終わりの始まり ⑨



あれから月日が経ちカナリヤ、いやジュリアートは家族と3人で過ごしていた。たまにシャリングやハーネストなどがきたりしていた。ジュリアートも随分と落ち着いてきた。あの後は神と光の妖精に会い『お疲れ様』『ありがとう』と言われそれ以降会うことはなかった。



あの日、捕まった二人は当時の状況を細かく話し、サンザリカは数年の間監視のもと生活するという条件が出た。



そしてアイは死刑になった。



サンザリカも本当は死刑だが、アイが『サンザリカは私が操っていたからこいつに罪はない』と罪を被ったのだ。サンザリカは自分の意志でやったと言っているがアイのいうことの方が正しいとされた。



アイはマリヤと壁越しで毎日話をしているようだった。アイの死刑という結果を聞いたマリヤはショックでうなされていたようだった。しかし、次第にそれを受け入れて毎日アイに会いにいくようになったとシャリングから聞いた。



シャリングは国の騎士に推薦されたのである。今は見習いとして王に仕えている。だから、アイの現状をこまめに聞いていた。



アイは今でも元気に生きている。死刑という結果が出てから一年が経っている。そう、アイの死刑は無くなったのだ。理由はアイにはとてつもない医学の知識がある。それを活かしてある一人の人物を治したのだ。



それが皇太子だった。本当だったらジュリアートが治すはずだったがアイが治したのである。そのおかげで死刑という結果は無くなった。しかし、一生城に閉じ込められ、出るときはサンザリカ同様騎士がつくことになった。



自由を奪われたのである。それでもアイの罪は消えない。アイもその結果に反抗はしなかったらしい。



マリヤと二人で静かに暮らすことになるだろう。



ジュリアートも王にした失態が許され自由の身となったのである。



 


「カナリヤ。ありがとう。あの時本当にマリヤを殺していたら私はもっと狂っていた」



面会の時にアイがいった。




アイに殺すよう頼まれた時カナリヤは剣を受け取ったがそれを投げた。



「本当は殺したいとこだけど、あなたが自分のせいだというのなら尚更アイを止めなきゃいけないんじゃないの?自分で始めたものは最後までしっかりと責任を持って止めなさい。それが今あなたにできる唯一の償いよ」



そういいマリヤを殺さなかった。ここでこいつを殺したところで意味がない。それにサンザリカと同じことをしたくない。アイを殺さなかった理由とおんなじ理由だ。



そして、アイの力が使えなかったのわ事前に光の妖精に頼み、防御してもらっていた。光の妖精のおかげで成功したともいえる。



「お母さん、山菜に行ってくるね」



「行ってらっしゃい。午後はルリスのお母さんが来るんだから早く帰ってきてね」



「わかってる。果物も取ってくるよ」



ルリスのお母さんもマリアスが生きていると知って大層喜んでいた。ルリスの死の真実を聞いた二人はジュリアートが作ったルリスのお墓に墓参りに行った。それからマリアスとルリスのお母さんの小さい頃の話で盛り上がっていた。今日もその続きを話しているのだろう。




外に出ると太陽が眩しかった。太陽の光に照らされ麦畑は金色に光っている。森に行く前に市場へと向かった。その途中二人の女の子に出会った。



「どこにいっても、離れてても私たちはずっと友達だよ!」



「約束ね!」



二人を通り過ぎ森へと向かう。まず最初に行ったのわルリスのお墓。



「今日はお花を持ってきたよ、ルリス」



『よく頑張ったね、ジュリアート。いや、カナリヤ』

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腹黒薬師は復讐するために生きている 怜來 @KAI_18

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