無名国と変わり者の総統

@mumeize1

第1話 自分勝手

時は戦乱の世、星の数ほどある軍国の数々は各々が世界のトップに躍り出ようと戦争を繰り返していた。

ただそんな国の中にも指揮を撮るのが面倒くさい、勝利よりも国の利益を大事にする変わった総督もいるもので…

今日はそんな変わり者の総督とその部下である幹部達の日常を覗いていきたいと思う。


え、僕が誰なのか…?

ただのしがない一般兵ですよ。

それでは、いってらっしゃいませ



ルア視点


「くっそー…なんで俺が怒られなきゃなんないんだよ」


そう愚痴をこぼしながら向かう先は城下町の脇道にある薄汚れた小汚い家、

そこにいるであろうとある人間に俺はキレる為…

いや、キレてる人の言伝を伝えに来た。

え?なんで俺が代わりに来てるのかって??

俺は最近この国の幹部になったんだけど、まぁ、一番の下っ端なわけ。

で、そのキレてるのが、軍の幹部で先輩なのよ。

ここまで来たらわかるでしょ?

うん、パシられた。


とか言ってるうちに着いたわ。

木でできた引き戸の前に立ち、ノックする。


「まおいるー??」


すぐに声が返ってきた。

ガラガラと音を鳴らしながら引き戸が開かれる。






目の前に現れたのは見慣れた紫。

自分より少し小さな身長、

目元を隠す長い前髪、

シャツの上に着物を着た彼こそが我が軍のトップ、

まおねこ。である。


「やっほールア〜元気してた??」

おちゃらけた様子でニヤニヤしながら話しかけてくる。

全く、あんたのせいでこっちは怒られるし、パシられるし最悪なんですけど??


俺はため息をこぼしながら言伝を伝える。

「アギトさんめちゃくちゃ怒ってたよ。今回は何したんだよw

花瓶割った?倉庫爆発さした?畑荒らした??」


俺は思い当たる限りの過去にあった騒動を持ち出して問いただした。

そう、全て過去にコイツがやらかした出来事だ。


「あ〜マジ??アギトさん怒ったらめちゃくちゃ怖いんだよなぁ〜

はい!!まおねこ。総督今回はこの間の戦争で前線で戦いました!!」


コイツはアホなのだろうか、首を取られたら終わりの戦いに最前線で参加するとか。

「バカなの?!?!首取られたら終わりだよ?!

そりゃ怒るでしょ!!

俺めちゃめちゃ不機嫌なアギトさんに関係ないのに怒られたんだけど?!」


「あ〜そうなの、おめでとう」


あ、もうダメだわ、何もわかってない。

まおはどうでも良くなったらとりあえずおめでとうという。

多分だけど興味ないけどとりあえず祝っとけばなんとかなる精神だろ。


「と り あ え ず!!

次は知らないからな!!!」


「はいは〜い」


そう生半可な返事をして彼は何処かに行く支度をする。


「どっか行くの??」

俺がそう聞くとまおはいつものような声色で


「ん〜ちょっとね、楽しそうなことが起きる気がする」

そう言った。


俺はその時見てしまった。

その顔はいつものようなふざけた表情じゃなくて、

前髪から覗く目は殺気に満ちていた。


そんな姿には何も言えず、俺は今日の報告をする為に城へと戻ることにした…

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