第1. 5話 これだから隠れ陰キャは_
「んー!」
オクナはパフェを頬張りながら怒っていた。
「そろそろ、僕のパフェ、返してくれないかな?」
オクナが頬張っているパフェは、奇妙な格好をした友人のもののようだ。
「俺は、マキアにも怒ってるんだからな!」
奇妙な格好をした友人は“マキア”という名のようだ。
「僕、なんか悪いことしたかな?」
AIに支配される世界になるきっかけは、マキアが作り出した天才AIロボットだった。
作った当初は、メディアで取り上げられることも多かったが、威力が強すぎると皆に騒がれてしまった。
一度ネットに上がってしまったものは消せないように、天才AIロボットを作ったマキアの存在もこの世から忘れられないものになった。
「あのロボットを壊したりできないのー?」
とオクナがマキアに聞いた。
「あ〜、僕の作った
そう、誰も逆らうことのできない
そして、マキアは、とても天然でイケメンで…隠れ陰キャなのだ。
「マキアって、ほんと勿体無いよな。」
「どういうこと?」
またまたこれも当の本人は気づいてないが、マキアはイケメンなのでメディアなんぞに出れば騒がれる。なのでこのカフェでもオクナが騒いだから皆の視線が集まったのではなく、オクナとマキア…イケメンが2人並んだいるからなのだ。
オクナは元アイドルなので視線なんぞ全く怖くないが、マキアはメディアのインタビューも嫌でオクナに代わりに喋らせるほど人の視線が怖いのだ。
「きゃっ」
奥の席の女性が飲み物をこぼしてしまったようだ。
オクナは店員が来ないかあたりを見渡したが、ロボットなので助けに行くという概念がなく動こうとしない。
誰かが行かないかなー、とオクナがめんどくさく思うと、マキアが席を立った。
「大丈夫ですか。これどうぞ」
紳士的にこぼれてしまった飲み物を拭いてあげている。
「あ、ありがとうございます。」
女性の言葉は戸惑っているように聞こえるが、目はハートの形をしている。
そして
「これで大丈夫ですね。それでは」
と、言い立ち去ろうとするマキアを
「あの、連絡先を…」
と、引き留めた。
「いや、ちょっとそれはー」
と、やんわり断ると、
「何かお礼をしたいので」
と、…どうしても連絡先をゲットしたいようだ。
もっとトーク力があったらうまいように断れるが、マキアは——
—助けを求める目でオクナの方を見た。
すると、オクナは
「これだから隠れ陰キャは」
と、文句言いながらも、席を立ち…
「俺たち、急いでるんで」
とマキアの手を引き、カフェから逃げ出した。
「助かったよー。ありがと」
と、礼を言うマキアに対しオクナは…
「お前、ほんとにバカだな。喋れないのに…自分の首、自分で締めてるぞ」
と怒った。
「ごめんって」
マキアが謝ると、
「俺はもう帰るけど…マキア!人が良すぎるのにも要注意な!」
と、オクナ言い、去っていった。
「それは君の方こそじゃないかな?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます