ルート分岐点

「……つ、月姫さん?」


「…………〝神様〟の言う通り」


 もう一度、俺は彼女の名前を呼んだ。今度は反応があった。


 いや、反応があったというのは不適切かもしれない。独り言の方がしっくりくる。


「神様の言う通りなんです」


 同じ言葉を繰り返した月姫さんが、一歩前に。


 虚ろな顔して神様と口にするその姿に、俺は得も言えない恐怖に駆られ、後ずさる――――が、


「――神様の言う通り」


「ひ――陽葵さんッ⁉」


 陽葵さんに後ろから羽交い締めされ動きを封じられてしまう。彼女もまた、月姫さんと同じく神様と発している。


 俺と陽葵さんの体格差は歴然、だというのに一向に振り解けず、どころかビクともしない。一体、どこにそんな力が。


「陽葵さん! なにしてるんですか! 悪ふざけはやめてくださいッ! つ、月姫さんもッ!」


「「神様の言う通りです」」


 俺の言葉は耳に届いていないのか、二人は神様の言う通りとしか返してこない。


 急展開、姉妹二人の不可解な言動に混乱する俺を、月姫さんは更に追い込んでくる。


「ちょっと、なにしてるんですか! 月姫さん!」


 眼前までやってきた月姫さんが、あろうことか服を脱ぎ始めたのだ。


「神様の言う通りです」


「意味がわかりません! どうして――なんで急にッ!」


「あなたも、神様の言う通りに従ってください」


「――だからッ! 神様ってなんなんだよおおおおおおおおおおおおおおッ!」








『神様は神様だろうが。つまり、テメーはお役御免ってこと……だからさっさとその肉体、〝俺に返せよ〟余所もんが』








 叫んだすぐ後、嘲笑するような男の声が聞こえ、それを最後に視界はブラックアウトした。

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嫌がる姉妹を丼で頂くエロ漫画のクズ男に転生してしまった俺は、優しさの限りを尽くすと決める。 深谷花びら大回転 @takato1017

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