へと足を進める。



アギト視点


胃が痛い…。

返って来たルアくんから報告を聞いて、反省してなさそうだし(まぁ予想はついてた)

なんか悪人顔で楽しそうなことが起きる気がする?!?!

何やらかす気だ…()

俺は仕事多いから別のやつに任せよ。ウン、そうしよ。



まおねこ。視点


キャ―!!!!


城の方へと足を進めていると悲鳴が聞こえて来た。

場所は、二つ先の路地だろうか。


俺は少しスピードを上げその場所へ向かった…。





路地に入ると男数人が女を囲んでいるといういかにもテンプレな光景が広がっていた。


で、俺に気づいたリーダーらしき男が

「誰なんだよお前!!!俺らの邪魔する気か!!」

って言って来たんだけど、なにこれ、台本でもあんの??


まぁ、あからさまにナイフ取り出して切り付けて来たから避けたんだけど、

「ちょこまかとよけんじゃねぇ!!!」


「いや、頭沸いてんのか、お前身長何cmあんだよ」


…沈黙


「ギャハハハハ!!!あー!チビだもんなお前!!」


なんか陰キャが彫刻刀振り回すみたいでダサいが、

身長だけは許さん。ただでさえさっきルアに見下ろされてイラッときたんだから良いよね


俺は持ってた銃を取り出し、そいつの体に撃ち込んだ。

男はそのままその場に倒れ込んだ。

お仲間が掴みかかって来たが俺はその手を振り払い、その場を立ち去ろうとする。


「撃ち込んだの実弾じゃなくて催眠弾だから数分経ったら目覚めると思うよ」


そのまま振り向き帰ろうとすると後ろから声が飛んできた


「なんでッ!!なんで助けてくれないのよッ!!!」


そこで俺は思い出す。

そういやここに来たのって女の悲鳴聞こえたからやったっけ

そんなことをぼんやりと考えていると路地の入り口の方から聞き慣れた声が飛んできた。






「近隣住民から通報が来ていたぞ、男と女が言い争いをしていると」


茶色の長髪に赤色の唐辛s(((メッシュのふかせ

コイツも俺の国の幹部だ。

ふかせの率いる治安維持部隊の面子が男達を連れて行く。


「大丈夫か、なにがあったか話を聞きたい」

ふかせが女を保護しようと手を差し伸べる。

女はその手を取り俺を睨む。

そして、路地の入り口の方へ向かう。

俺は女に話しかける。


「なんで助けないのよー!!って言ったよね

助けない理由なんか一つしかないでしょ。

単純に利益がなかったから。だってさー俺が大男に立ち向かって怪我しちゃったらどーすんのよそれだけでも損害じゃん

君を助けたところで俺なんか得するか??しないだろ??だから助けなかった。」


女は振り向き。泣き叫ぶように言った。


「なんでよッ!!!国民はみんな助けるんじゃなかったの?!」


それを聞くと同時に俺は女に銃の弾を撃ち込んだ。

今度は実弾で。



この国の人間は誰も知らないのだ。

総督が城下で暮らしていることを



ふかせ視点


女が血を流し、崩れ落ちる。

やはりいつもヘラヘラしている奴だから慣れない。

僕は声を震わせながらまおに話しかける。


「やっぱり鎌かけてたんだな」

「うん、今回はわかりやすすぎたね」



「なんで生かしておかなかったのさ、

徹夜続きでストレス溜まってる九重さんと一緒に牢獄にぶち込んでも良かったのに」

「あはは、確かにそうかもねww」


笑う姿はいつも通りなのだ。

だから余計に違和感がある。

人を殺めるその姿から感じられるのはただの好奇心で、

人を欺くことで息をしている。


そんな彼でもついていく者がいるのは

似た者同士だからなのか


はたまた好奇心からなのか


彼が絶対的な力を持っているからなのか。



俺自身にもわからない

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無名国と変わり者の総統 @mumeize1

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