第2話 へ?俺の元ファン?
「どれにしようかな〜」
オクナは、一人で服屋に来ていた。
「そういや今日——」
オクナは電話で言われたことを思い出した。——
——「え、危なくないのかなぁ」
電話越しに心配の声が聞こえる。
「大丈夫。だって、店員はA Iだよ。しつこく喋りかけてこないもん。」
オクナはそんな言葉を軽々と跳ね除けてしまった。
しかし、やけにオクナの喋り方が幼くなっている、相手は誰だろうか。
「あの人はあんなこと言ってたけど、心配することなんて何にも無いね。」
なんてことをオクナが呟いていると——
——「あの、オクナ様ですよね。」
と知らないjkに喋りかけられ、オクナは
「ふぇ?」
と間抜けな返事をしてしまった。——
オクナは気づいていなかったようだが、電話の相手は、オクナのコミュ力を心配していたのではなく、元アイドルという点について心配していたのだ。オクナがアイドル活動をしていたときのファンはリアコがかなり多かった。
ストーカー被害も多く受け、引っ越しては引っ越しての繰り返しだった。
——「そ、そうですけど、何か。」
オクナは恐る恐る聞き返した。すると、
「やっぱそうですね!あっ、申し遅れました、
情報力が多すぎて、オクナは混乱しながら手を差し出した。
ミリカが、オクナの手を握りぶんぶん振っている間、オクナは質問をした。
「ミ、ミリカさん、」
「ミリカでいいですよ、呼び捨てで!」
ミリカが呼び捨てを強調してくるので、
「ミリカ」
オクナが呼び捨てで呼んでみると、
「はい、何でしょう」
ミリカは嬉しそうな表情で返してきた。
「『オクナ様にまた光を!』ってなに?」
「あ〜。言っちゃえば非公式ファンクラブみたいなもんです」
ミリカの説明をまとめると、オクナの伝説のアイドル時代が終わってもファンたちの熱は冷めず、逆に燃え上がってしまった。きっかけはsnsでの個人個人のコメントだった。
「オクナ様、また帰ってこないかなぁ」「早すぎない?」「ファンクラブでさえも出来てないのに」
ミリアは、この“ファンクラブ”という言葉に惹かれ、
“自分たちで作ってしまえばいいんじゃないか”
と、いう結論に至ったわけだ。
俺の時代を再スタートさせるために、身の丈に合ってないA Iを倒します! 橋本 愛佳 @kota_suka
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